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  • 平成9年度|
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大学病院における診療報酬の請求に当たり、手術料等の請求額に過不足があったもの


(2)−(18) 大学病院における診療報酬の請求に当たり、手術料等の請求額に過不足があったもの

会計名及び科目 国立学校特別会計 (款)附属病院収入 (項)附属病院収入
部局等の名称 北海道大学ほか16大学(23大学病院)
請求過不足があった診療報酬 手術料、検査料、麻酔料等
請求過不足額 請求不足額 134,558,200円 (23大学病院)
請求過大額 2,752,250円 (1大学病院)

1 診療報酬の概要

(診療報酬の算定及び請求)

 国立大学の医学部等に附属する病院(以下「大学病院」という。)では、臨床医学の教育・研究を行うほか、保険医療機関として患者の診療を行っている。
 保険医療機関は、「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」(平成6年厚生省告示第54号。以下「厚生省告示」という。)等により、診療報酬として医療に要する費用を所定の診療点数に単価(10円)を乗じて算定することとなっている。そして、保険医療機関は、健康保険法(大正11年法律第70号)等により、診療報酬のうち患者負担分を患者に請求し、残りの診療報酬については、診療報酬請求書に診療報酬の明細を明らかにした診療報酬明細書を添付して、社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に対して請求することとなっている。

(診療報酬の構成)

 診療報酬は、厚生省告示により、基本診療料と特掲診療料から構成されている。
 このうち、基本診療料は、初診、再診及び入院診療の際にそれぞれ行われる診療行為又は入院サービスの費用などを一括して算定するもので、初診料、再診料、入院料等に区分されている。
 また、特掲診療料は、基本診療料として一括して算定することが妥当でない特別の診療行為に対し、個々に定められた診療点数によりその費用を算定するもので、検査料、投薬料、手術料、麻酔料等に区分されている。

(手術料、検査料及び麻酔料)

 特掲診療料のうち手術料は、厚生省告示により、手術の種類ごとに所定の点数が定められている。そして、手術において、特定保険医療材料(注1) を使用した場合は、手術の点数に、特定保険医療材料の点数を合算した点数により算定することとなっている。
 検査料は、厚生省告示により、検査の種類ごとに所定の点数が定められている。そして、高度の医療を提供する大学病院において、血液、尿等の各種の検体検査を入院中の患者に対し実施した場合は、その点数を個別に算定せずに、それらを包括した基本的検体検査実施料及び基本的検体検査判断料の点数を算定することとなっている。
 麻酔料は、厚生省告示により、麻酔の種類ごとに所定の点数が定められている。そして、マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔(注2) を低血圧麻酔による手術で実施した場合は、この麻酔の点数にその100分の100に相当する点数を加算して算定することとなっている。また、麻酔に当たって、一部の特定保険医療材料については、他の特定保険医療材料と組み合わせて使用した場合にのみ、麻酔の点数にそれらの点数を合算した点数により算定できることとなっている。

(大学病院における診療報酬の請求事務)

 大学病院では、診療報酬請求事務をコンピュータシステムにより行っている。すなわち、検査、手術等の診療行為を行った場合には、診療部門で検査名、手術名、麻酔の方法、使用した特定保険医療材料等を伝票に記載して料金算定部門に送付し、料金算定部門では、この伝票の記載内容をコンピュータに入力し、これにより診療報酬の算定を行っている。

(注1)  特定保険医療材料 手術等の所定点数に併せてその費用を算定することができるものとして厚生大臣が定めている保険医療材料で、人工心臓弁、人工関節などがこれに該当する。

(注2)  閉鎖循環式全身麻酔 外気から閉鎖された回路を介して行う吸入麻酔法をいう。閉鎖循環式全身麻酔器を用いて、患者の呼気中の炭酸ガスを除去しながら、麻酔ガスと酸素を補給する。

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道大学ほか25大学の41大学病院における平成9年度の診療報酬の請求の適否について検査した。

(請求過不足の事態)

 検査の結果、北海道大学ほか16大学の23大学病院において、診療報酬請求額が不足していたものが、5,083件、134,558,200円あり、秋田大学医学部附属病院において、診療報酬請求額が過大になっていたものが331件、2,752,250円あった。
 これらについて、その主な態様を診療報酬の別に示すと次のとおりである。

ア 手術料に関するもの

 北海道大学ほか16大学の22大学病院では、手術において人工心臓弁、人工関節などの特定保険医療材料を使用しているのに、これらの特定保険医療材料の点数を合算していないなどしていた。このため、手術料が過小に算定され、診療報酬請求額が2,285件、89,994,550円不足していた。

イ 検査料に関するもの

 北海道大学ほか16大学の20大学病院では、入院中の患者に対し実施した各種の検体検査について、基本的検体検査実施料等の点数を算定していなかったり、呼吸循環機能の検査料について所定の点数を算定していなかったりなどしていた。このため、検査料が過小に算定され、診療報酬請求額が1,382件、15,947,050円不足していた。

ウ 麻酔料に関するもの

 北海道大学ほか16大学の22大学病院では、マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を低血圧麻酔による手術で実施しているのに、100分の100の加算を行っていないなどしていた。このため、麻酔料が過小に算定され、診療報酬請求額が659件、15,138,000円不足していた。
 また、秋田大学医学部附属病院では、麻酔料の算定に当たって、特定保険医療材料を合算できなかったのに、合算していた。このため、麻酔料が過大に算定され、診療報酬請求額が331件、2,752,250円過大になっていた。

 上記のように診療報酬の請求に当たり、請求額に過不足が生じていたのは、主として次のようなことによると認められた。

(ア) 請求不足については、大学病院の診療部門において、手術、検査等の診療内容を伝票に記載する際に、使用した特定保険医療材料、麻酔の方法、検査名等に関する記入を漏らしていたこと及び料金算定部門において、伝票の記載内容をコンピュータに入力する際に記載内容を見落として入力していなかったり、検査料の算定方法に関する認識が十分でなかったりしていたこと

(イ) 請求過大については、大学病院の料金算定部門において、麻酔料の算定に当たって、特定保険医療材料の取扱いについて理解が十分でなかったこと

 上記の事態を大学病院別に示すと次のとおりである。

上記の事態を大学病院別に示すと次のとおりである。