会計名及び科目 | 一般会計 (組織)科学技術庁 (項)科学技術振興調整費 | |
部局等の名称 | 科学技術庁本庁 | |
契約名 | 科学技術総合研究委託契約(87契約) | |
契約の概要 | 各種研究業務を行うために民間会社等に委託するもののうち、委託先からさらに国立大学や地方公共団体の機関、民間会社等に再委託されるもの | |
契約の相手方 | 理化学研究所ほか34法人 | |
支払金額 | 3,409,319,000円 | (平成5、6両年度) |
過大積算額 | 6280万円 | (平成5、6両年度) |
<検査の結果 > | ||
上記の各研究業務委託契約において、委託先の一般管理費の積算(積算額計2億8389万余円)が適切でなかったため、積算額が約6280万円過大になっていた。 このように積算額が過大になっていたのは、委託先の一般管理費の積算に当たり、一般管理費を徴しないこととしている国立大学等の再委託先の直接経費相当額についても、委託先が自ら実施する事業に係る直接経費に対するのと同じ率の一般管理費を積算計上していたことなどによると認められた。 |
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<当局が講じた改善の処置 > | ||
本院の指摘に基づき、科学技術庁では、平成7年11月に、研究業務委託に係る一般管理費の積算が業務の実態に適合したものとなるよう、新たに積算の基準を定め、同月以降契約を締結する研究業務委託から適用することとする処置を講じた。 |
1 研究委託の概要
(委託契約の概要)
科学技術庁では、科学技術の振興に必要な各種の研究業務を、昭和56年度から計上された科学技術振興調整費により、科学技術庁本庁及び所管の試験研究機関において実施している。
各種研究業務を科学技術庁本庁において実施する場合には、すべて、民間会社、財団法人、特殊法人等に委託する方法によっているが、このうちには、委託先である民間会社等からさらに国立大学や地方公共団体の機関(以下「国立大学等」という。)、民間会社、財団法人、特殊法人等に再委託して実施しているものがある。
研究業務の委託に係る契約は、科学技術総合研究委託費(以下「委託費」という。)により執行されており、上記の再委託を含む委託契約は、平成5年度49件、契約総額17億8310万余円(うち再委託金額8億7566万余円)、6年度55件、契約総額22億3877万余円(同11億2597万余円)となっている。
(委託費の積算)
上記の委託費は、機械装置費、工具器具備品費、人件費等の当該研究を実施するために直接必要と見込まれる経費(以下「直接経費」という。)及び間接的経費である一般管理費から構成されている。そして、この委託費の積算は、直接経費については、費目ごとに必要な経費を計上し、一般管理費については、委託先の受託規程による率を勘案するなどして直接経費に10%程度の率(以下「一般管理費率」という。)を乗じて得た額を計上している。
2 検査の結果
(調査の観点及び対象)
上記のように、委託費の積算に当たって、一般管理費は直接経費に一般管理費率を乗じて得た額とされているが、委託契約のなかには、再委託を含んでいるものがあることから、その場合の一般管理費の積算が適切に行われているかについて、前記の再委託を含む委託契約5年度49件、6年度55件を対象として調査した。
(調査の結果)
調査したところ、上記の再委託を含む委託契約のうち、国立大学等への再委託を含む委託契約5年度39件(契約総額14億0741万余円、うち一般管理費1億1959万余円)、6年度48件(同20億0190万余円、同1億6430万余円)について、次のような事態が見受けられた。
(ア) これらの委託契約の委託費の積算の内訳についてみると、再委託先が国立大学等の場合、委託先への一般管理費としては再委託に係る分も含めた直接経費相当額に一般管理費率を乗じて得た額が計上されていたが、再委託先への経費としては直接経費のみが計上され、一般管理費は計上されていなかった。これは、国立大学が国の委託又は再委託により研究業務を行う場合には、国の政策への相互協力などの趣旨から、文部省の通達により、直接経費だけを徴することとされていることなどによるものである。
そして、実際の再委託契約の執行状況をみても、委託先は国立大学等に対して直接経費のみを交付している状況であった。このため、委託先は、再委託に係る分も含めた直接経費相当額に一般管理費率を乗じて得た額を受領していた。
(イ) 委託先における再委託に係る業務の実態をみると、再委託先との連絡調整が行われており、これに係る通信運搬費等の経費は発生していると認められるが、次のようなことなどの状況からみても、委託先が自ら実施する事業に係る一般管理費に比べて、発生する経費の程度は相当低いものと認められた。
〔1〕 研究実施機関等はあらかじめ決定されているので、契約締結後に再委託先を選定する要はないこと
〔2〕 研究完了の際に作成する研究成果報告書についても、再委託先の国立大学等が作成した研究成果について、その内容の評価を行わず、単に自ら実施した研究成果と合わせて編集し、科学技術庁に提出していること
したがって、委託先から再委託先に一般管理費が交付されない場合における委託先の一般管理費の積算に当たり、再委託先に係る分も含めた直接経費相当額に一般管理費率を乗じて得た額を計上している事態は適切とは認められず、委託先における再委託に係る業務の実態に即した積算を行う要があると認められた。
(低減できた積算額)
再委託に係る業務等の実態に即して委託先の一般管理費を積算したとすれば、前記5年度39件及び6年度48件の委託契約に係る一般管理費の積算額は9406万余円及び1億2698万余円となり、それぞれ約2550万円及び約3730万円、計約6280万円低減できたと認められた。
(発生原因)
このような事態が生じていたのは、委託費の積算に当たり、委託先が自ら研究等を実施する分に係る直接経費と国立大学等への再委託分に係る直接経費を区分して、委託先の一般管理費を算定する配慮に欠けていたことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、科学技術庁では、7年11月に、研究業務委託に係る一般管理費の積算が業務の実態に適合したものとなるよう、新たに積算の基準を定め、同月以降契約を締結する研究業務委託から適用することとする処置を講じた。