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  • 平成10年度|
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閘門築造工事の施行に当たり、設計が適切でなかったため基礎工の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの


(175) 閘門築造工事の施行に当たり、設計が適切でなかったため基礎工の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目 港湾整備特別会計(港湾整備勘定) (項)受託工事費
〔平成9年度国庫債務負担行為 (事項)港湾整備関係受託工事〕
部局等の名称 第三港湾建設局
工事名 (1) 尼崎西宮芦屋港海岸地区閘門(改良)築造工事(その8)
(2) 尼崎西宮芦屋港海岸地区閘門(改良)築造工事(その14)
工事の概要
尼崎西宮芦屋港の海岸高潮対策事業の一環として閘門の基礎工等を施工する工事

工事費 (1) 1,070,170,000円 (当初契約額 978,500,000円)
(2) 1,442,070,000円 (当初契約額1,375,500,000円)
計 2,512,240,000円
請負人 (1) 東洋・東亜・三井不動産建設工事共同企業体
(2) 若築・大本・大都建設工事共同企業体
契約 (1) 平成8年5月 一般競争契約
(2) 平成10年2月 一般競争契約
しゅん功検査 (1) 平成8年12月
(2) 平成10年12月
支払 (1) 平成8年7月、9年4月 2回
(2) 平成10年3月、11年2月 2回
不適切な設計となっている工事費 (1) 85,949,000円
(2) 118,304,000円
計 204,253,000円

1 工事の概要

 これらの工事は、第三港湾建設局が、尼崎西宮芦屋港の海岸高潮対策事業の一環として、兵庫県からの委託により、老朽化した既存の閘門(注1) を撤去して新たに大型の閘門を築造するものである。そして、同局では、平成8年度に(1)工事として後扉室の基礎工、仮締切堤工及び閘室工を工事費1,070,170,000円、9、10両年度に(2)工事として前扉室の基礎工及び仮締切堤工を工事費1,442,070,000円、計2,512,240,000円で実施している。このうち後扉室及び前扉室の基礎工は、鋼管杭(外径900mm、厚さ12mm)を(1)工事で82本(杭長17.5m)、(2)工事で122本(杭長18.3m)、計204本施工するものである(参考図参照) 。

 上記基礎工の設計については、既往年度に作成した設計計算書を基に、本件閘門の基礎杭詳細図の作成を(1)工事は7年度に、(2)工事は9年度にそれぞれ建設コンサルタントに請け負わせて行っていた。そして、この設計計算書によると、地震時において鋼管杭に生ずる圧縮応力度(注2) は(1)工事で2,748kgf/cm2 、(2)工事で2,826kgf/cm2 であり、SKK50規格の鋼管杭を使用すれば許容圧縮応力度(注2) 2,850kgf/cm2 を下回ることから応力計算上安全であるとしていた。

2 検査の結果

 検査したところ、本件基礎工の設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、上記の設計計算書を作成した後、基礎杭詳細図作成までの間に、日本工業規格(JIS)では、鋼管杭の規格の記号がSKK50からSKK490に変更されていた。
 しかし、基礎杭詳細図の作成を請け負った建設コンサルタントでは、基礎杭詳細図にSKK490と記載すべきところを誤ってSKK400と記載し、同局においてこの規格の鋼管杭により本件基礎工を施工していた。
 このため、地震時において鋼管杭に生ずる圧縮応力度は、前記のとおり(1)工事で2,748kgf/cm2 、(2)工事で2,826kgf/cm2 であるから、SKK400 規格の鋼管杭の許容圧縮応力度2,100kgf/cm2 を大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を大幅に超えている。
 このような事態が生じたのは、建設コンサルタントから提出された基礎杭詳細図に誤りがあったのに、これに対する検収が十分でなかったことによる。
 したがって、本件基礎工は設計が適切でなかったため所要の安全度が確保されていない状態になっており(1)の工事費85,949,000円(2)の工事費118,304,000円、計204,253,000円が不当と認められる。

(注1)  閘門 運河などの高低差のある水面で、水位を調節して船を通過させるための水門。

(注2)  圧縮応力度・許容圧縮応力度 「圧縮応力度」とは、軸方向力及び曲げモーメント(杭を曲げようとする力)により、杭の内部に生ずる圧縮力の単位面積当たりの大きさをいい、その数値が設計上許される上限を「許容圧縮応力度」という。

(参考図)

(参考図)