科目 | (項)維持修繕費 |
部局等の名称 | 大阪、湾岸、神戸各管理部 |
契約名 | 排水設備清掃業務(9−1−池)ほか15契約 |
契約の概要 | 高速道路の維持管理業務の一環として排水桝清掃作業及び排水管清掃作業等を実施するもの |
契約の相手方 | 株式会社サンダほか7株式会社 |
契約 | 平成9年5月〜10年6月 指名競争契約、随意契約 |
支払額 | 14億8866万余円 | (平成9、10両年度) |
排水桝清掃費及び排水管清掃費の積算額 | 8億7094万余円 | (平成9、10両年度) |
低減できた積算額 | 5060万円 |
1 契約の概要
阪神高速道路公団(以下「公団」という。)の大阪、湾岸、神戸各管理部では、高速道路の維持管理業務の一環として排水設備清掃作業を毎年継続して行っており、平成9、10両年度では計16契約(支払額14億8866万余円)により請け負わせ実施している。この排水設備清掃作業は、排水桝及び排水管等の排水設備内の土砂、ごみ等の堆積物を清掃することにより、路面滞水による交通障害、路面の破損、凍結等を防止し、道路の機能及び美観を保持することなどを目的として行われている。
高速道路の高架部の降水は、道路の横断勾配によって路肩又は中央部に設置された排水桝に流れ込み、排水桝に連結した排水管を通り高架下の集水桝に排水される。このように排水桝と排水管は路面の排水上一連のものであるが、それぞれの清掃作業は、排水桝のみを清掃する排水桝清掃(作業頻度、年5回〜22回)と、排水桝と排水管を同時に清掃する排水管清掃(作業頻度、年1回又は2回)とに区分して、それぞれ次のように行うこととなっている。
(ア) 排水桝清掃は、高速道路上を交通規制し、清掃工2名、トラック(2t)1台の編成で、高架部の排水桝内の堆積物を人力により除去する。
(イ) 排水管清掃は、高速道路上及び高架下の道路を交通規制し、清掃工4名、高圧洗浄車、散水車、トラック(2t)各1台の編成で、高架部の排水桝内の堆積物を人力により除去するとともに、高圧洗浄車の高圧ホースを排水桝から排水管内に挿入し、噴出する水の圧力で管内に堆積した土砂や塵芥等を高架下の集水桝に流し出し洗浄する。
公団では、排水桝清掃費及び排水管清掃費は、本社制定の「土木補修工事積算基準」(以下「積算基準」という。)に基づいて、次のとおり積算することとしている。
〔1〕 それぞれの編成に応じて1日当たりの労務費、作業車両の運転経費、除去した堆積物の処理費等及び交通規制に要する費用の合計額(以下「1日当たりの経費」という。)を算出する。
〔2〕 1日当たりの作業箇所数は、排水桝清掃で320箇所、排水管清掃で55箇所とする。
〔3〕 1日当たりの経費を1日当たりの作業箇所数で除して1箇所当たりの単価を算定し、これにそれぞれの実作業箇所数を乗ずる。
そして、公団では、上記により本件16契約の排水桝清掃費及び排水管清掃費を総額8億7094万余円と積算していた。
2 検査の結果
公団では、3年度に供用中の路線のうち大阪池田線及び神戸西宮線等の都市部の路線の清掃作業の実績に基づき積算基準を改正しているが、4年度以降、従来の路線より幅員の広い湾岸線や、高架部が連続していない北神戸線等多くの路線が新規に供用されてきている。そこで、排水桝清掃費及び排水管清掃費の積算が作業の実態を反映したものとなっているかという点に着眼して検査した。
検査したところ、次のとおり、排水設備の設置状況が従来とは異なってきていることなどにより、積算基準の前提となっている排水桝清掃及び排水管清掃の1日当たりの作業箇所数に比べて、実作業箇所数が地区によって区々となっている事態が見受けられた。
(ア) 湾岸部の路線においては、都市部の路線に比べて車線数が多いことなどにより幅員が広いため、集水面積が広くなり、排水桝の設置間隔が密になっていることから、1日当たりの平均作業箇所数は、排水桝清掃で366箇所、排水管清掃で62箇所と積算基準で定める箇所数を上回っていた。
(イ) 都市部の路線においては、従前より広い幅員の区間が新規に供用されたり、既設の路線に排水桝が増設されたりして、排水桝の設置間隔が密になっていることから、1日当たりの平均作業箇所数は、排水桝清掃で334箇所、排水管清掃で58箇所と積算基準で定める箇所数を上回っていた。
(ウ) 北神戸部の路線においては、高架部が連続しておらず排水桝の設置箇所が点在していることから、1日当たりの平均作業箇所数は、排水桝清掃で141箇所、排水管清掃で34箇所と積算基準で定める箇所数を下回っていた。
一方、1日当たりの経費については、経費の大半を占める労務費、作業車両の運転経費及び交通規制に要する費用は、作業の編成、作業車両の規格等が積算基準のものと差異がなく、また、堆積物の処理費等は経費に占める割合が極めて低いことから、従前と比べてほとんど増減が見られない状況であった。
これらの結果、1日当たりの経費を1日当たりの作業箇所数で除して得られる1箇所当たりの単価は、地区によって区々となり、積算基準に基づいて算出した単価に比べて、湾岸部及び都市部においては安価となり、北神戸部においては高価となっていた。
したがって、排水桝清掃費及び排水管清掃費の積算に当たっては、湾岸部、都市部又は北神戸部の各地区ごとに清掃作業の実態に適合した積算を行う要があると認められた。
上記により、本件各契約における排水桝清掃費及び排水管清掃費を、地区ごとの清掃作業の実態に基づくなどして修正計算すると総額8億2028万余円となり、前記の積算額を約5060万円低減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、地区ごとの清掃作業の実態を積算に反映させるための配慮が十分でなかったことによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、公団では、11年10月に高速道路の排水設備の清掃作業における排水桝清掃費及び排水管清掃費の積算が清掃作業の実態に適合したものとなるよう積算基準を改正し、同年11月以降締結する契約から適用することとする処置を講じた。