会計名及び科目 | 一般会計 (組織)厚生本省 (項)老人福祉費 |
部局等の名称 | 厚生本省(交付決定庁) 北海道ほか2県(支出庁) |
国庫負担の根拠 | 老人保健法(昭和57年法律第80号) |
実施主体 | 市18、町24、村7、計49実施主体 |
国庫負担対象事業の概要 | 国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため老人に対する医療等を行うもの |
不適切な国庫負担割合となっていた老人医療費の額 | 674,261,060円(平成8年度〜11年度) |
不当と認める国庫負担金の額 | 89,901,460円(平成8年度〜11年度) |
1 負担金の概要
老人医療給付費負担金は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、老人保健法(昭和57年法律第80号)に基づき、市町村が実施する老人医療等に要する費用(患者負担分を除く。以下「老人医療費」という。)について、その一部を国が負担するものである。
この負担金の各実施主体に対する交付額は、老人医療費から損害賠償金等の収入額を控除した額を国庫負担対象事業費とし、これに国の負担割合である10分の2を乗じて算出することとなっている。ただし、この負担割合は、次の(ア)から(ウ)に掲げる老人医療費(以下、これらの老人医療費を「老人保健施設療養費等」といい、これらを除く老人医療費を「一般医療費」という。)については、老人医療における介護の積極的支援などのため一般医療費より高率の12分の4となっている。
(ア) 老人保健施設療養費
(イ) 看護・介護体制の整った病院等(特例許可老人病院(注) のうち当該許可に係る病棟であって、老人病棟入院医療管理料、老人病棟基本看護、老人病棟特例看護又は一般基準看護(結核・精神病棟に限る。)の届出を行ったものなど)における入院に係る老人医療費
(ウ) 老人訪問看護療養費等
実施主体である市町村では、老人医療費を一般医療費と老人保健施設療養費等に区分集計する事務を、都道府県の国民健康保険団体連合会等の審査支払機関に委託して行っており、その結果を受けて金額等を確認の上、都道府県を通じて国庫負担対象事業の実績報告等を行うこととなっている。
(注) 特例許可老人病院 主として老人慢性疾患の患者を収容する病院であって、医師、看護婦等の配置について、都道府県知事から一般病院より緩和された基準によることの許可を受けた病棟を有するもの
2 検査の結果
北海道ほか22都府県において検査したところ、北海道ほか2県の登別市ほか48実施主体では、10医療機関に支払った老人医療費について、一般医療費として区分集計すべき老人医療費を老人保健施設療養費等に区分集計して国庫負担対象事業の実績報告を行うなどしていた。`このため、老人医療費計2,467件、674,261,060円が不適切に区分集計され、国庫負担金計89,901,460円が過大となっていて不当と認められる。
これを不当の態様別に示すと次のとおりである。
(1) 精神療養病棟入院料を算定している病棟に係る老人医療費については、一般医療費として区分集計すべきであるのに、国民健康保険団体連合会でこれを老人保健施設療養費等に区分集計し、その結果を受けた実施主体がこの誤りを見過ごしていたもの
北海道、栃木県
(2) 結核・精神病棟における基準看護の病棟に係る老人医療費については、特例許可老人病院のうち前記の許可を受けた病棟に係るもののみを老人保健施設療養費等に区分集計すべきであるのに、国民健康保険団体連合会で特例許可老人病院ではない病院に係るものについても該当するものとして区分集計し、その結果を受けた実施主体がこの誤りを見過ごしていたもの
青森県
このような事態が生じていたのは、実施主体である各市町村及び北海道ほか2県の国民健康保険団体連合会において本制度についての認識が十分でなかったこと、また、これに対する各道県の指導が十分でなかったことなどによると認められる。
これを道県別に示すと次のとおりである。
道県名 | 実施主体 | 年度 | 不適切な国庫負担割合となっていた老人医療費の件数 | 不適切な国庫負担割合となっていたいた老人医療費の額 | 不当と認める国庫負担金の額 | |
(51) |
北海道 |
登別市ほか3市 |
9、10 |
件 70 |
千円 24,429 |
千円 3,257 |
(52) | 青森県 | 南津軽郡浪岡町ほか22市町村 | 9〜11 | 1,152 | 316,658 | 42,221 |
(53) | 栃木県 | 宇都宮市ほか21市町村 | 8〜10 | 1,245 | 333,172 | 44,422 |
(51)−(53) の計 | 2,467 | 674,261 | 89,901 |