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  • 平成6年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 第6 農林水産省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

国有林野事業の素材生産及び造林の請負化に関し、社会保険料等の積算を適切に行うよう是正改善の処置を要求し及び社会保険等への加入の促進を図るよう改善の意見を表示したもの


(3) 国有林野事業の素材生産及び造林の請負化に関し、社会保険料等の積算を適切に行うよう是正改善の処置を要求し及び社会保険等への加入の促進を図るよう改善の意見を表示したもの

会計名及び科目 国有林野事業特別会計(国有林野事業勘定)(項)国有林野事業費
部局等の名称 林野庁、北海道営林局ほか5営林(支)局
事業名 素材生産事業及び造林事業
事業の概要 立木の伐採、集積等を行う素材生産事業及び植栽、下刈等を行う造林事業
請負化に係る林業事業体 110事業体
契約 平成5年4月〜7年3月 随意契約
事業費 67億2395万余円 (平成5、6両年度)
事業費のうち調査対象とした労務関係費の積算額 8億4361万余円 (平成5、6両年度)
低減できた労務関係費の積算額 1億0937万余円 (平成5、6両年度)
効果が発現していない労務関係費の積算額 1億7732万余円 (平成5、6両年度)
<検査の結果>

 林野庁では、国有林野事業における素材生産及び造林の施行については、農林水産省が策定した経営改善計画により、昭和59年度以降、請負化を推進している。そして、請負化の担い手である事業体には零細な規模のものが多いことなどから、この育成・強化のための諸施策を実施しており、この一環として、事業体が雇用している現場作業員の社会保険等への加入を促進して労働条件の改善を図ってきている。このため、素材生産事業及び造林事業の予定価格の積算に当たって、現場作業員に係る社会保険料等の事業主負担額については、現場作業員の全員が加入しているものとして、これを労務関係費として計上している。
 そこで、現場作業員の社会保険等への加入状況等を調査したところ、現場作業員の全員が社会保険等に加入している6事業体を除いた110事業体、499件の事業において次のような事態が見受けられた。

(1) 社会保険等に加入できない者に係る事業主負担額を含めて労務関係費として積算しているもの

(2) 事業体において、社会保険に加入すべき者等を加入させていないため、積算で見込んだ労務関係費がその効果を発現していないもの

 このため、(1)において、1億0937万余円が積算過大となっており、また、(2)において、1億7732万余円が効果を発現していないと認められた。
 このような事態が生じているのは、主として次の事由によると認められた。
 (1)については、現場作業員の個別の加入状況を調査しないまま、全員が加入しているものとして労務関係費を積算することとしていたこと
 (2)については、〔1〕 林野庁において、社会保険等への加入の促進を実効あるものとするための具体的な方策を定めていないこと、そして、営林(支)局、営林署に対して、現場作業員の雇用形態、年齢等についての実態把握を十分させていないこと 〔2〕 営林署において、事業体に対して、具体的に加入の促進を指導するなど実効ある措置が執られていないこと

 
<是正改善の処置要求及び改善の意見表示>

 林野庁において、国有林野事業の素材生産及び造林の請負化に伴う社会保険料等について、次の処置を講ずる必要があると認められた。

 (1)については、営林(支)局及び営林署に対し、各事業体の現場作業員の社会保険等への加入状況を的確に調査させ、加入の実態を把握させるとともに、これを労務関係費の積算に適切に反映させることにより、適用除外者等に係る事業主負担額を含めないようにさせる。

 (2)については、社会保険へ加入すべき者等で未加入となっている者について、労働条件の改善を図るなどの方針に沿って加入が促進されるよう具体的な方策を定める。また、営林(支)局及び営林署で、関係行政機関との連携の下に、事業体を通じて現場作業員の社会保険等への加入を一層促進させるよう指導を強化する。

 上記のように認められたので、林野庁長官に対して、平成7年12月11日に、上記の(1)については、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求し、(2)については、同法第36条の規定により改善の意見を表示した。

是正改善の処置要求及び改善の意見表示の全文

  国有林野事業の素材生産及び造林の請負化に伴う社会保険料等について

 (平成7年12月11日付け 林野庁長官あて)

 標記について、下記のとおり、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求し、及び同法第36条の規定により改善の意見を表示する。

1 素材生産事業及び造林事業の概要

 (背景)

 貴庁では、森林組合、素材生産業者、造林業者等の林業事業体として営林(支)局に登録された事業者(以下「事業体」という。)の中から、営林署が地域性等を考慮して選定した事業体に、立木の伐採、集積等を行う素材生産事業及び植栽、下刈等を行う造林事業を、随意契約により請け負わせ実施している。
 上記の両事業は、昭和59年6月に農林水産省が策定した「国有林野事業の改善に関する計画」(以下「経営改善計画」という。)に即し、国有林野事業の経営改善の一環として、59年度以降、民間による施行(請負化)を推進させる方針に従って実施されている。また、両事業の請負化の担い手である事業体において、雇用する現場作業員が減少し、高齢化の傾向にあること、零細な規模のものが多いことから、貴庁では、事業体の育成・強化を図るため、現場作業員の労働条件の改善や事業体の経営体質の強化などの諸施策を実施している。

 (社会保険等への加入の指導)

 この具体的な方策として、事業体が雇用している現場作業員の社会保険(労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)、雇用保険、健康保険、厚生年金保険・農林漁業団体職員共済制度(以下「農林年金」という。))及び退職金共済(中小企業退職金共済制度又は林業退職金共済制度)への加入を促進して現場作業員の労働条件の改善を図っている(以下、社会保険と退職金共済を合わせて「社会保険等」という。)。そして、平成2年度から現場作業員の社会保険等への加入を促進するため、次の措置を執るなどして、実効性の確保を図ることとしている。

〔1〕 関係行政機関との連携の下に、登録時、契約時において社会保険等への加入状況を把握するなどして、加入促進に向けて一層の指導に努める。

〔2〕 特に法令で加入が義務付けられている者の加入状況が著しく低位にある事業体に対しては、必要に応じて是正策を提出させるとともに、その後の成果を把握するなどして、その改善について指導の徹底を図る。

〔3〕 〔2〕 により改善の指導を行ったにもかかわらず改善の見込みがないと判断される場合、改善措置が執られるまでの間契約を見合わせる。

 (社会保険料等の積算)

 貴庁では、前記両事業の予定価格の積算に当たり、社会保険の保険料及び共済掛金の事業主負担額(以下、単に「事業主負担額」という。)を、関係法令(注) の定める保険料率等に基づいて算定し、これを素材生産の場合は労務関係費、造林の場合は法定福利費(以下、これらを「労務関係費」という。)として計上している。そして、平成3年度に、営林署を通じて事業体の社会保険等への加入状況を調査したところ、89%の営林署において、事業体の50%以上で社会保険等に加入していたことから、この結果を踏まえ、4年度から各営林署で次の措置を執ることとした。

〔1〕 事業主負担額は事業体が雇用する現場作業員の全員が加入しているものとして、直接費の労務費相当額の総額に関係法令に定める保険料率を一律に乗じるなどして算定する。

〔2〕 事業体の社会保険等への加入の促進を図るため、事業体から契約時又は契約期間中に社会保険料等の納付書、領収書等の写しを徴して、現場作業員の社会保険等への加入状況を把握するほか、契約時に、事業体に対して、社会保険等への加入について積極的な指導を行う。

 (社会保険の適用除外者等)

 社会保険等の関係法令によると、法人は社会保険の強制適用事業所となっている。このため、法人である事業体に雇用される現場作業員は、関係法令等により加入できない者(以下「適用除外者」という。)に該当しない限り、その意思にかかわらず被保険者となる。なお、退職金共済については、中小企業の事業主及び取締役を除き、事業体に雇用され林業に従事することを常態とする者は被共済者となることができる(以下、適用除外者と被共済者となることができない者を合わせて「適用除外者等」という。)。
 労災保険を除く社会保険等の種類別に適用除外者等を掲げると次のとおりである。

〔1〕 雇用保険 4箇月以内の期間を予定した季節的事業に雇用される者、事業主など 
〔2〕 健康保険 臨時に使用される者(2箇月以内の期間を定めて使用される者、日々雇い入れられる者)、当該従業員の1箇月の労働日数等が当該事業所における通常の就労者の労働日数等の概ね3/4未満の者など
〔3〕 厚生年金保険 65歳以上の者、他律によって組織された共済組合の組合員、そのほか〔2〕 健康保険の場合と同じ
〔4〕 農林年金 常時勤務に服さない者、4箇月以内の期間を予定して季節的業務に使用される者など
〔5〕 退職金共済 (中小企業退職金共済制度)期間を定めて雇用される者、事業主など(林業退職金共済制度)事業主など

 (注)  関係法令 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号)、雇用保険法(昭和49年法律第116号)、健康保険法(大正11年法律第70号)、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)、農林漁業団体職員共済組合法(昭和33年法律第99号)、中小企業退職金共済法(昭和24年法律第160号)

2 本院の検査結果

 〔調査の観点〕

 貴庁では、前記のとおり、予定価格の積算に当たり、事業主負担額については、現場作業員の社会保険等への加入の有無にかかわらず全員が加入しているものとして積算することとしている。そこで、労務関係費の積算が現場作業員の社会保険等への加入状況を適切に反映したものとなっているか、また、事業体に対する貴庁の指導が現場作業員の社会保険等への加入を促進し、労働条件の改善を図るなどの事業体の育成・強化の施策に沿った実効あるものとなっているか、という観点から調査した。

 〔調査の対象〕

 北海道営林局ほか5営林(支)局(注1) 管内の29営林署(注2) (6年度当初全国302営林署の9.6%)において、5、6両年度に、契約生産(材積)数量1,000m3 以上の素材生産事業及び契約金額が200万円以上の造林事業、計525件(事業費合計70億7037万余円、うち労務関係費の積算額合計8億8488万余円)を請け負っている116事業体(全国1,176の登録事業体の9.9%)を対象として現場作業員の社会保険等への加入状況等を調査した。

 〔調査の結果〕

 上記のうち、現場作業員の全員が社会保険等に加入している6事業体を除いた110事業体では、総人員3,418人の現場作業員を雇用して499件の事業を事業費合計67億2395万余円(うち労務関係費の積算額合計8億4361万余円)で実施していた。そして、労災保険にはほぼ全員を加入させていたが、その他の社会保険等においては、非加入者が延べ8,600人となっており、これらの者について、雇用形態、月別の就労日数、年齢等を調査し、関係法令に基づいて加入の要否を検討した。これを社会保険等の種類別に掲げると、表1のとおりである。

表1

種類

現場作業員3,418人の社会保険等への加入状況

左の非加入者の内訳

加入者 非加入者 加入すべき者等 適用除外者等
雇用保険
1,326
 人
2,092
 人
1,333

 759
健康保険 992  2,426  1,190  1,236
厚生年金保険及び農林年金 889  2,529  1,165  1,364
社会保険計(延べ) 3,207  7,047  3,688  3,359
退職金共済 1,865  1,553  1,530  23
社会保険等合計(延べ) 5,072  8,600  5,218  3,382

(1) 適用除外者等に係る事業主負担額を含めて労務関係費として積算しているもの

 (調査の結果)

 上記の社会保険等の非加入者延べ8,600人のうち、延べ3,382人は適用除外者等であり、これらの者については社会保険料等の事業主負担が発生していないものであるのに、これらの者に係る事業主負担額を含めて労務関係費として積算していた。
 これを社会保険等の種類別に適用除外者等数、適用除外事由を示すと、表2のとおりである。

表2

社会保険等の種類 適用除外者等 適用除外事由
雇用保険 759人 727人 4箇月以内の期間を予定した季節的事業に雇用される者
32人 事業主など
健康保険 1,236人 482人 臨時に使用される者
754人 1箇月の労働日数が当該事業所における通常の就労者の労働日数の概ね3/4未満の者
厚生年金保険及び農林年金 1,364人 271人 65歳以上の者
197人 臨時に使用される者
325人 1箇月の労働日数が当該事業所における通常の就労者の労働日数の概ね3/4未満の者
185人 常時勤務に服さない者
386人 4箇月以内の期間を予定して季節的業務に雇用される者
退職金共済 23人 23人 事業主など
社会保険等合計(延べ)

3,382人

 

<事例>

 東京営林局高萩営林署では、5、6両年度にA協同組合に造林事業計9件を232,234,100円で請け負わせている。
 この事業体では、126人の現場作業員を雇用し上記の事業を実施していた。そして、社会保険等の加入状況についてみると、労災保険には全員加入させていたが、雇用保険、健康保険、厚生年金保険及び退職金共済には全員を加入させていなかった。
 そこで、6年度中の現場作業員の就労状況を調査したところ、連続した就労期間のうち最長の期間が2箇月以内の者が109人、3箇月の者が17人いた。そして、この17人には、1箇月の就労日数が労働基準法(昭和22年法律第49号)等で定める休日等を除いた1箇月の平均労働日数の4分の3(18日)以上となっている月が連続して2箇月を超える者はいなかった。年齢については65歳以上の者が44人であった。
 したがって、現場作業員126人全員が、雇用保険、健康保険及び厚生年金保険の適用除外事由に該当することとなって、適用除外者となるものであるのに、これらに係る分も含めて事業主負担額を積算していた。なお、退職金共済については、全員が被共済者になることができる者であった。

 (是正改善を必要とする事態)

 上記のように、事業体が雇用する現場作業員の中には適用除外者等が多数いるのに、労務関係費の積算に当たって、全員が加入しているものとして事業主負担額を算定しているのは適切でなく、是正改善を図る必要があると認められる。

 (低減できた積算額)

 前記499件の事業について、労務関係費として積算された事業主負担額のうち、適用除外者等延べ3,382人に係る分を、就労延人日数を基に算出すると、合計1億0937万余円となり、この額は積算する必要はなかったと認められる。

 (発生原因)

 貴庁において、前記の3年度に行った調査は、事業体において社会保険の保険関係などが成立しているか否かに関するものであって、現場作業員の個別の加入状況を調査したものではないのに、この調査結果を理由に現場作業員の全員が加入しているものとして労務関係費を積算することとしていたことなどによると認められる。

(2) 事業体において、社会保険に加入すべき者等を加入させていないため、積算で見込んだ労務関係費がその効果を発現していないもの

 (調査の結果)

 表1の社会保険の非加入者延べ7,047人のうち、延べ3,688人は社会保険に加入すべき者であり、退職金共済の被共済者となっていない者1,553人のうち1,530人は被共済者になることができる者であった。しかし、各営林署においては、事業体に対して、登録時及び契約時に口頭で社会保険等への加入の指導は行っているものの、加入すべき者等で未加入となっている者について、被保険者の資格取得のための手続を執るよう促すなどの具体的な措置は何ら執っていなかった。したがって、労働条件の改善を図るために積算で見込んだ労務関係費がその効果を発現していないと認められた。

<事例>

 熊本営林局八代営林署では、5、6両年度にB株式会社に素材生産事業計2件を32,156,600円で請け負わせている。
 この事業体では、15人の現場作業員を雇用し上記の事業を実施していた。そして、社会保険等の加入状況についてみると、労災保険には全員加入させていたが、雇用保険、健康保険、厚生年金保険及び退職金共済には全員を加入させていなかった。
 そこで、6年度中の現場作業員の就労状況を調査したところ、全員が7箇月から1年間就労したり、6箇月連続して就労した後1箇月離職し、翌々月以降5箇月連続して就労したりしていた。また、1箇月の就労日数が就業規則で定める休日等を除いた1箇月の平均労働日数の4分の3(17日)以上となっている月が連続して2箇月を超えていた。年齢については65歳以上の者は1人であった。
 したがって、雇用保険及び健康保険では15人全員、厚生年金保険では65歳以上の者1人を除き14人はこれらの保険に加入すべき者であった。なお、退職金共済については、全員が被共済者になることができる者であった。

 (改善を必要とする事態)

 上記のように、積算で見込んだ労務関係費の効果が発現していないことは、林業事業体の育成・強化の一環として、現場作業員の社会保険等への加入を促進して労働条件の改善を図ることとした施策の目的が達成されず、また、関係法令の趣旨にも沿わないものであり、改善の必要があると認められる。

 (効果が発現していない労務関係費の積算額)

 前記499件の事業について、労務関係費として積算された事業主負担額のうち、社会保険に加入すべき者等延べ5,218人に係る分を、就労延人日数を基に算出すると、合計1億7732万余円となる。

 (発生原因)

 事業体において、社会保険に加入すべき者等を加入させていない者が多数生じていることとなった原因についてみると、次のような点なども一因となっていると認められる。

〔1〕 事業体及び現場作業員において、社会保険等の制度に対する理解が十分でないこと

〔2〕 事業体において、林業の採算性の悪化などから林業生産活動が停滞し事業量の確保が困難となっていて、特に、造林事業においては、植付、下刈等の時期に作業が集中するなど季節変動が大きく雇用が不安定となっているなど経営に不安があるとして、現場作業員を社会保険等に加入させることに消極的であること
 しかし、主たる原因は、次のような点にあると認められる。

(ア) 貴庁において、社会保険等への加入の促進を実効あるものとするための具体的な方策を定めていないこと

(イ) 貴庁において、営林(支)局及び営林署に対して、現場作業員の雇用形態、年齢等についての実態把握を十分させていないこと

(ウ) 営林署において、事業体から保険料の納付書等を徴しているものの、これらには事業体の事業主負担額の支払総額が記入されているだけで、現場作業員の個別の加入状況が把握できるものとなっていないなど、事業体に対して、具体的に加入の促進を指導するなど実効ある措置が執られていないこと

3 本院が要求する是正改善の処置及び本院が表示する改善の意見

 国有林野事業において、素材生産事業は木材販売収入の確保を、造林事業は基本的な経営基盤である森林資源の整備充実を図るための事業である。また、事業体は経営改善計画の一施策であるこれら事業の請負化の担い手である。このため、事業体の経営体質の強化及び現場作業員の労働条件の改善などを促進し、これら事業を適切に実施することにより、最大限の収入確保と効率的な事業の実行を図ることが、国有林野事業の経営改善を進める上で重要な課題となっている。
 ついては、このような状況を踏まえ、貴庁において、前記の事態について次のような処置を講じる必要があると認められる。

(1) 適用除外者等に係る事業主負担額を含めて労務関係費として積算しているものについて(院法第34条による是正改善の処置要求)
 営林(支)局及び営林署に対し、各事業体の現場作業員の社会保険等への加入状況を的確に調査させ、加入の実態を把握させるとともに、これを労務関係費の積算に適切に反映させることにより、適用除外者等に係る事業主負担額を含めないようにさせること

(2) 事業体において、社会保険に加入すべき者等を加入させていないため、積算で見込んだ労務関係費がその効果を発現していないものについて(院法第36条による改善の意見表示)

 (ア) 社会保険へ加入すべき現場作業員で未加入となっている者及び退職金共済の被共済者になることができる者で被共済者となっていない者については、労働条件の改善を図るなどの事業体の育成・強化の方針に沿った加入の促進を実効あるものとするための具体的な方策を定めること

 (イ) 営林(支)局及び営林署で、関係行政機関との連携の下に、事業体を通じて現場作業員の社会保険等への加入を一層促進させるよう指導を強化すること

 (注1)  北海道ほか5営林(支)局 北海道、青森、東京、高知、熊本各営林局及び函館営林支局

 (注2)  29営林署 夕張、日高、黒松内、森、木古内、蟹田、増川、大間、大畑、遠野、川井、高萩、大子、平塚、天城、気田、浜松、松山、宇和島、川崎、大正、大栃、奈半利、熊本、八代、えびの、小林、都城、飫肥各営林署