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労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの


(187) 労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(徴収勘定)(款)保険収入(項)保険料収入
部局等の名称 北海道労働基準局ほか13労働基準局
保険料納付義務者 徴収不足があった事業主数 327事業主
徴収過大があった事業主数 149事業主
徴収過不足額 徴収不足額 202,561,713円
徴収過大額 45,535,707円
 労働保険の保険料の徴収に当たり、事業主からの申告に対する調査確認が十分でなかったため、上記の327事業主について徴収額が202,561,713円不足しており、149事業主について徴収額が45,535,707円過大になっていた。これらについては、本院の指摘により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。

1 保険料の概要

 (労働保険)

 労働保険は、労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険を総称するものである。このうち、〔1〕 労災保険は工場、事務所、商店等に雇われる労働者の業務上の事由又は通勤による負傷、疾病等に対する療養補償給付等を、〔2〕 雇用保険はこれらの労働者の失業に対する失業給付等を行う保険である。

 (保険料の徴収)

 保険料は、〔1〕 労災保険分については事業主が負担し、〔2〕 雇用保険分については、失業給付に充てる部分を労働者と事業主とが折半して負担し、雇用安定事業等に充てる部分を事業主が負担して、〔1〕 と〔2〕 のいずれも事業主が納付することとなっている。
 保険料の納付は、原則として次のとおり行われることとなっている。

 (ア) 毎年度の初めに、事業主は、都道府県労働基準局又は都道府県に対し、その年度の労働者に支払う賃金総額の見込額に労災保険率(注1) と雇用保険率(注2) とを合計した保険料率を乗じて算定した概算保険料を申告し、納付する。

 (イ) 次の年度の初めに、事業主は、都道府県労働基準局又は都道府県に対し、前年度に実際に支払った賃金総額に基づいて計算した確定保険料申告書を提出する。

 (ウ) 都道府県労働基準局又は都道府県は、この申告書の記載内容を審査し、その結果に基づき保険料の過不足分が精算される。

  (注1)  労災保険率 労災保険の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率等を考慮して定められており、事業の種類ごとに平成6年度の場合は最低1000分の6から最高1000分の149となっている。

  (注2)  雇用保険率 失業給付、雇用安定事業等に要する費用を考慮して定められており、平成6年度の場合は1000分の11.5(ただし、農林、水産等の事業は1000分の13.5、建設の事業は1000分の14.5)となっている。

2 検査の結果

 (検査の対象)

 北海道労働基準局ほか13労働基準局管内の700事業主について、都道府県労働基準局における保険料の徴収の適否を検査した。

 (徴収過不足の事態)

 検査したところ、上記の700事業主のうち、327事業主について徴収額が202,561,713円不足しており、149事業主について徴収額が45,535,707円過大になっていた。これは、上記の14労働基準局において、事業主が確定保険料申告書を提出するに当たり、制度を十分理解していなかったり、計算誤りをしたりなどしていて、賃金総額の記載が次のように事実と相違しているなどしていたのに、これに対する調査確認が十分でなかったことによるものである。

 (ア) 実際に支払った賃金の一部が算入漏れとなっていた。

 (イ) 雇用保険の加入要件を満たす臨時労働者(注) を保険加入させていなかったため、賃金が算入漏れとなっていた。

 なお、これらの徴収不足額及び徴収過大額については、本院の指摘により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。
 これらの徴収不足額及び徴収過大額を都道府県労働基準局別に示すと次のとおりである。

  (注)  雇用保険の加入要件を満たす臨時労働者 いわゆるパートタイマー、アルバイト等で1週間の所定労働時間が20時間以上(平成5年度以前は22時間以上)であることなどの要件を満たす者

労働基準局名 本院が調査した事業主数 徴収不足があった事業主数
徴収過大があった事業主数
徴収不足額
徴収過大額(△)

北海道労働基準局

77

53
9
千円
24,919
△2,737
宮城労働基準局 30 17
8
13,895
△1,422
埼玉労働基準局 61 27
11
30,769
△5,992
千葉労働基準局 71 27
17
26,321
△5,366
東京労働基準局 80 42
25
25,436
△6,833
神奈川労働基準局 75 36
9
17,003
△1,295
新潟労働基準局 24 13
6
3,345
△1,697
石川労働基準局 24 17
3
10,251
△132
愛知労働基準局 58 24
9
12,756
△6,311
京都労働基準局 24 10
4
7,916
△503
大阪労働基準局 68 27
21
20,351
△7,822
広島労働基準局 34 12
8
2,887
△1,033
福岡労働基準局 45 12
10
2,430
△2,089
大分労働基準局 29 10
9
4,277
△2,296
700 327
149
202,561
△45,535