会計名及び科目 | 国立学校特別会計(項)施設整備費 |
部局等の名称 | 国立天文台 |
工事名 | 国立天文台大型光学赤外線望遠鏡ドーム下部等施設新営工事(その5) |
工事の概要 | 大型光学赤外線望遠鏡のドーム下部施設の電気設備工事及び制御棟の電気設備工事、建築工事等を行うもの |
工事費 | 741,000,000円 |
請負人 | 三菱電機株式会社 |
契約 | 平成6年7月 | 随意契約 |
支払 | 平成6年9月〜7年9月 | 4回 |
1 工事の概要
(工事の内容)
この工事は、国立天文台が、アメリカ合衆国ハワイ州ハワイ島のマウナケア山頂に、平成4年度から実施している大型光学赤外線望遠鏡施設建設工事の一環として、6、7両年度にドーム下部施設の電気設備工事及びこの施設に隣接する制御棟の電気設備工事、建築工事等を工事費741,000,000円で施行するものである。
その工事の内容は、次のとおりである。
(ア) ドーム下部施設に、電話配線等の情報通信設備等を設置する電気設備工事を行う。
(イ) 制御棟に、煙感知器等の防災電気設備、電話配線等の情報通信設備、照明設備等を設置する電気設備工事を行う。
(ウ) 制御棟の建築工事及び機械設備工事を行う。
(工事費の積算)
国立天文台では、電気設備工事の配管工費の積算に当たっては、電気設備工事で使用する配管の種類ごとに配管延長を算出し、これに配管の1フィート当たりの単価を乗じるなどして配管工費を積算していた。そして、この配管工費を含めた電気設備工事費に制御棟の建築工事費、機械設備工事費を加えて直接工事費を5,342,115.90 ドル(約5億3021万円)と算定していた。(注)
(注) 工事費は、現地(アメリカ合衆国)の通貨建てで価格調査が行われ、これを基にして積算が行われている。
2 検査の結果
(電気設備工事の配管工費の積算誤り)
電気設備工事の配管工費の積算について検査したところ、次のような事態が見受けられた。
(ア) 防災電気設備の配管工事の配管の数量について
防災電気設備の配管工事のうち、天井内等の配管に使用する鋼管であるEMT管(内径3/4インチ(約19mm))の配管工費については、配管延長を12,721フィート(3,877m)として計126,065.11
ドル(約1251万円)と積算していた。
しかし、この配管延長は、配管の数量を集計した資料から積算書に転記する際に、1,272フィート(約388m)とすべきところを誤って一桁多く記載したものである。したがって、この配管延長は、計上漏れとなっていた611フィート(約186m)を加えると、正しくは1,883フィート(約574m)となり、上記の配管工費は計18,660.53
ドル(約185万円)となる。
(イ) 情報通信設備の配管工事の配管の数量について
情報通信設備の配管工事のうち、壁等の露出部分の配管に使用する鋼管であるIMC管(内経4インチ(約102mm))の配管工費については、配管延長を770フィート(約235m)として計49,110.60
ドル(約487万円)と積算していた。
しかし、この配管延長は、既契約工事で施工済みのドーム下部施設に係る分312フィート(約95m)をも含めるなどしており、正しくは291フィート(約89m)となり、上記の配管工費は計18,559.98
ドル(約184万円)となる。
(ウ) 照明設備の配管工事の配管の単価と数量について
照明設備の配管工事のうち、EMT管(内径3/4インチ(約19mm))配管工費については、配管の1フィート当たり単価を14.79
ドル(約1,468円)とし、配管延長を5,875フィート(約1,791m)として計86,891.25
ドル(約862万円)と積算していた。
しかし、上記の単価はIMC管(内径3/4インチ)の単価と取り違えて用いたものであり、EMT管(内径3/4インチ)の正しい1フィート当たり単価は9.91
ドル(約984円)である。また、この配管延長は、計上漏れ等となっていた1,341フィート(約409m)を加えると、正しくは7,216フィート(約2,199m)となり、上記の配管工費は計71,510.56
ドル(約710万円)となる。
(その他の積算誤り)
上記のほか、電気設備工事における配管工事で別の種類の配管の数量や単価を誤るなどして、過大な積算となっているものが計149,109.63 ドル(約1480万円)あり、また、過小な積算となっているものが計131,841.16 ドル(約1309万円)あった。
(割高になっている工事費)
上記により工事費を修正計算すると、直接工事費は、5,171,511.54 ドル(約5億1327万円)となり、諸経費等を含めた工事費総額は、7,245,844.67 ドル(約7億2004万円)となる。したがって、この工事費総額を所定の為替レートにより円貨に換算し端数整理をすると、720,000,000円となり、本件契約額741,000,000円はこれに比べて2100万円割高になっていると認められる。