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  • 平成6年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第5 本州四国連絡橋公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

道路建設工事における伐開除根工費の積算を適切なものとするよう改善させたもの


道路建設工事における伐開除根工費の積算を適切なものとするよう改善させたもの

科目 (項)建設費
部局等の名称 第一、第三両建設局
工事名 岩屋西工事ほか7工事
工事の概要 本州と四国を連絡する一般国道28号(神戸・鳴門ルート)及び317号(尾道・今治ルート)の建設工事の一環として、切土・盛上等を行う工事
工事費 25,291,650,000円
請負人 熊谷・奥村土木・西武・大木・森土建岩屋西工事特定建設工事共同企業体ほか7共同企業体
契約 平成5年8月〜7年3月 指名競争契約
過大積算額 1億3500万円
 
<検査の結果>
 上記の各工事において、地山の伐開除根工費(積算額計3億2215万余円)の積算が適切でなかったため、積算額が約1億3500万円過大になっていた。
 このように積算額が過大になっていたのは、伐開除根工費の積算に係る基準を定める際の検討が十分でなく、普通作業員の歩掛かりが1時間で施工する場合のものであるのに、これに1日当たりの労務単価を乗じて工費を積算することとしていたことによるもので、歩掛かりの内容に応じた適切な労務単価を乗ずるよう積算の基準を改める要があると認められた。
 
<当局が講じた改善の処置>
 本院の指摘に基づき、本州四国連絡橋公団では、平成7年10月に、伐開除根工費の積算が適切なものとなるよう積算の基準を改正し、同年11月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。

1 工事の概要

 (工事の内容)

 本州四国連絡橋公団(以下「公団」という。)の第一及び第三両建設局では、本州と四国を連絡する一般国道28号(神戸・鳴門ルート)及び317号(尾道・今治ルート)の建設工事の一環として、平成6年度に、陸地部において切土・盛土等を行う工事を8工事(工事費総額252億9165万円)施行している。
 そして、これらの工事では、切土・盛土等の施工に際して、バックホウ及びブルドーザにより地山の草木竹の除根及び表土の削り取り(厚さ30cm)を行い、これを運搬距離に応じてブルドーザ又はダンプトラックにより運搬し捨土する伐開除根工を計575,343m2 施工している。

 (伐開除根工費の積算)

 公団では、地山の伐開除根工費は、本社制定の「積算要領(土木編)」(以下「積算要領」という。)に基づいて積算することとしている。この積算要領では、伐開除根工100m2 当たりの施工機械及び普通作業員の歩掛かりを定めるとともに、別途本社制定の「土木工事積算基礎単価表」に登載されている単価のうちそれぞれの歩掛かりに乗ずる単価の区分コードを示している。
 そして、前記の両建設局では、本件各工事の伐開除根工費について、積算要領に定める100m2 当たりの施工機械及び普通作業員の歩掛かりに、単価区分コードで示されたそれぞれの単価を乗じて、100m2 当たりの工費を算出し、これに施工数量を乗じて総額3億2215万余円と積算していた。

2 検査の結果

  (調査の観点)

 前記国道建設工事の進ちょくに伴い、伐開除根工の施工量も増加していることから、伐開除根工費の積算が適切なものとなっているか調査した。

  (調査の結果)

 調査したところ、積算要領において普通作業員の歩掛かりに乗ずることとして示されている区分コードの単価は、1日当たりの労務単価となっており、本件各工事においてもこの単価により100m2 当たりの工費を算出していた。
 しかし、普通作業員の歩掛かりのうち、施工機械のオペレータに対する指示や除根材の処分を行う普通作業員に係る歩掛かりは、他団体がその積算の基準において定めている歩掛かりを換算して定めたもので、100m2 を1時間で施工する場合の歩掛かりとなっている。
 したがって、この歩掛かりに1日当たりの労務単価を乗じて積算しているのは適切とは認められず、この歩掛かりについては、その内容に応じて、1日当たりの労務単価を積算上の実作業時間(7時間)で除した1時間当たりの額を乗ずるべきであると認められた。

  (低減できた積算額)

 上記により、本件各工事における伐開除根工費を修正計算すると、総額1億8662万余円となり、前記の積算額3億2215万余円を約1億3500万円低減できたと認められた。

  (発生原因)

 このような事態が生じていたのは、積算要領において伐開除根工費の積算に係る基準を定める際に、歩掛かりの内容についての検討が十分でなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、公団では、7年10月に、伐開除根工費の積算が適切なものとなるよう積算要領を改正し、同年11月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。