ページトップ
  • 平成10年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11労働省|
  • 不当事項|
  • 保険給付

雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの


(205) 雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)失業等給付費
部局等の名称 北海道ほか23都府県(支給庁)
札幌公共職業安定所ほか137公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 339人
失業等給付金の
支給額の合計
基本手当
再就職手当
  計
230,000,471円
11,137,850円
241,138,321円
不適正支給額 基本手当
再就職手当
  計
40,314,567円
11,137,850円
51,452,417円

1 保険給付の概要

(雇用保険)

 雇用保険は、工場、事務所、商店等に雇われる労働者を被保険者とし、被保険者が失業した場合及び被保険者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合にその生活及び雇用の安定を図るなどのため失業等給付金の支給を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行う保険である。

(失業等給付金の支給)

 失業等給付金には基本手当及び再就職手当のほか14種の手当等がある。このうち、基本手当は、受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給されるものであり、再就職手当は、受給資格者が、基本手当を受給できる日数を所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上残して安定した職業に就いた場合に支給されるものである。基本手当及び再就職手当は、公共職業安定所が次のように支給を決定し、これに基づいて各都道府県が支給することとなっている。

(ア) 基本手当については、受給資格者から提出された失業認定申告書に記載されている就職、就労(臨時的に短期間仕事に就くこと)の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定する。

(イ) 再就職手当については、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定する。

(注)  受給資格者 離職した被保険者で、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることの要件を満たしていて、公共職業安定所において、基本手当を受給する資格があると決定された者

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道ほか25都府県(支給決定庁 札幌公共職業安定所ほか274公共職業安定所)から失業等給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者16,704人について、公共職業安定所における失業等給付金の支給決定の適否を検査した。

(不適正支給の事態)

 検査したところ、次のとおり基本手当及び再就職手当が不適正に支給されていた。

ア 基本手当

 北海道ほか23都府県で、本院が調査した9,536人に対する基本手当の支給のうち336人に対する支給(支給額230,000,471円)について、40,314,567円が不適正に支給されていた。これは、受給者が誠実でなく、再就職していながらその事実を失業認定申告書に記載していないなどのため、申告書の内容が事実と相違していたのに、札幌公共職業安定所ほか136公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによるものである。

イ 再就職手当

 北海道ほか16都県で、本院が調査した400人に対する再就職手当の支給のうち30人に対する支給(支給額11,137,850円)について、11,137,850円が不適正に支給されていた。これは、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇入れ年月日を記載していたのに、帯広公共職業安定所ほか24公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによるものである。
 なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
 これらの不適正支給額を都道府県別に示すと次のとおりである。

都道府県名 公共職業安定所 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した失業等給付金 左のうち不適正失業等給付金

北海道

札幌ほか9
帯広
小計

670
5

15
1
千円
13,784
408
14,192
千円
2,839
408
3,247
青森県 八戸ほか2
八戸ほか1
小計
317
51
14
4
9,584
523
10,107
1,085
523
1,609
秋田県 秋田ほか3
鹿角
小計
424
3
16
1
9,918
368
10,287
2,091
368
2,460
埼玉県 川越ほか1
春日部
小計
196
32
4
1
993
828
1,821
647
828
1,476
千葉県 千葉ほか5
銚子ほか1
小計
443
33
13
2
7,367
295
7,662
1,782
295
2,078
東京都 港ほか8
港ほか1
小計
934
45
20
2
10,727
253
10,981
2,806
253
3,060
神奈川県 横浜ほか3
小計
152
7
4,736

4,736
1,937

1,937
新潟県 新潟ほか3
新津
小計
267
6
5
1
842
799
1,642
147
799
946
山梨県 甲府ほか2
小計
178
5
1,599

1,599
504

504
長野県 長野ほか7
飯田ほか1
小計
647
34
13
2
10,543
1,405
11,949
928
1,405
2,334
静岡県 浜松ほか5
小計
402
14
15,179

15,179
1,127

1,127
愛知県 名古屋東ほか8
名古屋中ほか1
小計
832
42
32
3
24,675
928
25,604
2,762
928
3,690
滋賀県 長浜ほか4
小計
321
10
4,484

4,484
1,851

1,851
大阪府 大阪東ほか4
小計
394
8
7,123

7,123
705

705
兵庫県 灘ほか5
伊丹ほか1
小計
239
15
13
2
11,827
1,337
13,164
3,256
1,337
4,593
奈良県 奈良ほか3
小計
195
8
7,473

7,473
1,174

1,174
島根県 松江ほか4
出雲
小計
256
15
15
1
5,260
744
6,005
1,637
744
2,382
岡山県 岡山ほか5
高梁
小計
382
6
22
1
14,413
601
15,014
3,012
601
3,614
山口県 山口ほか6
山口ほか1
小計
285
24
13
2
8,806
856
9,663
1,322
856
2,179
徳島県 徳島ほか6
徳島ほか1
小計
406
25
36
2
27,664
576
28,241
3,182
576
3,759
福岡県 飯塚ほか6
門司
小計
306
2
14
2
11,548
354
11,903
1,348
354
1,703
長崎県 長崎ほか4
長崎
小計
381
16
13
1
4,526
642
5,168
1,063
642
1,706
熊本県 熊本ほか6
熊本
小計
392
46
15
2
7,242
212
7,455
1,372
212
1,584
宮崎県 宮崎ほか4
小計
517
11
9,675

9,675
1,725

1,725
 計 137箇所
25箇所
9,536
400
336
30
230,000
11,137
40,314
11,137
合計


241,138 51,452

(注1) 上段は基本手当に係る分、下段は再就職手当に係る分である。

(注2) 公共職業安定所のうち、基本手当と再就職手当の双方について不適正な支給があったものが24、基本手当のみのものが113、再就職手当のみのものが1あり、したがって、公共職業安定所の実数は138である。

(注3) 不適正受給者のうち、基本手当と再就職手当の双方に係る者が27人、基本手当のみの者が309人、再就職手当のみの者が3人おり、したがって、基本手当と再就職手当に係る不適正受給の実人員は339人である。