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  • 平成10年度|
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医学部附属病院における看護料の夜間勤務等看護加算に係る診療報酬の請求を適切に行うよう是正改善の処置を要求したもの


医学部附属病院における看護料の夜間勤務等看護加算に係る診療報酬の請求を適切に行うよう是正改善の処置を要求したもの

会計名及び科目 国立学校特別会計 (款)附属病院収入 (項)附属病院収入
部局等の名称 北海道大学
夜間勤務等看護加算の概要 夜間の看護サービスを評価するもので、保険医療機関が、厚生大臣が定める看護婦等の勤務条件に関する基準に適合しているものとして都道府県知事に届出を行った場合に、診療報酬として請求することができるもの
増収可能額 6900万円

【是正改善の処置要求の全文】

看護料の夜間勤務等看護加算に係る診療報酬の請求について

 (平成11年11月17日付け 北海道大学長あて)

 標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を要求する。

 記

1 制度の概要

(看護料の算定)

 貴大学医学部附属病院(以下「大学病院」という。)では、臨床医学の教育・研究を行うほか、保険医療機関として患者の診療を行っている。そして、保険医療機関は、「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」(平成6年厚生省告示第54号)等により、診療報酬として医療に要する費用を所定の診療点数に単価(10円)を乗じて算定し、患者、社会保険診療報酬支払基金等に請求している。
 診療報酬のうち入院料は、入院環境料、看護料等から構成されており、このうち看護料は、看護婦、准看護婦及び看護補助者(以下「看護婦等」という。)による看護サービスを評価するものである。
 保険医療機関は、患者が入院した場合に、看護料として1日につき所定の点数を算定することとなっており、また、夜間の看護サービスが厚生大臣の定める基準に適合している場合には、看護料に夜間勤務等看護加算の点数を加算することとなっている。

(夜間勤務等看護加算の要件及び算定方法)

 夜間勤務等看護加算の算定に当たっては、夜間の看護サービスが「新看護等の基準」(平成6年厚生省告示第63号)等に規定する「看護婦等の勤務条件に関する基準」に適合するとして都道府県知事に届け出た場合には、1日につき48点から25点を看護料に加算することとなっている。
 この場合の「看護婦等の勤務条件に関する基準」とは、当該保険医療機関のすべての病棟が、〔1〕 各病棟の入院患者の数に対する夜勤を行う看護婦等の数の比率と、〔2〕 夜勤を行う看護婦等の1人当たり月平均夜勤時間数とについて、次表の5つの区分の要件のいずれかを満たしていることなどとされている。

<表> 看護婦等の勤務条件に関する基準の要件

区分 入院患者の数に対する夜勤を行う看護婦等の数の比率 夜勤を行う看護婦等の1人当たり月平均夜勤時間数 加算点数
(I)a 入院患者数15に対し1以上 72時間以下 48点
(I)b 入院患者数20に対し1以上 72時間以下 39点
(I)c 入院患者数30に対し1以上 64時間以下 30点
(II)a 入院患者数20に対し1以上 72時間以下 32点
(II)b 入院患者数30に対し1以上 64時間以下 25点

(注) (I)の各区分の「看護婦等」こは、看護補助者を含まない。
 すなわち、夜間勤務等看護加算は、診療報酬で看護婦等の労働条件の改善及び夜間の看護サービスを評価する観点から、具体的な勤務条件を基準としているものであり、夜間に働く看護婦等の労働時間を制限することにより夜間の労働条件を改善すること、そして、加算点数に差を設けることにより夜間に患者が受ける看護サービスの量を評価することとなっている。
 そして、上表の区分の適用に当たっては、「新看護等に係る届出の受理に関する取扱いについて」(平成6年保険発第100号厚生省保険局医療課長通知。以下「取扱通知」という。)等により、次のように定められている。

(ア) 夜間勤務の対象となる時間帯(以下「夜勤時間帯」という。)は、午後10時から翌日の午前5時までの時間を含めた連続する16時間とし、この要件を満たしていれば、夜勤時間帯は病棟ごとに設定できる。

(イ) 入院患者数と看護婦等の数との比率は、各病棟ごとに、都道府県知事への届出時の直近1年間の1日平均入院患者数と、届出前1か月又は4週間における夜勤時間帯に従事する看護婦等の1日当たりの平均人員数との比率による。

(ウ) 月平均夜勤時間数は、各病棟ごとに、届出前1か月又は4週間の夜勤時間帯に従事する看護婦等の延べ夜勤時間数をその実人員で除して得た数とする。

2 本院の検査結果

(検査の着眼点及び対象)

 大学病院は、高度化する医療技術等に対応して看護体制を整備し、夜間看護を含めた看護サービスの質的な向上を図っているが、実際に行っている夜間の看護サービスが診療報酬上適切に評価されているかなどに着眼して平成10年度の夜間勤務等看護加算に係る診療報酬の請求について検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、大学病院では、看護婦等の1日当たりの平均人員数及び月平均夜勤時間数を計算する期間(以下「計算期間」という。)の設定が適切でなかったことなどから夜間勤務等看護加算の届出を行っておらず、夜間の看護サービスが診療報酬上適切に評価されていない事態となっていた。
 すなわち、大学病院では、9年5月及び10年7月に夜間勤務等看護加算の算定の可能性について検討を行っていたが、その際、計算期間を1か月単位としていたため、看護婦等の1人当たり月平均夜勤時間数が基準を超過しているなど前記の要件を満たしていないとして、同加算に係る届出を行っていなかった。
 しかし、本件の届出に当たっては、取扱通知により、計算期間の単位は1か月又は4週間のいずれかを選択できることとなっている。そして、大学病院における看護婦等の実際の勤務時間の割振りは4週間単位となっているのであるから、その計算期間も同じく4週間単位として検討を行うべきであったと認められる。
 そこで、本院が10年度について計算期間を4週間単位として計算したところ、10年6月以降全18病棟のうちの17病棟が要件を満たしていた。また、残りの1病棟についても若干名の看護婦等を配置するなどしていれば要件を満たすことが判明した。
 したがって、上記により必要な見直しを行い、10年7月末に夜間勤務等看護加算の届出を行っていれば、同年8月以降は、すべての病棟が要件を満たすことになり、看護婦等の実際の勤務状況を反映した夜間勤務等看護加算を算定することが可能となると認められる。

(増収可能額)

 大学病院において、上記のとおり、計算期間を4週間単位とするとともに必要となる看護婦等を確保し、これにより届出を行ったとすれば、18病棟すべてが前記区分の(I)a又は(I)bに該当することとなり、10年度の夜間勤務等看護加算に係る診療報酬請求額は7792万円となる。そして、看護婦等の確保に必要な人件費の増加を考慮しても、約6900万円の増収になると認められる。

(是正改善を必要とする事態)

 大学病院において、夜間勤務等看護加算に係る届出を行っておらず、このため、実際に夜間看護業務に従事している看護婦等について診療報酬上の評価がされていない事態は適切とは認められず、是正改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

 このような事態が生じているのは、大学病院において、夜間勤務等看護加算の制度の理解が十分でなかったことなどによると認められる。

3 本院が要求する是正改善の処置

 大学病院は、高度医療の提供等を行う医療施設として、これらの重要な責務を果たすにふさわしい医療サービスと看護体制の整備を図っている。したがって、夜間勤務等看護加算に係る届出を行い、適切な診療報酬を請求するための処置を講ずる要があると認められる。