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  • 平成9年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第1 農林漁業金融公庫|
  • 不当事項|
  • 貸付金

農業経営基盤強化資金等の貸付けが不当と認められるもの


(282)−(285) 農業経営基盤強化資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 関東、福岡、熊本各支店
受託金融機関 茨城県信用農業協同組合連合会ほか2金融機関
貸付けの根拠 農林漁業金融公庫法(昭和27年法律第355号)
貸付金の種類 農業経営基盤強化資金、総合施設資金、農林漁業構造改善事業推進資金、農林漁業施設資金
貸付けの内容 農林漁業者に対する農業経営基盤強化資金等の貸付け
貸付件数 4件
貸付金の合計額 187,440,000円
不当貸付金額 67,840,447円

1 貸付金の概要

 農林漁業金融公庫(以下「公庫」という。)は、農林漁業者に対して、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
 このうち、公庫が直接貸付けを行う場合は、公庫が借入申込書類を審査して、所定の条件を満たしていると認めたものに対して貸し付け、事業の完成状況、事業費の支払状況等によって貸付金の使途などを確認することとしている。また、公庫が金融機関に委託して貸付けを行う場合は、受託金融機関が借入申込書類の審査を行い、一部の資金については公庫が貸付決定を行うこととしているが、そのほかの資金については受託金融機関が公庫の直接貸付けの場合に準じて貸付け等の事務を行うこととしている。

2 検査の結果

 公庫の貸付けについて調査した結果、4件187,440,000円の貸付けにおいて、67,840,447円の貸付けが不当と認められる。これは、借入者から事実と相違した内容の借入申込みや事業完成報告がされていたのに、これに対する公庫及び受託金融機関の審査及び確認が適切でなかったことなどによるものである。
 これを貸付先別に示すと次のとおりである。


支店名
(受託金融機関名)
貸付先
(所在地)
貸付対象 貸付年月
(貸付利率)
貸付対象事業費 左に対する貸付金額 貸付金額のうち不当と認める額 摘要





千円 千円 千円
(農業経営基盤強化資金)
(282) 関東支店
(茨城県信用農業協同組合連合会)
農業者
(常陸太田市)
豚舎の修理 7.12
(年3.5%)

22,209

20,000

18,171
事業の一部不実施
 この貸付けは、豚舎19棟(4,378m2 )の鉄柵等の修理に必要な資金22,209,600円の一部として、20,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、豚舎の鉄柵等の一部の修理を1,828,360円で実施していたにすぎず、事業のほとんどを実施していなかった。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると1,828,360円となるので、本件貸付金額との差額18,171,640円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成10年5月までに繰上償還された。
(総合施設資金)
(283) 福岡支店(佐賀県信用農業協同組合連合会) 農業者(佐賀県小城郡小城町) ガラスハウス用空気調和機の設置 5.12
(年3.8%)
20,600 18,540 3,874 低額実施
 この貸付けは、ガラスハウス用空気調和機4台の設置に必要な資金20,600,000円の一部として、18,540,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は16,294,600円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると14,665,140円となるので、本件貸付金額との差額3,874,860円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金残高2,712,402円については、平成10年8月に繰上償還された。
(農林漁業構造改善事業推進資金)
(284) 熊本支店
(株式会社大分銀行)
林業者
(佐伯市)
全自動送材車の設置等 6.4
(年3.5%)
38,043 30,400 27,293 重複融資
 この貸付けは、全自動材車などの製材機械の設置等に必要な資金38,043,853円の一部として、30,400,000円を貸し付けたものである。その後、借入者は、本件貸付けの貸付対象事業費が37,706,053円に減額されたことにより貸付金400,000円を繰上償還していた。しかし、借入者は、この貸付けを受ける前に、中小企業金融公庫から長期資金35,000,000円を借り入れており、本件繰上償還後の貸付金額と合わせて65,000,000円を借り入れていたことから、本件減額後の貸付対象事業費との差額27,293,947円については重複して貸し付けられていた。
 したがって、本件繰上償還後の貸付金額のうち、上記の差額分が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金残高21,545,485円については、平成10年3月に繰上償還された。
(農林漁業施設資金)
(285) 熊本支店 林業者
(佐伯市)
材木処理加工施設の取得 8.11
(年3.0%)
148,240 118,500 18,500 重複融資
 この貸付けは、材木処理加工施設(土地5,788m2 及び建物1,706m2 )の取得に必要な資金148,240,000円の一部として、118,500,000円を貸し付けたものである。しかし、借入者は、この貸付けを受ける前に、本件施設を含む原木及び製品置場の取得のために中小企業金融公庫から長期資金120,000,000円を借り入れており、本件貸付金額と合わせて238,500,000円を借り入れていた。一方、借入者が取得した施設の総額は、本件材木処理加工施設を含めて220,000,000円であったことから、その差額18,500,000円については重複して貸し付けられていた。
 したがって、本件貸付金額のうち、上記の差額分が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金残高17,830,254円については、平成10年3月に繰上償還された。
(282)-(285) の計


229,093 187,440 67,840