組織名 | (1) | 海上保安庁 |
(2) | 気象庁 |
会計名及び科目 | (1) | 一般会計 | (組織)海上保安庁 | (項)海上保安官署 |
(2) | 一般会計 | (組織)気象庁 (組織)科学技術庁 |
(項)気象官署 (項)科学技術庁 |
|
空港整備特別会計 | (項)空港等維持運営費 |
部局等の名称 | (1) | 第三管区海上保安本部ほか4管区海上保安本部、横浜海上保安部 |
(2) | 気象庁、札幌管区気象台 | |
契約の概要 | (1) | レーダー装置、無線装置等を設置している庁舎等における業務用電力、高圧電力A、特別高圧電力の電気需給契約 |
(2) | コンピュータ、通信装置等を設置している庁舎における業務用電力の電気需給契約 | |
契約の相手方 | (1) | 東京電力株式会社ほか4電力会社 |
(2) | 東京電力株式会社ほか1電力会社 |
支払額 | (1) | 1億7588万余円 |
(2) | 2億1047万余円 |
節減できた電気料金 | (1) | 1300万円 |
(2) | 1260万円 |
1 電気需給契約の概要
海上保安庁では、海上における船舶交通に関する規制業務、航路標識に関する業務等を迅速かつ効率的に処理するため、本庁、海上交通センター、ロランC局(注1) 等の多数の官署において、レーダー装置、無線装置、コンピュータ等を設置し、24時間運用している。
気象庁では、気象、地象等を観測し、予報及び警報を発表するなどの気象業務を迅速かつ効率的に処理するため、本庁、管区気象台、地方気象台等の多数の官署において、コンピュータ、通信装置、観測機器等を設置し、24時間運用している。
海上保安庁の第三管区海上保安本部ほか5官署(注2)
、気象庁の本庁ほか1官署(注3)
では、これらの機器の運用に必要な電気の供給を受けるため、東京電力株式会社ほか5電力会社(以下「電力会社」という。)と電気需給契約を締結しており、その契約種別は、各官署の需要に応じてそれぞれ業務用電力、高圧電力A及び特別高圧電力(以下、これらを「業務用電力等」という。)となっている。
業務用電力等の契約に基づいて支払われる電気料金は、契約電力に応じた基本料金と使用電力量に応じた電力量料金から構成されており、電力会社の電力量料金は、季節別の料金体系となっていて、東京電力株式会社の業務用電力の場合(供給電圧20KV)では、昼夜間とも電力量料金の単価は夏季で16.05円/KWh、その他季で14.65円/KWhとなっている。そして、電力会社は、電気料金の適正な算定と電気の効率的な利用状況を把握するため、契約電力の大きい需要家を対象として、毎月の使用電力量及び昼間時間帯(午前8時から午後10時)の使用電力量を計量できる記録型計量器を取り付けることとしている。
電力会社では、平日の昼間の使用電力量の電力需要の少ない夜間や休日への移行を促進し、電気の効率的な使用に資することを目的として、各種の契約種別を設定しており、需要家が希望すれば適用を受けられることになっている。
このうち、契約種別が業務用季節別時間帯別電力の場合は、契約電力が500 KW以上の需要家については平成8年1月1日から、500 KW未満の需要家については8年4月1日から、順次、適用されることとなった。また、特別高圧季節別時間帯別電力の需要家については昭和63年1月1日から、高圧季節別時間帯別電力Aの需要家については平成8年4月1日から、順次、適用されることとなった(以下、業務用季節別時間帯別電力、特別高圧季節別時間帯別電力及び高圧季節別時間帯別電力Aを併せて「季時別電力」という。)。
季時別電力は、〔1〕 季節区分を、夏季(7月から9月まで)とその他季とし、〔2〕 時間帯区分を、昼間時間(午前8時から午後10時)と夜間時間(午後10時から午前8時)とし、日曜日及び祝日等を考慮して電力会社が定めた日については、これを全日夜間時間としている。そして、その電力量料金の単価は、東京電力株式会社の業務用電力の場合(供給電圧20KV)では、夏季の昼間時間で20.15円/KWh、その他季の昼間時間で19.15円/KWh、夏季及びその他季の夜間時間で6.65円/KWhなどとなっている。このように昼間の電力量料金の単価に比べ、夜間の電力量料金の単価が大幅に安く設定されている。
2 検査の結果
海上保安庁では、船舶交通規制業務等を行うためにレーダー装置、無線装置、コンピュータ等を、また、気象庁では、気象業務を行うためにコンピュータ、通信装置、観測機器等を、それぞれ24時間運用していて、夜間の電力を多量に使用している。そこで現行の業務用電力等の契約に代え、季時別電力契約とした場合の方が経済的とならないかという点に着眼して検査した。
電力会社が取り付けた記録型計量器の記録から夜間時間帯の使用電力量が計算できる官署のうち、海上保安庁の横浜海上保安部ほか6官署(注4) 、気象庁の本庁ほか1官署を対象として、これらの官署に係る9年度の電気料金、海上保安庁175,881,160円、気象庁210,478,847円について検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
(1) 海上保安庁の上記7官署における9年度の使用電力量は、467,062KWhから2,941,805KWhとなっていて、それぞれの記録されている昼間時間帯の使用電力量を基に夜間時間等の使用電力量を算定すると232,496KWhから1,542,360KWhとなり、それぞれの使用電力量に対する割合は46%から53%となっていた。
(2) 気象庁の前記2官署における9年度の使用電力量は、9,194,982KWh及び1,237,571KWhとなっていて、上記と同様に算定すると、夜間時間等の使用電力量は4,153,678KWh及び603,152KWhとなり、それぞれの使用電力量に対する割合は45%及び48%となっていた。
そして、季時別電力の電力量料金は、業務用電力等に比べ昼間時間の単価は若干高くなっているものの、夜間時間の単価は大幅に安価となっている。このため、上記(1)、(2)の各官署においては、夜間時間の単価を適用できる使用電力量の占める割合がいずれも相当大きいことから、季時別電力の方が、業務用電力等の適用を受ける場合より経済的となると認められた。
前記の海上保安庁の7官署及び気象庁の2官署に係る9年度の電気料金について、季時別電力の適用を受けたものとして修正計算すると、電気料金の支払額を海上保安庁で約1300万円、気象庁で約1260万円それぞれ節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、次のようなことなどによると認められた。
(ア) 契約を行う官署において、季時別電力の制度についての理解が十分でなかったこと
(イ) 本庁において、季時別電力の適用についての指導が十分でなかったこと
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、海上保安庁及び気象庁では、次のとおり、電気料金の節減を図るための処置を講じた。
(1) 海上保安庁では、前記7官署について、10年8月から10月までの間に季時別電力の適用を受けられるよう契約変更を行った。そして、他の官署についても文書を発し、電気需給契約について、経済的な契約種別とするよう指導を行った。
(2) 気象庁では、前記2官署について、10年7月及び9月に季時別電力の適用を受けられるよう契約変更を行った。そして、他の官署についても文書を発し、電気需給契約について、経済的な契約種別とするよう指導を行った。
(注1) ロランC局 船舶が船位を測定するための電波を発射する施設
(注2) 第三管区海上保安本部ほか5官署 第三、第五、第六、第七、第十一各管区海上保安本部、横浜海上保安部
(注3) 本庁ほか1官署 気象庁本庁、札幌管区気象台
(注4) 横浜海上保安部ほか6官署 横浜海上保安部、東京湾、大阪湾、備讃瀬戸、関門海峡各海上交通センター、新島、慶佐次両ロランC局