平成9年11月から10年10月までの間に、所管庁から現金出納職員の保管する現金の亡失についての通知を受理したものは752件429,451,615円である。これに繰越し分137件802,646,838円を加え、処理を要するものは889件1,232,098,453円であり、そのうち上記の期間内に処理したものは684件797,821,060円である。
処理を要するもの及び処理したものの所管別内訳は、次表のとおりである。
処理したものの内訳は次のとおりである。
〔1〕 現金出納職員に弁償責任があると検定したもの | 4件 | 34,924,377円 |
〔2〕 現金出納職員に弁償責任がないと検定したもの | 13件 | 37,144,069円 |
〔3〕 現金出納職員が現金を亡失したことによって生じた損害の全額が既に補てんされているもの | ||
642件 | 176,562,976円 | |
〔4〕 現金出納職員が現金を亡失したことによって生じた損害の全額について、国と現金出納職員との間に裁判上の和解が成立しているものなど | ||
25件 | 549,189,638円 |
現金出納職員に弁償責任があると検定したものの概要は次のとおりである。
〔1〕 関東郵政局管内野呂郵便局出納員初芝某が、平成5年8月13日から6年4月25日までの間に、部内職員からの簡易生命保険に係る貸付金の支払請求に対し、当該請求が正当権利者からのものであるか否かの確認を怠って払い渡した保険貸付金5,500,000円を領得されたもの
〔2〕 近畿郵政局管内高砂郵便局出納員地神某が、平成7年12月5日から8年4月19日までの間に、部内職員からの定額郵便貯金の払戻請求に対し、当該請求が正当権利者からのものであるか否かの確認を怠って払い渡した定額郵便貯金払戻金22,480,401円を領得されたもの
〔3〕 東北郵政局管内日詰駅前郵便局分任繰替払等出納官吏箱崎某が、補助者の不正な領得による自己の保管する現金の亡失を知ったにもかかわらず、事実の解明を怠り、特段の対策を執ることなく引き続き当該補助者に窓口において現金受払事務を行わせていたため、その後平成5年12月10日から6年7月21日までの間に、定額郵便貯金払戻金等3,943,976円を領得されたもの
〔4〕 東海郵政局管内浜松東郵便局分任繰替払等出納官吏代理堀井某が、平成8年10月14日、補助者に郵便貯金自動預払機の現金カセットヘの現金の格納等を行わせるに際して、自ら立ち会うか又は他の職員を立ち会わせる措置を執らなかったため、当該補助者に現金3,000,000円を領得されたもの
また、現金出納職員に弁償責任がないと検定したものは、次のような事態について、いずれも現金出納職員が善良な管理者の注意を怠ったことによりその保管現金を亡失したものではないと認めたものである。
〔1〕 凶器を所持した賊が郵便局に侵入し職員を脅迫して現金出納職員の保管する現金を強取したもの
〔2〕 夜間、無人の郵便局に侵入した賊が郵便貯金自動支払機等を破壊して現金出納職員の保管する現金を窃取したものなど