科目 | (項)高速道路建設事業費 (項)社会資本整備事業費 (項)受託関連街路建設費 |
部局等の名称 | 首都高速道路公団本社 |
契約名 | 事業用地等管理保全業務委託(平成9年度)ほか1契約 |
契約の概要 | 高速道路建設事業の一環として、道路用地の取得から建設工事の着工までの間、これを適切に管理するために巡回監視、防じん処理等を行う業務 |
契約の相手方 | 財団法人首都高速道路補償センター |
契約 | 平成9年4月、10年4月 随意契約 |
支払額 | 4億4759万余円 | (平成9、10両年度) |
防じん処理に係る工事費 | 1億1623万余円 | (平成9、10両年度) |
節減できた工事費 | 3000万円 |
1 業務委託の概要
首都高速道路公団(以下「公団」という。)では、平成9、10両年度に、高速道路建設事業の一環として、道路用地を更地として取得後、建設工事の着工までの間の土地の管理保全業務を総額4億4759万余円で委託して実施している。
この管理保全業務は、道路用地を事故なく保全するために、巡回監視、防じん処理、フェンスの設置等を行うものである。
この業務のうち防じん処理は、道路用地が商店街や密集した住宅地に所在する場合、ほこり等の発生を防止するために、その土地を再生アスファルト混合物で舗装するものである。
公団では、防じん処理の設計について、公団制定の「事業用地等管理保全業務委託積算基準」等(以下「積算基準」という。)に基づいて、次のように設計していた(参考図参照)
。
すなわち、〔1〕 整地工として、土地の不陸を整正するために現地盤の上に砂を厚さ20cm、〔2〕 路盤工として、整地工の上に再生砕石(粒径3cm以下)を厚さ10cm、〔3〕 表層工として、路盤工の上に再生アスファルト混合物を厚さ3cm、それぞれ敷き均して転圧する。
本件防じん処理の工事費については、積算基準に基づいて、1m2 当たり施工単価を算出し、これに面積(計22,695m2 )を乗じて、計1億1623万余円と算定していた。
2 検査の結果
本件防じん処理は、道路用地の取得から建設工事の着工までの間、ほこり等の発生を一時的に防止するためのものである。そこで、防じん処理の設計がそのことに配慮し、経済的なものとなっているかという点に着眼して検査した。
検査したところ、本件防じん処理の設計のうち、整地工及び路盤工について、次のような事態が見受けられた。
〔1〕 整地工について
防じん処理は、道路用地の取得前は家屋等が建っていたなどのために比較的平坦となっている場所に施工している。このため、現地盤にある若干の不陸を整正すれば足り、整地のための砂を使用する必要はないと認められた。
〔2〕 路盤工について
道路用地は、不法占拠等を防止するためにフェンスで囲まれており、道路のように自動車、歩行者等による荷重がかかっていない。このため路盤工は、現地盤と表層の再生アスファルト混合物との密着性を高めるために必要な最小の厚さでよく、本件工事で使用する再生砕石が粒径3cm以下であることから、路盤工の厚さは、3cmで足りると認められた。
したがって、防じん処理については、整地のための砂を使用せずに不陸を整正するとともに、路盤工の厚さを3cmにすることにより経済的な設計を行う要があると認められた(参考図参照)
。
現に、他団体では、道路用地の防じん処理を施工する場合、整地のための砂を使用しておらず、不陸を整正した後、路盤工の厚さを3cmとして設計を行っている状況である。
上記により、整地のための砂を使用せずに不陸を整正し、路盤工の厚さを3cmとして、防じん処理を設計したとすれば、現地盤の不陸整正に要する労務費を考慮しても、本件両契約に係る防じん処理の工事費は8617万余円となり、約3000万円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、防じん処理の設計を経済的なものとする配慮が十分でなかったことによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、公団では、11年10月に、防じん処理の設計を経済的なものとするよう積算基準を改正し、同年11月以降契約を行う業務委託から適用することとする処置を講じた。