ページトップ
  • 平成9年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 労働省|
  • 不当事項|
  • 保険給付

雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの


(268) 雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)失業等給付費
部局等の名称 北海道ほか21都府県(支給庁)
札幌公共職業安定所ほか134公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 352人
失業等給付金の支給額の合計 基本手当 225,867,302円
再就職手当 14,262,300円
240,129,602円
不適正支給額 基本手当 61,284,413円
再就職手当 14,262,300円
75,546,713円

1 保険給付の概要

(雇用保険)

 雇用保険は、工場、事務所、商店等に雇われる労働者を被保険者とし、被保険者が失業した場合及び被保険者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合にその生活及び雇用の安定を図るなどのため失業等給付金の支給を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行う保険である。

(失業等給付金の支給)

 失業等給付金には基本手当及び再就職手当のほか13種の手当等がある。このうち、基本手当は、受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給されるものであり、再就職手当は、受給資格者が、基本手当を受給できる日数を所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上残して安定した職業に就いた場合に支給されるものである。基本手当及び再就職手当は、公共職業安定所が、次のように支給を決定し、これに基づいて、各都道府県が支給することとなっている。

(ア) 基本手当については、受給資格者から提出された失業認定申告書に記載されている就職、就労(臨時的に短期間仕事に就くこと)の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定する。

(イ) 再就職手当については、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定する。

(注)  受給資格者 離職した被保険者で、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることの要件を満たしていて、公共職業安定所において、基本手当を受給する資格があると決定された者

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道ほか25都府県(支給決定庁 札幌公共職業安定所ほか266公共職業安定所)から失業等給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者16,360人について、公共職業安定所における失業等給付金の支給決定の適否を検査した。

(不適正支給の事態)

 検査したところ、次のとおり基本手当及び再就職手当が不適正に支給されていた。

ア 基本手当

 北海道ほか21都府県で、本院が調査した9,603人に対する基本手当の支給のうち351人に対する支給(支給額225,867,302円)について、61,284,413円が不適正に支給されていた。これは、札幌公共職業安定所ほか134公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職していながらその事実を失業認定申告書に記載していないなどのため、申告書の内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによるものである。

イ 再就職手当

 北海道ほか14都府県で、本院が調査した471人に対する再就職手当の支給のうち33人に対する支給(支給額14,262,300円)について、14,262,300円が不適正に支給されていた。これは、札幌公共職業安定所ほか27公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇入れ年月日を記載していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによるものである。

 なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
 これらの不適正支給額を都道府県別に示すと次のとおりである。

都道府県名 公共職業安定所 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した失業等給付金 左のうち不適正失業等給付金

北海道

札幌ほか15
千円
32,058
千円
6,785
札幌ほか3 1,023 37 1,771 1,771
小計 72 4 33,829 8,556
青森県 青森ほか5 691 26 19,913 6,634
青森 27 1 129 129
小計

20,042 6,764
岩手県 釜石ほか1 94 6 3,569 610

小計

3,569 610
山形県 米沢ほか1 213 6 3,530 960

小計

3,530 960
栃木県 宇都宮ほか3 192 11 6,393 960
宇都宮ほか2 25 3 1,568 1,568
小計

7,961 2,528
群馬県 前橋ほか6 444 23 20,998 3,546
高崎ほか1 31 3 544 544
小計

21,542 4,090
埼玉県 大宮ほか2 291 4 1,435 361
川越 26 1 1,463 1,463
小計

2,898 1,824
千葉県 館山ほか5 436 11 9,451 1,170

小計

9,451 1,170
東京都 五反田ほか10 1,124 26 13,906 3,773
大森ほか1 69 2 700 700
小計

14,606 4,473
神奈川県 横浜ほか7 364 10 4,933 2,285
横浜 31 2 277 277
小計

5,211 2,562
富山県 富山ほか4 389 10 6,989 1,471
砺波 1 1 294 294
小計

7,284 1,765
石川県 金沢ほか2 196 12 6,886 3,862
金沢  29 1 961 961
小計

7,848 4,824
愛知県 名古屋中ほか11 855 44 31,220 4,566
名古屋中ほか1 35 5 3,162 3,162
小計

34,382 7,728
京都府 京都七条ほか3 178 6 1,603 898

小計

1,603 898
大阪府 大阪東ほか9 750 19 9,978 2,385
堺ほか1 39 2 1,396 1,396
小計

11,374 3,782
兵庫県 尼崎ほか2 237 5 2,181 625
明石 12 1 152 152
小計

2,334 777
和歌山県 和歌山ほか4 271 13 7,473 2,222

小計

7,473 2,222
広島県 尾道ほか1 97 4 1,876 1,445
尾道 18 1 163 163
小計

2,040 1,608
愛媛県 松山ほか6 428 18 11,488 5,580
今治ほか3 45 4 1,361 1,361
小計

12,849 6,941
熊本県 熊本ほか8 616 23 11,829 3,962

小計

11,829 3,962
鹿児島県 川内ほか5 451 19 8,651 3,064
国分ほか1 11 2 316 316
小計

8,967 3,380
沖縄県 那覇ほか3 263 18 9,496 4,112

小計

9,496 4,112
135箇所 9,603 351 225,867 61,284
28箇所 471 33 14,262 14,262
合計


240,129 75,546

(注1) 上段は基本手当に係る分、下段は再就職手当に係る分である。

(注2) 公共職業安定所のうち、基本手当と再就職手当の双方について不適正な支給があったものが28、基本手当のみのものが107あり、したがって、公共職業安定所の実数は135である。

(注3) 不適正受給者のうち、基本手当と再就職手当の双方に係る者が32人、基本手当のみの者が319人、再就職手当のみの者が1人おり、したがって、基本手当と再就職手当に係る不適正受給の実人員は352人である。