科目 | (項)高速道路建設事業費 (項)高速道路改築事業費 |
(項)受託関連街路建設費 |
部局等の名称 | 首都高速道路公団本社 |
工事名 | OM17工区基礎工事ほか31工事 |
工事の概要 | 高速道路等の建設工事の一環として、高架橋の基礎杭、底版等を建設する工事 |
工事費 | 38,140,240,800円 (当初契約額34,416,317,000円) |
請負人 | 不動・岩田OM17基礎特定建設工事共同企業体ほか22共同企業体及び株式会社本間組東京支店ほか5会社 |
契約 | 平成3年12月〜7年3月 指名競争契約、随意契約 |
過大積算額 | 5200万円 |
<検査の結果> |
上記の各工事において、工事用電力費(積算額計3億5205万余円)の算定が適切でなかったため、積算額が約5200万円過大になっていた。 このように積算額が過大になっていたのは、近年、工事用の発動発電機が低料金でリースされるようになったことなどから、工事用電力のうち建設機械については発動発電機により電力を供給しているのに、これらの実態を積算に反映するための配慮が十分でなかったことによると認められた。 |
<当局が講じた改善の処置> |
本院の指摘に基づき、首部高速道路公団では、平成7年10年に、工事用電力費の積算が施工の実態に適合したものとなるよう積算の基準を改正し、同年11月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。 |
1 工事の概要
首都高速道路公団(以下「公団」という。)では、首都圏における高速道路等の建設工事を毎年多数実施している。そして、平成6年度に、これらの建設工事の一環として、高架橋の基礎杭、底版等の建設工事を32工事(工事費総額381億4024万余円)施行しており、これらの工事では、基礎杭を施工したり、鋼矢板を打設したりするなどのため、アースオーガ、ボーリングマシン、バイブロハンマ等の各種建設機械を多数使用している。
そして、このような建設機械を運転するために大きな電力を必要とするほか、工事現場を照明するなどのために電力を必要としている。
公団では、上記の工事用電力に係る経費(以下「工事用電力費」という。)を、本社制定の「工事設計積算基準(土木編)」(以下「積算基準」という。)に基づいて積算することとしている。
積算基準では、工事用電力は、電力会社が供給する電力(以下「購入電力」という。)によることとし、〔1〕 工事現場内に受配電設備を設置し、これにより電力会社からの高圧電力を低圧電力に変圧し、〔2〕 電力ケーブルを使用して建設機械、照明器具等にそれぞれ必要な電力を供給することとしている(参考図参照)
。
そして、工事用電力費を、受配電設備の損料、電力ケーブル等の配線工事費及び電力料金の合計額として、1工事当たり2,227,136円から22,346,437円、32工事で総額352,052,230円と積算していた。
2 検査の結果
公団では、基礎杭等の建設工事の施工に当たっては、建設機械を多数使用しており、工事用電力費が多額なものとなっていることから、その積算が施工の実態を反映した適切なものとなっているかを調査した。
調査したところ、前記の32工事において、建設機械については工事現場に搬入した発動発電機が発電する電力(以下「発電機電力」という。)を、照明器具等については購入電力を、それぞれ供給している状況であった(参考図参照)
。
そして、建設機械の電力について、発電機電力を供給しているのは次のようなことによると認められた。
(ア) 建設機械の電力を発電機電力で供給した場合、受配電設備を設置したり、建設機械用の電力ケーブルを配線したりする必要がなく、また、契約電力の大きさも照明器具等の電力のみとなるため著しく小さくなる。そして、基礎杭等の建設工事では、ほとんどの建設機械が断続的に短期間、電力を使用しており、このような場合は、近年、発動発電機が低料金でリースされるようになったため、発電機電力が購入電力に比べ経済的となること
(イ) 近年、発動発電機は、運転時の騒音が小さくなるなど性能が向上したため、市街地の工事においても支障なく使用できるようになったこと、また、発電機電力によれば、購入電力で必要とした建設機械用の電力ケーブルが不要となるため、工事用車両が走行し易くなったり、電力ケーブルからの漏電事故が防止できたりするなど施工性、安全性がよいこと
一方、工事期間中、継続して電力を使用している照明器具等の場合には、購入電力を供給する方法が経済的になると認められた。
したがって、工事用電力費の積算に当たっては、上記の施工の実態に即し、建設機械の電力を発電機電力で供給することとして積算を行う要があると認められた。
上記により、本件各工事における工事用電力費を修正計算すると、積算額を約5200万円低減できたと認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、公団では、7年10月に、工事用電力費の積算が施工の実態に適合したものとなるよう積算基準を改正し、同年11月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。