会計名及び科目 | 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費 |
部局等の名称 | 関東通商産業局ほか2通商産業局 |
助成の根拠 | 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号) |
事業主体 | 茨城県ほか5都県 |
事業の内容 | 中小企業者に対する無利子の設備近代化資金の貸付け |
貸付件数 | 6件(6中小企業者) |
貸付金額の合計 | 104,110,000円 (国庫補助金相当額52,055,000円) |
不当貸付金額 | 58,409,150円 |
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 | 29,204,574円 |
1 補助金の概要
中小企業庁では、中小企業者の設備の近代化に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、当該貸付けに必要な資金の2分の1以内の額を中小企業設備近代化補助金として交付している。
都道府県は、この補助金に自己資金等を合わせて資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、設備の設置に必要と認めた資金の額の2分の1以内の額を中小企業設備近代化資金として無利子で貸し付けている。その貸付金額は50万円以上4000万円以下、償還期間は原則として5年となっている。また、借主は事業完了後に完了報告書を提出し、都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を確認することとなっている。
2 検査の結果
北海道ほか27都府県における中小企業設備近代化資金の貸付けのうち903件の貸付けについて検査したところ、茨城県ほか5都県の6中小企業者に対する6件104,110,000円の貸付けにおいて、借主が、設備を貸付対象事業費より低額で設置したり、設備を設置していなかったりなどしていた。このため、58,409,150円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額29,204,574円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。これは、借主が事実と相違した内容の貸付申請や完了報告を行っていたこと、これに対する都県の審査及び確認が適切でなかったことなどによるものである。
これを都県別・貸付先別に示すと次のとおりである。
都県名 | 貸付先 | 貸付対象設備 | 貸付年月 | 貸付対象事業費 | 貸付対象として適切でない事業費 | 補助の目的に沿わない国庫捕助金相当額 | 摘要 | |
同上に対する貸付金額 | 同上に対する貸付金相当額 | |||||||
千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(169) | 茨城県 | 運送業者 | トラクタートラックほか1 | 8.3 | 34,112 (17,040) |
13,409 (6,688) |
3,344 | 低額設置 |
この貸付けは、トラクタートラック及びトレーラー各1台の購入に必要な資金34,170,250円(うち貸付対象事業費分34,112,000円)の一部として、17,040,000円を貸し付けたものである。借主は、これらの設備を34,170,250円で購入したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は20,703,000円(貸付対象事業費同額)で購入していた。
したがって、これらの設備の購入に対する適切な貸付金額を計算すると10,351,500円となるので、本件貸付金額との差額6,688,500円が過大な貸付けとなっている。
(170) | 東京都 | 建設業者 | ショベル系掘削機 | 8.10 | 20,200 (10,000) |
20,200 (10,000) |
5,000 | 不設置 |
この貸付けは、ショベル系掘削機1台の購入に必要な資金20,810,635円(うち貸付対象事業費分20,200,000円)の一部として、10,000,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を20,810,635円で購入したとしているが、実際は購入していなかった。
したがって、本件貸付けはその要がないものである。
(171) | 三重県 | 採石業者 | トラクタ | 7.7 | 46,350 (22,240) |
22,981 (10,555) |
5,277 | 低額設置 |
この貸付けは、トラクタ1台の購入に必要な資金46,350,000円の一部として、22,240,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は24,205,000円(うち貸付対象事業費分23,368,411円)で購入していた。
したがって、この設備の購入に対する適切な貸付金額を計算すると11,684,205円となるので、本件貸付金額との差額10,555,795円が過大な貸付けとなっている。
(172) | 福岡県 | 鍛圧品製造業者 | プレス | 8.1 | 81,021 (40,000) |
46,594 (22,786) |
11,393 | 低額設置 |
この貸付けは、プレス1台の設置に必要な資金85,490,000円(うち貸付対象事業費分81,021,000円)の一部として、40,000,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を85,490,000円で設置したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は34,426,500円(貸付対象事業費同額)で設置していた。
したがって、この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると17,213,250円となるので、本件貸付金額との差額22,786,750円が過大な貸付けとなっている。
(173) | 大分県 | 建設業者 | ショベル系掘削機 | 8.10 | 10,815 (5,400) |
4,635 (4,220) |
2,110 | 低額設置及び重複融資 |
この貸付けは、ショベル系掘削機1台の購入に必要な資金10,815,000円の一部として、5,400,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、この額は貸付対象事業費から差し引くこととなっている下取りによる売却益を含めるなどしていたもので、実際に購入に必要な資金は6,180,000円であった。また、借主は、この貸付けを受ける前に、本件設備の購入のために県から長期資金5,000,000円を借り入れていて、当該設備の購入に必要な資金のうち一部について重複して貸付けを受けていた。
したがって、この設備の購入に対する適切な貸付金額を計算すると1,180,000円となるので、本件貸付金額との差額4,220,000円が過大な貸付けとなっている。
(174) | 宮崎県 | 輸送用機械器具製造業者 | 油水分離装置ほか2 | 8.1 | 18,865 (9,430) |
8,321 (4,158) |
2,079 | 貸付対象事業費の過大計上 |
この貸付けは、油水分離装置一式、洗車装置及び検車装置各1台の設置に必要な資金計18,865,224円(うち貸付対象事業費分18,865,000円)の一部として、9,430,000円を貸し付けたものである。借主は、これらの設備を18,865,224円で設置したとしているが、このうち油水分離装置一式12,360,000円(貸付対象事業費同額)については事業費を過大に計上していたもので、実際は、本件貸付対象設備を10,543,790円(貸付対象事業費同額)で設置していた。
したがって、これらの設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると5,271,895円となるので、本件貸付金額との差額4,158,105円が過大な貸付けとなっている。
(169)−(174) の計 | 211,363 (104,110) |
116,141 (58,409) |
29,204 |