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  • 平成7年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 農林水産省|
  • 平成6年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

国有林野事業の素材生産及び造林の請負化に伴う社会保険料等について


(3) 国有林野事業の素材生産及び造林の請負化に伴う社会保険料等について

(平成6年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置及び表示した改善の意見

 (検査結果の概要)

 林野庁では、国有林野事業における素材生産及び造林の施行については、請負化を推進している。そして、この請負化の担い手である森林組合、素材生産業者、造林業者等の林業事業体(以下「事業体」という。)の育成・強化のための諸施策の一環として、事業体が雇用している現場作業員の社会保険等への加入を促進して労働条件の改善を図ってきている。このため、素材生産事業及び造林事業の予定価格の積算に当たって、現場作業員に係る社会保険料等の事業主負担額については、現場作業員の全員が加入しているものとして、これを労務関係費として計上している。
 そこで、現場作業員の社会保険等への加入状況等を調査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 社会保険等に加入できない者に係る事業主負担額を含めて労務関係費として積算しているもの

(2) 事業体において、社会保険に加入すべき者等を加入させていないため、積算で見込んだ労務関係費がその効果を発現していないもの

 このような事態が生じているのは、主として次の事由によると認められた。

 (1)については、現場作業員の個別の加入状況を調査しないまま、全員が加入しているものとして労務関係費を積算することとしていたこと

 (2)については、〔1〕 林野庁において、社会保険等への加入の促進を実効あるものとするための具体的な方策を定めていないこと、そして、営林(支)局、営林署に対して、現場作業員の雇用形態、年齢等についての実態把握を十分させていないこと 〔2〕 営林署において、事業体に対して、具体的に加入の促進を指導するなど実効ある措置が執られていないこと

 (検査結果により要求した是正改善の処置及び表示した改善の意見)

 上記のような不適切な事態の再発を防止するとともに、施策の目的が達成されるよう、次のとおり、林野庁長官に対し平成7年12月に、上記の(1)については、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求し、(2)については、同法第36条の規定により改善の意見を表示した。

 (1)については、営林(支)局及び営林署に対し、各事業体の現場作業員の社会保険等への加入状況を的確に調査させ、加入の実態を把握させるとともに、これを労務関係費の積算に適切に反映させることにより、適用除外者等に係る事業主負担額を含めないようにさせること

 (2)については、〔1〕 社会保険へ加入すべき現場作業員で未加入となっている者等について、労働条件の改善を図るなどの事業体の育成・強化の方針に沿った加入の促進を実効あるものとするための具体的な方策を定めること 〔2〕 営林(支)局及び営林署で、関係行政機関との連携の下に、事業体を通じて現場作業員の社会保険等への加入を一層促進させるよう指導を強化すること

2 当局が講じた改善の処置

 林野庁では、本院指摘の趣旨に沿い、不適切な事態の再発を防止し、施策の目的が達成されるよう、次のような処置を講じた。

 (1)については、営林(支)局及び営林署に対し、8年2月に事務連絡を発し、各事業体の現場作業員の社会保険等への加入状況を的確に調査し、加入の実態を把握した。そして、同年4月に関係通達を改正し、現場作業員の社会保険等への加入の実態を労務関係費の積算に適切に反映させ、適用除外者等に係る事業主負担額を含めないこととし、8年度の予定価格の積算から適用した。また、9年度以降については、8年8月に関係通達を改正し、現場作業員の社会保険等への加入状況を的確に調査し、加入の実態を把握することとした。

 (2)については、〔1〕 社会保険へ加入すべき現場作業員で未加入となっている者等について、労働条件の改善を図るなどの方針に沿った加入の促進を実効あるものとするため、同年4月に関係通達を改正し、個別の現場作業員の社会保険等への加入状況が把握できるようにした。そして、同年8月に関係通達を改正し、加入促進のための具体的な実施手続を定めた。 〔2〕 同年8月に新たな通達を発し、営林(支)局及び営林署で、関係行政機関との連携の下に、社会保険制度の周知徹底を図り、事業体を通じて現場作業員の社会保険等への加入を一層促進させるよう指導することとした。