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  • 平成6年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 農林水産省|
  • 平成5年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

飼料用外国産小麦の売渡しによるふすまの増産について


  飼料用外国産小麦の売渡しによるふすまの増産について

(平成5年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

 (検査結果の概要)

 農林水産省では、家畜の主要飼料であるふすまを増産するため、主食用小麦と品質の異ならない外国産小麦を飼料用として輸入し、所定の率以上の歩留りでふすまを生産することなどの条件を付して加工工場に売り渡している(以下、この制度により生産されるふすまを「増産ふすま」という。)。
 しかし、調査したところ、加工工場では、売渡条件に反して、飼料用小麦の一部を主食用に転用したり、所定の率に満たない歩留りで増産ふすまを生産したりしていて、適切とは認められない事態が見受けられた。
 このような事態が生じているのは、次のような理由などによると認められた。

(ア) 加工工場における売渡条件の履行状況を確認するための食糧事務所の立入調査や、財団法人日本穀物検定協会(以下「協会」という。)の検定などが実効性のあるものとなっていないこと

(イ) ふすま増産制度を取りまく状況が制度創設当時と大きく変化してきていて、現行制度が飼料用小麦の売渡数量、売渡条件、加工工場の配置等の面でその変化に十分適応できておらず、不合理な状態が生じているのに、農林水産省において抜本的な見直しをしていないこと

 (検査結果により要求した是正改善の処置)

 上記のような不適切な事態の再発を防止するとともに、より合理的に制度の目的を達成するよう、次のとおり、農林水産大臣に対し平成6年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。

(ア) 食糧事務所による立入調査、協会による検定及びこれに対する食糧事務所の指導監督を実効あるものとするために、関係要領の改正、協会や加工工場等に対する指導体制の確立などの所要の措置を早急に講ずること

(イ) 加工工場における増産ふすまの生産の実態、当面の増産ふすまの需給見通し等を調査し、これを踏まえて、現行のふすま増産制度における飼料用小麦の売渡数量、売渡条件、検定規格等について、早急に必要な見直しを行い、合理的なものに改めること

(ウ) 中長期的観点から、今後の飼料の需給見通し等を考慮した上で、加工工場の指定やふすまの増産の方法等、さらにはふすま増産制度全体の在り方について、一定の期間内に検討を行い、抜本的な見直しを行うこと

2 当局の処置状況

 農林水産省では、本院指摘の趣旨に沿い、不適切な事態の再発を防止し、制度の目的をより合理的に達成するため、次のような処置を執っている。

(ア) 食糧事務所による協会や加工工場等に対する指導監督が適切に行われるよう、7年4月に関係要領を改正するとともに、検定が適正に実施されるよう協会に対して検定体制の見直しを指導した。

(イ) 最近の増産ふすまの需給状況を踏まえ、増産ふすまの生産を適切なものとするため、飼料用小麦の売渡数量の調整により増産ふすまの生産数量を削減して供給の合理化を図るとともに、7年1月に増産ふすまの指示歩留りの引下げとそれに伴う検定規格の見直し及び飼料用小麦の売渡価格の引上げを行った。

(ウ) 今後の制度運営に当たり、制度の硬直的な部分を見直し需要動向に即応した弾力的な生産体制とするために、7年11月に増産ふすまの需給動向を計数的に把握するための報告体制を整備するための通達を発し、その報告結果により供給過剰地の加工工場を中心に飼料用小麦の売渡数量の調整を行うこととした。

 また、将来にわたり、増産ふすまの需要が減少し、相当量の売渡数量の削減を実施せざるを得ない場合に対応するため、飼料小麦加工専門工場においても需要に応じた弾力的な生産を行い得るよう、現行生産体制の見直しを図る方針で具体的方策を検討している。