科目 | (項)高速道路建設費 (項)一般有料道路建設費 (項)受託等業務費 |
部局等の名称 | 北海道、東北、北陸、中国、四国、九州各支社、東京第一、東京第二、名古屋、大阪各建設局 |
工事名 | 北海道縦貫自動車道長万部川橋他1橋(鋼上部工)工事ほか176工事 |
工事の概要 | 高速道路等の建設工事の一環として、橋りょうを新設するなどの工事 |
工事費 | 2368億9105万余円 |
請負人 | 日立造船株式会社ほか78会社及び住友建設株式会社・興和コンクリート株式会社常磐自動車道夏井川橋(PC上部工)工事共同企業体ほか67共同企業体 |
契約 | 平成6年12月〜10年3月 一般競争契約、指名競争契約、随意契約 |
下部工検査路の工事費 | 10億4792万余円 |
節減できた下部工検査路の工事費 | 8800万円 |
1 工事の概要
日本道路公団(以下「公団」という。)では、平成9年度に、高速道路等の建設工事の一環として、橋りょうを新設するなどの工事を177工事(工事費総額2368億9105万余円)施行している。
これらの工事では、いずれも、橋りょうに検査路を設置することとしている。
検査路は、橋りょうの安全性を確認するために実施する定期点検や地震後の緊急点検の際、作業員の通路等として使用されるもので、橋桁の塗装の劣化状況の点検等のために橋桁の下面に設置する上部工検査路と、支承の劣化状況の点検等のために橋台や橋脚の外周面に設置する下部工検査路がある。
公団では、下部工検査路について、公団制定の「設計要領」に基づき、50cm間隔に並べた2本の主桁の上に縞鋼板を設置し、主桁の側面に手摺を取り付けた構造としている(参考図参照) 。そして、主桁の部材の規格、主桁等を支持する部材の間隔(以下「支持間隔」という。)について特に定めがないことから、過去の設計例を参考にするなどして、次のように設計していた。
(ア) 主桁の部材の規格を、高さ100mm×幅50mm×厚さ5mmの溝形鋼(以下「C100」という。)とし、主桁、手摺等を2mから6m程度の長さに分割して製作する(以下、2mから6m程度に分割された検査路を「1ブロックの検査路」という。)。
(イ) 橋台や橋脚の外周面に主桁等を支持する部材(以下「ブラケット」という。)を1ブロックの検査路当たり2基から4基取り付ける。
(ウ) ブラケットの上に主桁、手摺等を設置する。
本件各工事の下部工検査路の工事費については、公団制定の「土木工事積算要領」に基づき、主桁(重量計304t)、ブラケット(計7,860基、300t)等の材料費、製作費及び架設費で構成される重量当たり単価に、各々の重量を乗じて、計10億4792万余円と算定していた。
2 検査の結果
近年、橋りょうの新設を伴う山間部における高速道路等の建設が増加し、下部工検査路の設置延長も増加していることなどから、下部工検査路の設計は経済性に配慮されたものとなっているかという点に着眼して検査した。
検査したところ、下部工検査路の設計について、次のような事態が見受けられた。
主桁の部材の規格は、上部工検査路の設計を準用してC100としていた。これは、上部工検査路を設置する部材が、橋桁の構造上の理由により、約6m間隔となることから、この間隔で所定の荷重(350kgf/m2
)に耐えられる主桁の部材の規格のうち最も経済的なC100を選定したためである。
そして、1ブロックの検査路を支持するブラケットの数を過去の設計例を参考にして2基から4基としていて、3基と4基の場合は1ブロックの検査路の両端の他に中間部も支持することとなるため、支持間隔は上部工検査路の6mより短くなっていた。
しかし、下部工検査路は、橋台や橋脚の外周面に設置されるもので、上部工検査路と異なり、ブラケットの取付位置によって支持間隔を任意に設定できることから、6mの支持間隔で所定の荷重に耐えるためのC100に限定する要はないものである。
したがって、下部工検査路の設計に当たっては、任意の支持間隔と所定の荷重に耐えられる主桁の部材の組合せのうち最も経済的なものを選定する要があると認められた。
そこで、1ブロックの検査路の長さが製作工程等の制約により最長6m程度に制限されることから、この条件の下で上記について検討すると、支持間隔を4m、主桁の部材の規格を高さ75mm×幅40mm×厚さ5mmの溝形鋼(以下「C75」という。)とし、その両端を各1基のブラケットで支持することとすると(参考図参照)
、本件各工事の主桁の重量を計224t、ブラケットの数を計6,404基(256t)に低減できることとなり、最も経済的な設計となると認められた。
上記により、主桁にC75の規格の部材を使用するなどして下部工検査路を設計したとすれば、前記の177工事に係る下部工検査路の工事費(10億4792万余円)を約8800万円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、下部工検査路の設計について、経済性についての配慮が十分でなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、公団では、10年11月に、下部工検査路の主桁の部材の規格及び支持間隔について経済的な設計になるよう設計要領を改正し、同年12月以降設計を行う工事から適用することとする処置を講じた。