科目 | (款)雑収入 (項)土地等貸付収入 |
部局等の名称 | 北海道、新潟両支社 |
土地の貸付けの概要 | 売却予定の土地について、暫定利活用による収入の確保等を図るため、簡易駐車場用地として貸し付けるもの |
貸付けの相手方 | 株式会社駅レンタカー北海道ほか1会社 |
土地の使用料 | 243,896,100円 | (平成5、6両年度) |
徴収不足となっていた土地の使用料 | 33,701,600円 | (平成5、6両年度) |
<検査の結果> |
上記の土地の貸付けにおいて、土地の使用料の算定に当たり、駐車場の実際の収入額の調査、確認が的確に行われていなかったため、土地の使用料33,701,600円が徴収不足となっていた。 このような事態が生じていたのは、事務取扱いの要領で、貸付けの相手方とデパート等第三者との間での駐車場利用の契約に基づく駐車場収入の取扱いについて明確に定めていなかったこと、収入実績報告書の様式等について具体的に定めていなかったことなどによると認められた。 |
<当局が講じた改善の処置> |
本院の指摘に基づき、日本国有鉄道清算事業団では、平成7年11月に、各支社に対して通達を発し、駐車場収入の取扱いを明確に示すとともに、事務取扱いの要領で駐車場収入の調査、確認を的確に行えるように収入実績報告書の様式等を具体的に定めるなどの処置を講じた。 |
1 土地の貸付けの概要
日本国有鉄道清算事業団(以下「事業団」という。)では、売却予定の土地の暫定利活用による収入の確保等を図るため、売却するまで期間的に余裕があるなどの土地について、簡易駐車場用地として一時使用承認により貸付けを行っている。
本件土地の貸付けに当たっては、事業団本社制定の「簡易駐車場事務取扱要領」(平成元年用管資第66号。以下「要領」という。)に基づき、貸付け申請の際に貸付けの相手方から駐車場配車図、駐車料金等の書類を添付した「簡易駐車場一時使用承認願」を提出させ、これを審査したうえ承認することとなっている。そして、簡易駐車場用地として貸し付けた土地の使用料については、要領に基づき、駐車場収入(消費税相当額を除く。)から貸付けの相手方が駐車場の管理運営を行うための必要経費を控除するなどして算定することとなっている。
そして、土地の使用料は、契約期間(要領では原則6箇月以内)の当初又は中間の日までに概算により全額を徴収し、貸付けの相手方から各契約期間終了後に提出される簡易駐車場収入実績報告書(以下「収入実績報告書」という。)により実績額を確定した後速やかに精算することとなっている。
2 検査の結果
(調査の観点及び対象)
土地の使用料は、上記のとおり、貸付けの相手方から提出される収入実績報告書に記載された収入額に基づいて算定することとなっている。そこで、この収入額が駐車場の実際の収入額に即した適切なものとなっているかなどの観点から、北海道支社ほか4支社(注) が簡易駐車場用地として貸し付けている13箇所の土地について調査した。
(調査の結果)
調査の結果、北海道、新潟両支社が簡易駐車場用地として貸し付けている札幌駅前の土地2,981m2 (5年4月から7月までは5,701m2 )及び新潟駅前の土地2,816m2 について、次のとおり、収入実績報告書に記載されている収入額と実際の収入額との間に開差が見受けられ、これら駐車場に係る土地の使用料が徴収不足になっていると認められた。
(ア) 札幌駅前の駐車場用地については、時間制及び月極めの併用駐車場として営業されている。貸付けの相手方では、時間制駐車料金の徴収に当たり、本件駐車場の近傍にあるデパート等の利用客の分については、デパート等第三者との間で締結した駐車場利用の契約に基づき、駐車サービス券(2時間、3時間又は5時間の3種類)を持参した利用客に対して無料扱いとしている。そして、その無料扱いとした駐車料金については、駐車サービス券の利用時間に相当する駐車料金を1箇月分まとめてデパート等第三者から収受していた。
しかし、収入実績報告書には、駐車サービス券の利用客が実際に駐車した時間の方が駐車サービス券による利用時間よりも短い場合に、実際に駐車した時間に基づいて計算した駐車料金のみを収入額として記載していた。このため、収入実績報告書に記載された収入額は、実際の収入額に比べて低額となっていた。
したがって、収入実績報告書に記載されている収入額と実際の収入額との間に5年度14,701,016円、6年度16,624,828円、計31,325,844円の開差が生じていた。
(イ) 新潟駅前の駐車場用地については、時間制及び月極めの併用駐車場として営業されている。貸付けの相手方では、時間制駐車料金の徴収に当たり、本件駐車場の近傍にあるホテルの利用客(宿泊客)の分については、ホテルとの間で締結した駐車場利用の契約に基づき、駐車券(1泊分)を持参した利用客に対して無料扱いとしている。そして、その無料扱いとした駐車料金については1箇月分をまとめてホテルから収受していた。
しかし、収入実績報告書に記載された収入額には、ホテルの利用客に係る駐車料金について、5年度は実際の収入額の全額が、6年度はその一部しか、それぞれ計上されていないなどの状況であった。
したがって、収入実績報告書に記載されている収入額と実際の収入額との間に5年度10,600,895円、6年度7,981,080円、計18,581,975円の開差が生じていた。
本件2駐車場について、実際の収入額により、必要経費を控除するなどして、土地の使用料を計算すると、5年度150,333,300円、6年度127,264,400円、計277,597,700円となり、5年度18,485,900円、6年度15,215,700円、計33,701,600円が徴収不足になっていると認められた。
このような事態が生じていたのは、貸付けの相手方において、収入実績報告書における駐車場収入の取扱いについて理解が十分でなかったことにもよるが、次の理由などによると認められた。
(ア) 要領では、貸付けの相手方とデパート等第三者との間での駐車場利用の契約に基づく駐車場収入の取扱いについて明確に定めていなかったこと、収入実績報告書の様式及びこれに添付する実際の収入額を証明する関係書類について具体的に定めていなかったこと
(イ) 支社において、収入実績報告書に記載された駐車場収入の調査、確認を的確に行っていなかったこと、貸付けの相手方に対する収入実績報告書における駐車場収入の取扱いについての指導が十分でなかったこと
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、事業団では、7年11月に、各支社に対して通達を発し、駐車場収入の取扱いを明確に示すとともに、要領で駐車場収入の調査、確認を的確に行えるように収入実績報告書の様式等を具体的に定めるなどの処置を講じた。
(注) 北海道支社ほか4支社 北海道、新潟、関東、中部、近畿各支社