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  • 平成9年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第11 日本たばこ産業株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

たばこの保管・仕分設備等の貸付けに当たり、設備使用料の算定を適切なものとするよう改善させたもの


たばこの保管・仕分設備等の貸付けに当たり、設備使用料の算定を適切なものとするよう改善させたもの

科目 営業収益
部局等の名称 日本たばこ産業株式会社
設備等の貸付けの概要 東京流通基地において、輸入たばこの仕分業務等を行う者にたばこの自動倉庫、仕分場、保管・仕分設備等を貸し付けるもの
貸付けの相手方 東京たばこサービス株式会社
設備等の賃貸料 6億4597万余円
上記のうち設備使用料 3億1802万余円
低額となっている設備使用料 1億0720万円

1 設備等の貸付けの概要

(たばこの仕分業務等)

 日本たばこ産業株式会仕(以下「JT」という。)では、平成7年から業務を開始した東京流通基地におけるたばこの仕分、出荷、保管等の各作業について、コンピュータ制御の作業機械を導入し、その自動化、効率化を図っている。そして、これらの仕分業務等を一括して、JTが出資している東京たばこサービス株式会仕(以下「東京TS」という。)に委託している。
 一方、東京TSでは、JTから受託した国産たばこの仕分業務等と併せて、輸入たばこを取り扱っていることから、輸入たばこの仕分業務等に係る作業についても、東京流通基地を使用している。

(設備等の賃貸借契約)

 JTでは、東京TSが取り扱っている輸入たばこ分を対象として、9年4月、東京TSとの間で東京流通基地の自動倉庫、仕分場、保管・仕分設備等の賃貸借契約を締結し、これらの設備等を貸し付けており、その維持管理はJTが行っている。そして、9年度の賃貸料として6億4597万余円を収受しており、その内訳は、自動倉庫及び仕分場の貸付料2億0471万余円、保管・仕分設備の使用料(以下「設備使用料」という。)3億1802万余円、維持、管理等に係る運営経費等1億2323万余円となっている。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 JTでは、東京流通基地に多額な建設費を投じて大規模な保管・仕分設備を導入しており、これらの設備を、JTからの受託業務と併せて輸入たばこの取扱業務を行っている東京TSに貸し付けている。そこで、設備使用料の算定が、設備の使用に対して適切に費用負担を行わせるものとなっているかなどに着眼して検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、JTでは、賃貸料のうちの設備使用料3億1802万余円を、次により算定していた。

検査したところ、JTでは、賃貸料のうちの設備使用料3億1802万余円を、次により算定していた。

 そして、上記の算式において採用している投資回収期間20年については、JTでは、貸付けの対象としている保管・仕分設備(以下「貸付設備」という。)の機能を維持しながら使用が可能であると想定した年数、すなわち予定使用期間であるとしていた。
 しかし、貸付設備の投資回収期間を20年としていることは、次のことなどから適切ではないと認められた。

(ア) 貸付設備は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)に基づいた耐用年数(以下「法定耐用年数」という。)が12年であること

(イ) JTの決算においても、これら貸付設備の減価償却費を計上するに当たり、上記の法定耐用年数を適用していること

(ウ) 一般の機械設備のリース契約においては、物価調査機関等の資料によると法定耐用年数を基にリース期間を定めリース料を算出していること

(エ) 今後とも流通環境の変化が予測されることなどから、貸付設備に係る設備投資額の早期回収を図り、経営の効率化に資する要があること

 したがって、投資回収期間の年数は貸付設備の法定耐用年数を勘案して定める必要があると認められた。

(低額となっている設備使用料)

 前記の設備使用料について、投資回収期間が短縮されているソフトウェア等に係る分を控除すると、9年度の設備使用料相当額は2億8490万余円となる。
 そして、この額を法定耐用年数に基づく投資回収期間により算定し直すと、3億9216万余円となり、上記の設備使用料相当額2億8490万余円はこれに比べて約1億0720万円が低額となっていると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、本件契約における設備使用料の算定に当たり、適切な投資回収期間を設定するための検討が十分でなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、JTでは、10年11月、東京TSとの間で、設備使用に関する契約を新たに締結し、設備使用料の算定の基礎となる投資回収期間を20年から法定耐用年数の12年として契約金額の改定を行い、同年4月に遡及して適用することとする処置を講じた。