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  • 平成6年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 貸付金

中小企業高度化資金の貸付けが不当と認められるもの


(209)  中小企業高度化資金の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 中小企業事業団
貸付けの根拠 中小企業事業団法(昭和55年法律第53号)
貸付金の種類 共同施設資金貸付金(構造改善等高度化(特定))
貸付けの内容 中小企業者に対し中小企業高度化資金の貸付けを行う都道府県に対する資金の貸付け
貸付先 京都府
貸付金額 326,720,000円
府の貸付先及び貸付金額 事業協同組合(舞鶴市所在) 484,030,000円
府の不当貸付金額 95,382,955円
貸付けの目的に沿わない事業団の貸付金相当額 64,383,445円

 上記の府で中小企業者に対して行った484,030,000円の貸付けにおいて、95,382,955円の貸付けが不当と認められ、ひいては中小企業事業団の貸付金相当額64,383,445円が貸付けの目的に沿わない結果になっていると認められる。

1 貸付金の概要

 (制度の概要)

 中小企業事業団(以下「事業団」という。)は、中小企業事業団法(昭和55年法律第53号)に基づき、中小企業者が企業規模の適正化、事業の共同化、工場・店舗等の集団化等を図るための事業の用に供する土地、建物その他の施設の取得等を行う場合に、これに必要な資金として中小企業高度化資金の貸付けを行う都道府県に対して、その財源の一部を貸し付けている。その貸付条件は、貸付利率を無利子から年4.1%までとし、償還期限を20年以内としている。
 都道府県は、この借入金に自己資金を合わせて中小企業者に貸し付けている。その貸付条件は、貸付利率を無利子又は年2.7%とし、償還期限を上記と同様20年以内としていて、極めて低利かつ長期のものとなっている。
 そして、事業団が都道府県に中小企業高度化資金を貸し付ける場合は、あらかじめ都道府県において借入申込者の事業計画について診断を実施し、事業団はその事業計画の内容を審査したうえ妥当と認めたものについて貸し付けることとしている。
 また、都道府県は、貸付後における貸付金の使用状況の確認等を実施することとしている。

 (本件貸付金の概要)

 事業団は、平成3年12月及び4年2月、京都府に対して共同施設資金貸付金(構造改善等高度化(特定))計326,720,000円を無利子で貸し付けていた。同府は、上記の貸付金に府費を合わせて財源とし、3年12月及び4年2月、舞鶴市所在の事業協同組合(以下「組合」という。)に対して、掘進機、ブルドーザ等の建設機械の購入に必要な資金608,845,000円(貸付対象事業費同額)の一部として計484,030,000円を無利子で貸し付けていた。

2 検査の結果

 上記の貸付けについて調査したところ、組合は、建設機械のうち掘進機1台を3年9月に119,979,000円で購入していたが、4年3月、同府に無断で購入先の業者に買い取らせていた。
 したがって、当該掘進機に係る貸付金相当額95,382,955円(うち事業団の貸付金相当額64,383,445円)は、貸付けの目的を失っている。
 これは、同府が4年12月に実施した完了検査において、貸付対象設備の設置状況等の確認が十分でなかったことなどによると認められた。
 なお、本件の不当貸付金額については、7年11月に繰上償還等の措置が執られた。