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  • 平成6年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第8 国際協力事業団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

国際研修センター等の管理業務請負契約における清掃業務費の積算を作業の実態に適合するよう改善させたもの


国際研修センター等の管理業務請負契約における清掃業務費の積算を作業の実態に適合するよう改善させたもの

科目 (国内研修施設勘定)(項)施設運営業務諸費
部局等の名称 国際協力総合研修所ほか6国際研修センター等
契約名 国際協力事業団国際協力総合研修所管理業務請負契約ほか6契約
契約の概要 国際協力総合研修所ほか6国際研修センター等の建物等の管理業務として、設備の管理、警備、清掃等の業務を行わせるもの
契約金額 1,278,526,188円
契約の相手方 東京ビジネスサービス株式会社
契約 平成6年4月 随意契約
過大積算額 5100万円

<検査の結果>

 上記の契約において、清掃業務費の積算(積算額計3億9322万余円)が適切でなかったため、積算額が約5100万円過大になっていた。
 このように積算額が過大になっていたのは、清掃業務の作業の実態が積算と比べて大幅に異なっているのに、国際協力事業団本部において、これを十分に把握しておらず、作業の実態に適合した積算の基準を示していなかったことなどによると認められた。

<当局が講じた改善の処置>

 本院の指摘に基づき、国際協力事業団では、平成7年11月に、清掃業務費の積算が適切なものとなるよう積算の基準を定めるなどし、8年度に締結する契約から適用することとする処置を講じた。

1 契約の概要

 (建物等管理業務請負契約の概要)

 国際協力事業団(以下「事業団」という。)では、開発途上国から受け入れる技術研修員等のための研修宿泊施設として、国際協力総合研修所ほか8国際研修センター等(注1) (以下、それぞれを「センター」という。)を運営している。これらの各センターでは、管理研修棟、宿泊棟などの建物等の設備管理、警備、清掃、フロント等の管理業務を保守管理会社2社に請け負わせ実施しており、平成6年度に、随意契約により、9センターの建物等の管理業務請負契約(契約総額15億8587万余円)をそれぞれ締結している。

 (清掃業務費の積算)

 上記の請負契約の管理業務のうち、清掃業務に係る経費(以下「清掃業務費」という。)の積算に当たっては、各センターではそれぞれ、請負業者より見積りを徴するなどして次のように算定することとしていた。

ア 一般清掃
 玄関ホール、廊下、事務室、講義室等については、カーペット床、プラスチックタイル床等により区分し、それぞれの清掃対象面積を算定し、これに各センターでそれぞれ定めた作業単価を乗じて算定する。

イ 客室清掃
 客室内の床清掃、ベッドメイキング、バス・トイレ清掃等に要する客室1室当たりの清掃時間(以下「客室清掃時間」という。)を求め、これに各センターでそれぞれ定めた清掃員の労務単価と客室数を乗じて算定する。
 ただし、国際協力総合研修所ほか5センターでは、このうち客室内の床清掃については、これを客室清掃時間の算定から除外し、一般清掃のカーペット床に加えて積算するなどしていた。

2 検査の結果

 (調査の観点)

  各センターでは、本件契約のうちフロント業務等の人件費分については、毎年度事業団体本部が定める統一単価により積算しているが、清掃業務費については、その労務単価、算定方法等がセンターにより区々となっているので、その積算が作業の実態を反映したものとなっているかという観点から調査した。

 (調査の結果)

 調査したところ、国際協力総合研修所ほか6センター(注2) が保守管理会社1社と締結した建物等管理業務請負契約(契約総額12億7852万余円)の清掃業務費の積算(積算額計3億9322万余円)のうち客室清掃について、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

ア 客室清掃時間の算定について
 上記の7センターでは、請負業者が見積りにより提示した客室清掃時間をそのまま採用していた。しかし、これらの客室清掃時間は、客室の面積やバス・トイレの配置が類似していて、別の保守管理会社と契約を締結している九州、沖縄両国際センターにおける客室清掃時間に比べ、3割程度多いものとなっていた。
 そこで、比較的少ない時間で実施している上記の2センターについて、実際の作業体制を調査したり、作業時分を測定したりして、実際の客室清掃時間を確認したところ、ほぼ積算の時間内で作業が実施されていた。したがって、客室の構造が類似しその清掃作業の内容がほぼ同様である上記7センターの客室清掃時間は過大に算定されているものと認められた。

イ 労務単価について
 上記の7センターでは、請負業者が見積りにより提示した清掃員の1時間当たりの労務単価をそのまま採用していた。しかし、これらの労務単価は、物価調査機関が実態調査に基づき算出し、清掃業務費積算の参考として一般に公表している清掃員の労務単価(以下「調査単価」という。)に比べ、平均して3割程度割高なものとなっていた。

ウ 客室内の床清掃について
 客室内の床清掃については、各センターとも、前日に使用された客室のみを清掃することとなっている。しかし、上記の7センターのうち2センターを除く国際協力総合研修所ほか4センター(注3) では、客室の床部分の清掃について、これを客室清掃時間の算定から除外し、全客室の総床面積を一般清掃のカーペット床の対象面積に加えていた。このため、積算上、客室内の床清掃は一般清掃と併せて毎日すべての客室を行うこととなっており、作業の実態と異なっていた。

 上記のように、これらのセンターの清掃業務費の積算は、作業の実態と比べて大幅に異なっており、適切とは認められず、作業の実態に適合するよう、適切な客室清掃時間を求め調査単価を採用するなどして積算し、清掃業務費の低減を図る要があると認められた。

 (低減できた積算額)

 上記の7センターの清掃業務費について、客室清掃時間は九州、沖縄両国際センターでの客室清掃時間を基とし、また、労務単価は調査単価を適用することなどとして修正計算すると、清掃業務費は計3億4133万余円となり、前記の積算額3億9322万余円を約5100万円低減できたと認められた。

 (発生原因)

 このような事態が生じていたのは、近年、研修生の受入れの拡大に伴い、大規模なセンターが設置され、その清掃業務費が多額に上っているのに、事業団本部において、各センターにおける作業の実態を十分把握しておらず、作業の実態に適合した積算の基準を示していなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、事業団では、平成7年11月に、清掃業務費の積算が作業の実態に適合したものとなるよう、客室清掃時間及び労務単価について積算の基準を定めるなどし、8年度に締結する契約から適用する処置を講じた。

 (注1)  国際協力総合研修所ほか8国際研修センター等 国際協力総合研修所、東京、八王子、名古屋各国際研修センター、大阪、九州、沖縄各国際センター、筑波インターナショナルセンター、神奈川国際水産研修センター

 (注2)  国際協力総合研修所ほか6センター 国際協力総合研修所、東京、八王子、名古屋各国際研修センター、大阪国際センター、筑波インターナショナルセンター、神奈川国際水産研修センター

 (注3)  国際協力総合研修所ほか4センター 国際協力総合研修所、東京、名古屋両国際研修センター、大阪国際センター、神奈川国際水産研修センター