会計名及び科目 | 特定国有財産整備特別会計 (項)特定国有財産整備費 〔平成9年度国庫債務負担行為(事項)特定施設整備〕 |
部局等の名称 | 関東財務局 |
工事名 | 皇宮警察本部三番町宿舎(SRC−a・c)新築工事 |
工事の概要 | 旧宿舎を解体撤去して、新宿舎の建築等を行う工事 |
契約額 | 1,207,500,000円 |
請負人 | 大豊・今西建設共同企業体 |
契約 | 平成10年2月 一般競争契約 |
支払 | 平成10年3月、11年3月 2回 |
割高となっている契約額 | 46,200,000円 |
1 工事の概要
この工事は、大蔵省関東財務局(以下「財務局」という。)が、東京都千代田区所在の旧三番町宿舎(以下「旧宿舎」という。)の老朽化に伴う集約立体化の一環として、旧宿舎2棟(鉄筋コンクリート造り5階建て、延床面積1,548.8m2 )を解体撤去し、同敷地内に皇宮警察本部三番町宿舎1棟(鉄骨鉄筋コンクリート造り地下1階、地上9階建て、延床面積3,815.4m2 。以下「新宿舎」という。)を新築するものである。本件工事では、平成9年度から11年度までの間に、旧宿舎の解体撤去工事、新宿舎の新築工事及びこれに付帯する電気、機械設備工事等を契約額1,207,500,000円で施行している。
本件工事のうち旧宿舎の解体撤去工事及び新宿舎の新築工事の施工に当たっては、仮設工事として、騒音防止及び破砕材の飛散防止用のパネルを設置したり、災害防止用ネットを設置したりするため、建物の周囲に外部足場を設置することとしている。この外部足場は、足場を構成する鳥居型建枠、鋼製布板、合板足場板等の部材(以下、これらを「構成材」という。)を用いて組み立てる枠組足場を使用することとしている(参考図参照)
。
財務局では、この外部足場費を含む解体撤去工事、新築工事等の工事費を、大蔵省制定の宿舎工事積算要領等(以下「積算要領等」という。)に基づいて積算することとしている。そして、この積算要領等によると、外部足場費については、各構成材の材料費、労務費等のそれぞれの足場面積1m2
当たりの単価を算出した上で、これらを合算した複合単価を算定し、これに足場面積を乗じて積算することとなっている。
このうち、各構成材の材料費については、刊行物による公表価格(基本料及び1日当たりリース料)を用いて、〔1〕 基本料に各構成材の足場面積1m2
当たりの使用割合を乗じた額と、〔2〕 1日当たりのリース料に各構成材の使用割合と使用日数を乗じた額とを合算して、足場面積1m2
当たりの材料費を算出することとしている。
財務局では、本件工事の外部足場費を次のとおり積算していた。
(ア) 解体撤去工事においては、外部足場を、その足場幅により、600mm(以下「W600」という。)と900mm(以下「W900」といういのものを使用することとし、その材料費をそれぞれ足場面積1m2 当たり24,109円、32,509円と算出し、これらに労務費等を加えて複合単価をそれぞれ24,600円、33,100円と算定していた。そして、これらの複合単価にそれぞれの足場面積262m2 及び1,066m2 を乗じて、外部足場費を6,445,200円及び35,284,600円、計41,729,800円と積算していた。
(イ) 新築工事においては、W900のみを使用することとし、その材料費を足場面積1m2
当たり1,924円と算出し、これに労務費等を加えた複合単価を2,690円と算定していた。そして、この複合単価に足場面積3,200m2
を乗じて、外部足場費を8,608,000円と積算していた。
そして、上記の外部足場費合計50,337,800円を含む解体撤去工事費と新築工事費に、電気、機械設備工事費等を加えて、本件工事の直接工事費を944,067,723円と積算していた。
2 検査の結果
検査したところ、外部足場費の積算が次のとおり適切でなかった。
ア 解体撤去工事の外部足場費について
解体撤去工事の外部足場費(積算額41,729,800円)についてみると、複合単価のうち各構成材の材料費を算出するに当たり、基本料に誤った使用割合を乗じていたり、また、誤って使用日数を乗じていたりなどしていた。例えば、W900の合板足場板費の材料費の算出に当たり、その基本料140円に使用割合0.03を乗じて足場面積1m2
当たり4.2円と算出すべきところを、誤って、使用割合を1.0とし、更に使用日数60日を乗じて8,400円と過大に算出していた。
これらを修正して複合単価を算定すると、W600が861円、W900が1,000円となり、これらの複合単価に、外部足場面積の算出誤りを修正した279m2
及び1,135m2
をそれぞれ乗じると、結局、外部足場費は、計1,375,219円となる。
イ 新築工事の外部足場費について
新築工事の外部足場費(積算額8,608,000円)についても、上記アと同様に、各構成材の材料費について、基本料に誤った使用割合を乗じるなどしていた。
これらを修正して、W900の複合単価を算定すると、1,730円となり、これに外部足場面積(修正後)3,192m2
を乗じると、外部足場費は5,522,160円となる。
上記ア、イの結果、本件工事における外部足場費は合計6,897,379円で足りることとなり、43,440,421円が過大に積算されていた。
以上により本件工事費を修正計算すると、外部足場費以外の他の積算誤りにより生じた積算過小2,018,334円を考慮しても、直接工事費は、902,645,636円となり、これに諸経費等を含めた工事費総額は1,161,300,000円となる。したがって、本件契約額1,207,500,000円はこれに比べて46,200,000円割高になっていると認められる。