会計名及び科目 | 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)失業等給付費 |
部局等の名称 | 北海道ほか23都府県(支給庁) 札幌公共職業安定所ほか137公共職業安定所(支給決定庁) |
支給の相手方 | 339人 |
失業等給付金の 支給額の合計 |
基本手当 再就職手当 計 |
230,000,471円 11,137,850円 241,138,321円 |
不適正支給額 | 基本手当 再就職手当 計 |
40,314,567円 11,137,850円 51,452,417円 |
1 保険給付の概要
雇用保険は、工場、事務所、商店等に雇われる労働者を被保険者とし、被保険者が失業した場合及び被保険者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合にその生活及び雇用の安定を図るなどのため失業等給付金の支給を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行う保険である。
失業等給付金には基本手当及び再就職手当のほか14種の手当等がある。このうち、基本手当は、受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給されるものであり、再就職手当は、受給資格者が、基本手当を受給できる日数を所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上残して安定した職業に就いた場合に支給されるものである。基本手当及び再就職手当は、公共職業安定所が次のように支給を決定し、これに基づいて各都道府県が支給することとなっている。
(ア) 基本手当については、受給資格者から提出された失業認定申告書に記載されている就職、就労(臨時的に短期間仕事に就くこと)の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定する。
(イ) 再就職手当については、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定する。
(注) 受給資格者 離職した被保険者で、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることの要件を満たしていて、公共職業安定所において、基本手当を受給する資格があると決定された者
2 検査の結果
北海道ほか25都府県(支給決定庁 札幌公共職業安定所ほか274公共職業安定所)から失業等給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者16,704人について、公共職業安定所における失業等給付金の支給決定の適否を検査した。
検査したところ、次のとおり基本手当及び再就職手当が不適正に支給されていた。
ア 基本手当
北海道ほか23都府県で、本院が調査した9,536人に対する基本手当の支給のうち336人に対する支給(支給額230,000,471円)について、40,314,567円が不適正に支給されていた。これは、受給者が誠実でなく、再就職していながらその事実を失業認定申告書に記載していないなどのため、申告書の内容が事実と相違していたのに、札幌公共職業安定所ほか136公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによるものである。
イ 再就職手当
北海道ほか16都県で、本院が調査した400人に対する再就職手当の支給のうち30人に対する支給(支給額11,137,850円)について、11,137,850円が不適正に支給されていた。これは、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇入れ年月日を記載していたのに、帯広公共職業安定所ほか24公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによるものである。
なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
これらの不適正支給額を都道府県別に示すと次のとおりである。
都道府県名 | 公共職業安定所 | 本院が調査した受給者数 | 不適正受給者数 | 左の受給者に支給した失業等給付金 | 左のうち不適正失業等給付金 |
北海道 |
札幌ほか9 帯広 小計 |
人 670 5 |
人 15 1 |
千円 13,784 408 14,192 |
千円 2,839 408 3,247 |
青森県 | 八戸ほか2 八戸ほか1 小計 |
317 51 |
14 4 |
9,584 523 10,107 |
1,085 523 1,609 |
秋田県 | 秋田ほか3 鹿角 小計 |
424 3 |
16 1 |
9,918 368 10,287 |
2,091 368 2,460 |
埼玉県 | 川越ほか1 春日部 小計 |
196 32 |
4 1 |
993 828 1,821 |
647 828 1,476 |
千葉県 | 千葉ほか5 銚子ほか1 小計 |
443 33 |
13 2 |
7,367 295 7,662 |
1,782 295 2,078 |
東京都 | 港ほか8 港ほか1 小計 |
934 45 |
20 2 |
10,727 253 10,981 |
2,806 253 3,060 |
神奈川県 | 横浜ほか3 小計 |
152 − |
7 − |
4,736 − 4,736 |
1,937 − 1,937 |
新潟県 | 新潟ほか3 新津 小計 |
267 6 |
5 1 |
842 799 1,642 |
147 799 946 |
山梨県 | 甲府ほか2 小計 |
178 − |
5 − |
1,599 − 1,599 |
504 − 504 |
長野県 | 長野ほか7 飯田ほか1 小計 |
647 34 |
13 2 |
10,543 1,405 11,949 |
928 1,405 2,334 |
静岡県 | 浜松ほか5 小計 |
402 − |
14 − |
15,179 − 15,179 |
1,127 − 1,127 |
愛知県 | 名古屋東ほか8 名古屋中ほか1 小計 |
832 42 |
32 3 |
24,675 928 25,604 |
2,762 928 3,690 |
滋賀県 | 長浜ほか4 小計 |
321 − |
10 − |
4,484 − 4,484 |
1,851 − 1,851 |
大阪府 | 大阪東ほか4 小計 |
394 − |
8 − |
7,123 − 7,123 |
705 − 705 |
兵庫県 | 灘ほか5 伊丹ほか1 小計 |
239 15 |
13 2 |
11,827 1,337 13,164 |
3,256 1,337 4,593 |
奈良県 | 奈良ほか3 小計 |
195 − |
8 − |
7,473 − 7,473 |
1,174 − 1,174 |
島根県 | 松江ほか4 出雲 小計 |
256 15 |
15 1 |
5,260 744 6,005 |
1,637 744 2,382 |
岡山県 | 岡山ほか5 高梁 小計 |
382 6 |
22 1 |
14,413 601 15,014 |
3,012 601 3,614 |
山口県 | 山口ほか6 山口ほか1 小計 |
285 24 |
13 2 |
8,806 856 9,663 |
1,322 856 2,179 |
徳島県 | 徳島ほか6 徳島ほか1 小計 |
406 25 |
36 2 |
27,664 576 28,241 |
3,182 576 3,759 |
福岡県 | 飯塚ほか6 門司 小計 |
306 2 |
14 2 |
11,548 354 11,903 |
1,348 354 1,703 |
長崎県 | 長崎ほか4 長崎 小計 |
381 16 |
13 1 |
4,526 642 5,168 |
1,063 642 1,706 |
熊本県 | 熊本ほか6 熊本 小計 |
392 46 |
15 2 |
7,242 212 7,455 |
1,372 212 1,584 |
宮崎県 | 宮崎ほか4 小計 |
517 − |
11 − |
9,675 − 9,675 |
1,725 − 1,725 |
計 | 137箇所 25箇所 |
9,536 400 |
336 30 |
230,000 11,137 |
40,314 11,137 |
合計 | 241,138 | 51,452 |
(注1) 上段は基本手当に係る分、下段は再就職手当に係る分である。
(注2) 公共職業安定所のうち、基本手当と再就職手当の双方について不適正な支給があったものが24、基本手当のみのものが113、再就職手当のみのものが1あり、したがって、公共職業安定所の実数は138である。
(注3) 不適正受給者のうち、基本手当と再就職手当の双方に係る者が27人、基本手当のみの者が309人、再就職手当のみの者が3人おり、したがって、基本手当と再就職手当に係る不適正受給の実人員は339人である。