地域産業創造技術研究開発費補助金の経理が不当と認められるもの

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(１６６)−(１６８)　地域産業創造技術研究開発費補助金の経理が不当と認められるもの

１　補助金の概要

　地域産業創造技術研究開発費補助金は、中小企業者が行う新製品、新技術等に関する研究開発事業で、新規性を有するものとして都道府県知事の認定を受けた研究開発等事業計画に基づくものに対し、都道府県が補助する場合、その事業に要する費用の一部を国が補助するものである。そして、この補助金を交付することによって、中小企業の技術開発を促進し技術改善を図り、もって中小企業製品の高付加価値化等に資することを目的としている。
　この補助の対象となる事業費は、上記の研究開発事業の補助対象期間内に要した機械装置・工具器具等の購入費や外注加工費などの経費であり、補助金の交付額は当該経費の３分の１以内となっている。
　また、事業主体となる中小企業者は、事業完了後に、実際に要した補助対象事業費等について実績報告書を都道府県に提出し、都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を確認することとなっている。

２　検査の結果

　北海道ほか２７都府県において、この補助金について検査したところ、青森県ほか２県の３中小企業者に対する３件の補助事業(国庫補助対象事業費７２，４３３，３０５円)において、事業主体が、補助対象の機械装置を購入していなかったり、補助の対象とならないものを事業費に含めていたりしていた。このため、国庫補助対象事業費５６，６０４，２５５円が過大になっていて、これに係る国庫補助金相当額１８，３３７，６５０円が不当と認められる。これは、事業主体が事実と相違した内容の実績報告をしていたこと、これに対する県の審査及び確認が十分でなかったことなどによるものである。
　これを県別・事業主体別に示すと次のとおりである。

　この補助事業は、りんごの搾りかすを原材料とした食物繊維の付加価値を高めるため、新規製造法等の研究開発を行うもので、事業主体は、本件事業を実施するに当たり、機械装置などの購入費等に要したとする事業費２１，１９５，８６０円(国庫補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金６，５００，０００円の交付を受けていた。
　しかし、事業主体は、上記事業費のうち機械装置などの一部１２，４５３，８６０円については購入していなかった。
　したがって、適正な国庫補助対象事業費は８，７４２，０００円となり、前記の事業費２１，１９５，８６０円との差額１２，４５３，８６０円に係る国庫補助金相当額３，９７５，０００円が過大に交付されていた。

　この補助事業は、スプリングの特性を活用した緩衝機能を持つヒンジ(蝶つがい)の用途開発のために試作を行うもので、事業主体は、本件事業を実施するに当たり、機械装置・工具器具の購入費、外注加工費及び研究者の人件費に要したとする事業費４１，２３７，４４５円(国庫補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金１３，４７５，０００円の交付を受けていた。
　しかし、事業主体は、上記事業費のうち機械装置等の一部２６，５７８，７９５円及び外注加工費の一部３，９８７，９５０円については、購入や支払の実績がなかった。さらに、前年度に購入するなど補助対象とならない経費２，７３３，６５０円を事業費に含めるなどしていた。
　したがって、適正な国庫補助対象事業費は７，０８７，０５０円となり、前記の事業費４１，２３７，４４５円との差額３４，１５０，３９５円に係る国庫補助金相当額１１，１１２，６５０円が過大に交付されていた。

　この補助事業は、長期保存等の特性を有する超高圧加工米の生産コストの低減を図るため、低温加圧処理技術の研究開発を行うもので、事業主体は、本件事業を実施するに当たり、加圧装置の購入費等に要したとする事業費１０，２２０，９２０円(国庫補助対象事業費１０，０００，０００円)に対して、国庫補助金３，２５０，０００円の交付を受けていた。
　しかし、事業主体は、上記技術の研究開発を行うに当たり、補助対象である上記の加圧装置１０，０００，０００円については購入していなかった。
　したがって、上記の国庫補助金は交付の要がなかった。