科目 | (住宅・都市整備勘定) | (款)受託業務収入 (項)宅地受託業務収入 |
部局等の名称 | 東京、中部、関西、九州各支社 | |
受託業務名 | 篠路拓北地区に関連する都市廃棄物処理管路施設の整備に関する受託契約ほか19件 | |
受託業務の概要 | 都市開発事業に伴い必要となる公共施設の整備を地方公共団体から受託して実施する業務 | |
受託契約の相手方 | 府1、県1、市5、町4、計11地方公共団体 | |
受託費 | 31億3941万円 |
収受できた経費 | 外注費分 | 1億2335万円 |
間接経費分 | 1億4682万円 | |
計 | 2億7017万円 |
1 制度の概要
住宅・都市整備公団(以下「公団」という。)では、住宅・都市整備公団法(昭和56年法律第48号)に基づき、大都市地域における集団住宅及び宅地の供給を目的とする都市開発事業等を行うとともに、これらの事業に伴い必要となる道路、公園、下水道等の公共公益施設の整備を地方公共団体及びガス事業者、電気事業者等の公益事業者(以下「地方公共団体等」という。)から受託して実施している。
公団東京支社ほか3支社(注)
では、平成9年度に、公共施設の整備を計20件、31億3941万円で地方公共団体から受託している。
公団では、受託業務の実施に当たり、「都市開発事業の施行に関連する公共的施設等の設置に要する費用の負担等の手続に関する事務取扱規程」(昭和57年規程第19号)に基づき、受託業務に要する費用(以下「受託費」という。)等に関して地方公共団体等と協定を締結し、さらに、各事業年度ごとに受託契約を締結している。
受託費は、工事費に受託事務費を加えた額となっている。このうち、受託事務費については、公団が定めた「公共施設に関する事業を受託する場合の受託事務費について」(昭和58年、41−80ほか)及び「公共施設に関する事業を受託する場合の受託事務費についての運用について」(昭和58年、41−81ほか。以下、これらを「本社通達」という。)において、受託費に一定の率を乗じて算出した額としている。
そして、公団では、受託業務の実施に当たり、設計、工事監督、測量等をコンサルタント会社に外注する場合の経費(以下「外注費」という。)は、受託事務費から支出することとしている。また、受託業務の実施に伴う人件費、物品費、旅費等の経費(以下「間接経費」という。)については、地方公共団体に負担させていない。
2 検査の結果
公団では、受託業務を毎年多数実施してきており、近年、この業務の実施に当たり、設計等の業務をコンサルタント会社へ外注する場合が大部分となっているので、受託事務費が実際支出した外注費と見合ったものとなっているか、また、間接経費を地方公共団体等に負担させていないことは適切かなどに着眼して検査した。
検査したところ、次のように適切でない点が見受けられた。
(ア) 公団では、本件受託業務20件に係る受託事務費として、計1億5256万余円を収受していた。
そして、受託業務の実施に当たり、公団が設計費、工事監督費等として実際に支出した外注費は、計2億7592万余円となっていて、上記の受託事務費との開差額1億2335万余円は公団が負担していた。
しかし、これについては、受託業務の実施のために必要な経費であることから、委託者である地方公共団体に負担させるべきものであると認められた。
(イ) 公団では、受託業務は住宅の建設、宅地の造成等の本来業務の遂行に支障のない範囲内で受託していることから、間接経費を本来業務の経費に含めることとして地方公共団体には負担させていなかった。
しかし、受託業務に係る間接経費を試算すると1億4682万余円となり、これについても、受託業務の実施のために必要な経費であることから、地方公共団体に負担させるべきものであると認められた。
現に、公団が地方公共団体に業務を委託する場合には、間接経費を含め必要となる経費を負担している。また、建設省、他団体においても、本来の業務に支障のない範囲内で業務を受託する場合であっても、受託業務に係る間接経費は委託者に負担させている。
上記により、受託費を適切に地方公共団体に負担させることとすると、(ア)については公団が負担していた外注費1億2335万余円、(イ)については収受すべき間接経費1億4682万余円、計2億7017万余円が地方公共団体から収受できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、次のようなことなどによると認められた。
(ア) 近年、受託業務を実施するために必要な設計、工事監督等は、コンサルタント会社に外注することが一般的になってきており、収受する受託事務費とその受託事務費から支出することとされている外注費との間に開差が生じているのに、適切なものに改める配慮が十分でなかったこと
(イ) 受託業務の実施に伴う間接経費は、受託業務を実施するために必要な経費であり、その経費は全額委託者に負担させるべきものであるのに、本来業務の遂行に支障のない範囲内で実施することとしていたことから、委託者に負担させる必要はないと考えていたこと
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、公団では、10年11月に、受託業務の実施に当たり必要となる設計、工事監督等の外注費及び間接経費は、その要した経費を適切に収受するよう本社通達を改正するなどし、同月以降新規に受託契約を締結する受託業務に適用することとするなどの処置を講じた。
(注) 東京支社ほか3支社 東京、中部、関西、九州各支社