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社会福祉施設等施設整備費補助金等の経理が不当と認められるもの


(61)−(64) 社会福祉施設等施設整備費補助金等の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 (1) 一般会計 (組織)厚生本省 (項)社会福祉施設整備費
(項)社会福祉諸費
(2) 一般会計 (組織)厚生本省 (項)保健衛生施設整備費
部局等の名称 (1) 青森県ほか1県
(2) 東京都ほか1府
補助の根拠 (1) 老人福祉法(昭和38年法律第133号)
(2) 予算補助
事業主体 (1) 2社会福祉法人
(2) 1医療法人及び1学校法人
4事業主体
補助事業 (1) 社会福祉施設等整備 2事業
(2) 医療施設等整備 2事業
4事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 (1) 376,068,000円 (平成7、8両年度)
(2) 335,455,000円 (平成7、8両年度)
711,523,000円
不当と認める国庫補助金交付額 (1) 10,522,000円 (平成7、8両年度)
(2) 15,788,000円 (平成7、8両年度)
26,310,000円

1 補助金の概要

 厚生省は、地方公共団体に対して、社会福祉施設等の整備に要する補助金及び医療施設等の整備に要する補助金を交付している。

(1) 社会福祉施設等施設整備費補助金及び社会福祉施設等設備整備費補助金

 これらの補助金は、施設入所者等の福祉の向上を図るため、老人福祉法(昭和38年法律第133号)等に基づき、市町村、社会福祉法人等が行う社会福祉施設等の整備事業に対し、都道府県及び市(以下「県等」という。)が補助する場合、その事業に要する費用の一部を国が補助するものである。
 上記の社会福祉施設等の整備事業のうち、老人福祉施設の整備事業は、老人の福祉に資するため、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、ケアハウス等の施設及び設備を整備するものである。
 そして、国庫補助金の交付額は、「社会福祉施設等施設整備費及び社会福祉施設等設備整備費の国庫負担(補助)について」(平成3年厚生省社第409号)により、施設整備事業及び設備整備事業ごとに次のように算定することとなっている。

(ア) 施設整備事業については、整備する各施設ごとの本体工事費、暖房設備工事費等の経費の種目ごとに、また、設備整備事業については、整備する各施設ごとの一般設備、非常通報装置等の経費の種目ごとに、所定の基準額と補助対象となる経費の実支出額(以下「対象経費実支出額」という。)とを比較して少ない方の額を選定する。

(イ) (ア)により経費の種目ごとに選定した額の合算額と、施設又は設備整備に係る総事業費から寄付金その他の収入額(社会福祉法人等の場合は、寄付金収入を除く。)を控除した額とを比較して少ない方の額に県等の補助率4分の3を乗ずる。

(ウ) (イ)により得られた額と、県等が社会福祉法人等に補助した額とを比較して少ない方の額(補助対象事業費)に国庫補助率3分の2を乗じて得た額の範囲内の額を交付額とする。

(2) 医療施設等施設整備費補助金

 この補助金は、医療従事者の職場環境の改善及び医療従事者の養成力の充実等を図るため、「医療施設等施設整備費補助金交付要綱」(昭和54年厚生省発医第137号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、市町村、医療法人等が行う医療施設近代化施設整備事業、理学療法士等養成所施設整備事業等の医療施設等の整備事業に対し、都道府県が補助する場合、その事業に要する費用の一部を国が補助するものである。
 上記の医療施設等の整備事業のうち、医療施設近代化施設整備事業は、病院等における患者の療養環境及び医療従事者の職場環境の改善等を図るため施設を整備するものであり、また、理学療法士等養成所施設整備事業は、理学療法士及び作業療法士の学校又は養成所の施設を整備するものである。
 そして、国庫補助金の交付額は、交付要綱により、次のように算定することとなっている。

 〔1〕  医療施設近代化施設整備事業

(ア) 所定の基準額と対象経費実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。

 補助対象となる経費については、病棟(病室、診察室等)や厚生大臣が認める環境整備に係る施設の新築、増改築及び改修に要する工事費とされており、病院を経営する医療法人等の法人本部に係る施設の工事費は補助の対象とはならないものである。

(イ) (ア)により選定した額と、総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額(補助対象事業費)を選定する。

(ウ) 都道府県が、(イ)により選定した額に、3分の2から3分の1の範囲内で厚生大臣が認めた率を乗じて得た額を補助する施設ごとに、(イ)により選定した額に国庫補助率3分の1を乗じて得た額を交付額とする。

 〔2〕  理学療法士等養成所施設整備事業

(ア) 所定の基準額と対象経費実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。

(イ) (ア)により選定した額と、総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額(補助対象事業費)に2分の1を乗じる。

(ウ) (イ)により得られた額と、都道府県が市町村、医療法人等に補助した額とを比較して少ない方の額を交付額とする。

2 検査の結果

 本院では、特別養護老人ホーム等の老人福祉施設については昨年、重点的に検査を行い、その結果を平成8年度決算検査報告に不当事項及び特定検査対象に関する検査状況として掲記したところであり、本年も引き続き、昨年検査対象としなかった地域において検査を行うとともに、新たに、病院等の医療施設等を対象として検査を行った。
 検査の結果、2事業主体が実施した特別養護老人ホーム等の施設整備事業及び設備整備事業の2事業に係る国庫補助金10,522,000円、2事業主体が実施した病院等の施設の整備の2事業に係る国庫補助金15,788,000円、計26,310,000円が不当と認められる。
 これを不当の態様別に示すと次のとおりである。

〔1〕  補助金を過大に交付しているもの
2事業 不当と認める国庫補助金 8,753,000円
〔2〕  補助の対象とは認められないもの
1事業 不当と認める国庫補助金 11,487,000円
〔3〕  補助対象事業費を過大に精算しているもの
1事業 不当と認める国庫補助金 6,070,000円

 これは、事業主体の補助事業に対する認識が十分でなかったこと、都府県において事業主体から提出された実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによるものである。
 これらの事態を都府県別・補助事業別に示すと次のとおりである。


都府県名 補助事業 事業主体
(所在地)
年度 補助対象事業費 左に対する国庫補助金 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金 摘要


(1)社会福祉施設等整備

(61)

青森県

老人デイサービスセンター設備整備

社会福祉法人忠悠福祉会
(青森市)

7
千円
10,177
千円
6,784
千円
6,679
千円
4,452

補助金の過大交付

 社会福祉法人忠悠福祉会(以下「福祉会」という。)は、平成7年度に老人デイサービスセンターの新設に伴う厨房機器、特殊浴槽、事務機器等の設備整備を総事業費17,374,528円(補助対象事業費10,177,000円)で実施したとして、これを基に算定された国庫補助金6,784,000円の交付を受けていた。
 しかし、福祉会では、実際は、厨房機器及び特殊浴槽については、既に、施設整備事業の対象としていた老人デイサービスセンターの建築工事請負契約によって設置しており、本件設備整備事業の対象としていた売買契約に基づく支払は行われていなかった。また、事務機器等については、契約額を水増しするなどしていた。このことから、本件設備整備事業は、実績報告書記載の総事業費より低額な4,664,029円で実施されていた。
 したがって、実際の総事業費(補助対象事業費3,498,000円)に基づき国庫補助金を算定すると、適正な設備整備の国庫補助金は2,332,000円となり、前記の国庫補助金との差額4,452,000円が過大に交付されていた。
(62) 奈良県 特別養護老人ホーム等施設整備 社会福祉法人大和会
(山辺郡山添村)
7、8 553,931 369,284 9,105 6,070 補助対象事業費の精算過大

 社会福祉法人大和会(以下「大和会」という。)は、平成7、8両年度に特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター等の施設整備を総事業費1,007,311,000円(補助対象事業費553,931,000円)で実施したとして、これを基に算定された国庫補助金369,284,000円の交付を受けていた。
 しかし、大和会では、実際は、建築工事について値引きを受けていて、実績報告書記載の総事業費より低額な908,945,474円で実施していた。
 したがって、実際の総事業費(補助対象事業費544,826,000円)に基づき国庫補助金を算定すると、適正な施設整備の国庫補助金は363,214,000円となり、前記の国庫補助金との差額6,070,000円が過大に精算されていた。

(1)の計

564,108 376,068 15,784 10,522

(2)医療施設等整備
(63) 東京都 医療施設近代化施設整備 医療法人財団健康文化会
(板橋区)
8 439,727 146,575 34,460 11,487 補助の対象外

 医療法人財団健康文化会は、平成8年度に施行した病院本館(6階建ての一部1,772m2 )及び管理棟(3階建て757m2 )の改修工事について、対象経費実支出額439,729,500円(補助対象事業費439,727,009円)で実施したとして、これを基に算定された国庫補助金146,575,000円の交付を受けていた。
 しかし、上記の管理棟の2階部分249m2 に係る改修工事費相当額34,461,261円(補助対象事業費相当額34,460,492円)については、法人本部の施設の整備に要した工事費であることから、補助の対象とはならないものである。
 したがって、法人本部に係る改修工事費相当額を対象経費実支出額から控除するなどした補助対象事業費405,266,517円に基づき国庫補助金を算定すると、適正な国庫補助金は135,088,000円となり、前記の国庫補助金との差額11,487,000円が過大に交付されていた。
(64) 大阪府 理学療法士等養成所施設整備 学校法人栗岡学園
(大阪市)
7 377,760 188,880 8,602 4,301 補助金の過大交付

 学校法人栗岡学園(以下「学園」という。)は、平成7年度に理学療法士等養成所の施設整備を総事業費581,332,000円(補助対象事業費377,760,000円)で実施したとして、これを基に算定された国庫補助金188,880,000円の交付を受けていた。
 しかし、学園では、交付申請書や実績報告書の提出に当たり、建築工事の請負契約書の金額を事実と相違して過大に報告するなどしており、実際は、実績報告書記載の総事業費より低額な530,450,000円で実施していた。
 したがって、実際の総事業費(補助対象事業費369,158,000円)に基づき国庫補助金を算定すると、適正な施設整備の国庫補助金は184,579,000円となり、前記の国庫補助金との差額4,301,000円が過大に交付されていた。

(2)の計

817,487 335,455 43,062 15,788

(1)、(2)の合計

1,381,595 711,523 58,846 26,310