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  • 平成8年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第8 日本育英会|
  • 平成7年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

育英奨学金の回収について


育英奨学金の回収について

(平成7年度決算検査報告参照)

1 本院が表示した改善の意見

(検査結果の概要)

 日本育英会では、国家及び社会に有為な人材の育成に資するとともに、教育の機会均等に寄与することを目的として、大学等における優れた学生及び生徒であって経済的理由により修学が困難な者に対する奨学金の貸付け、回収等の育英奨学事業を行っている。この奨学金の原資は、奨学金の貸与を受けた者からの回収金、一般会計及び資金運用部資金からの借入金等である。

 そこで、奨学金の回収状況を調査したところ、毎年滞納額が増加し、滞納期間も長期化してきており、適切とは認められない事態が見受けられた。
 このような事態が生じているのは、日本育英会において、奨学生等に対して返還意識の向上を十分図っていなかったり、返還金の口座振替による月賦払いの方法を導入したものの、返還者に対し周知していなかったりしていることなどによると認められた。

(検査結果により表示した改善の意見)

 育英奨学金の回収金の滞納の防止及び解消を図ることにより資金を効率的に運用し、育英奨学事業の適切な運営に努め、国の負担の増大を抑制するよう、次のとおり、日本育英会理事長に対し平成8年12月に、会計検査院法第36条の規定により改善の意見を表示した。

(ア) 奨学生等に対して、育英奨学制度及び返還の重要性を周知徹底し、返還意識の向上を図ること

(イ) 返還金の口座振替による月賦払いを強力に推進すること

(ウ) 滞納者、連帯保証人及び保証人に対する早期適切な督促体制を整備すること

(エ) 滞納者等の現状を把握して滞納原因を調査分析し、実情に合った有効な対策が執られるよう事務処理体制を整備すること

2 当局が講じた改善の処置

 日本育英会では、本院指摘の趣旨に沿い、回収金の滞納の防止及び解消が図られるよう、次のような処置を講じた。

(ア) 奨学生採用通知への返還条件の明示、返還説明会等の拡充、大学等に対する滞納の防止の協力依頼等を行い、奨学生等に対して育英奨学制度及び返還の重要性を周知徹底し、返還意識の向上を図った。

(イ) 返還金の口座振替については、既存の返還者に対しても加入の促進を図り、また、10年3月以降に卒業等により貸与が終了する者については、奨学金借用証書に自動引落しによる返還の方法を明示し、原則として全員口座振替によることとした。

(ウ) 滞納者、連帯保証人及び保証人に対する電話督促を強化するなど早期適切に督促できるよう体制を整備した。

(エ) 滞納者等の現状調査、毎月の滞納状況の把握等を行い、これらに基づき実情に合った有効な対策が執れるよう事務処理体制を整備した。