科目 | (一般勘定)貸付金 |
部局等の名称 | 社会福祉・医療事業団 |
貸付けの根拠 | 社会福祉・医療事業団法(昭和59年法律第75号) |
貸付金の種類 | 福祉貸付資金(建築資金及び設備備品整備資金) |
貸付けの内容 | 特別養護老人ホーム等を新築するため、施設又は設備の整備に必要な資金の貸付け |
貸付件数 | 2件 |
貸付金の合計額 | 680,000,000円 |
不当貸付金額 | 25,228,000円 |
1 貸付金の概要
社会福祉・医療事業団(以下「事業団」という。)は、社会福祉事業に関する必要な助成等を行うことにより社会福祉の増進を図ることを目的として、社会福祉・医療事業団法(昭和59年法律第75号)に基づき、特別養護老人ホーム等の社会福祉事業施設を設置し又は経営する社会福祉法人等に対し、その設置、整備又は経営に必要な資金を福祉貸付資金として貸し付けている。
事業団では、この貸付けに当たり、借入申込者である社会福祉法人等から提出された借入申込書類等の内容を審査し、所定の条件に適合していると認めたものに対し貸付内定の通知を行い、金銭消費貸借契約を締結する。
この貸付金額については、事業団が定める規程に基づき算出された額に所定の融資率を乗じて得た額を貸付限度額とし、その貸付限度額の範囲内で、かつ、貸付対象事業に対して交付される他の財源と合わせて資金剰余が生じない額とすることになっている。
そして、貸付対象事業が完了したときは、事業完了報告書を提出させるなどして事業内容を審査し、事業の成果が貸付けの目的及び対象に適合しているか等の確認を行うこととなっている。
また、事業団では、金銭消費貸借契約の特約条項に基づき、契約締結後に、貸付対象事業費の減額や補助金、共同募金会を通じた指定寄付金等の増額などにより借入れが不要となった金額については、繰上償還の措置を執ることができることとなっている。
2 検査の結果
事業団における福祉貸付資金の貸付けのうち76件の貸付けについて検査したところ、2件680,000,000円の貸付けにおいて、借入者から提出された事業完了報告書等の確認が十分でなかったなどのため、貸付金が25,228,000円過大に貸し付けられていて不当と認められる。
これを貸付先別に示すと次のとおりである。
貸付先 (所在地) |
貸付年月 (貸付利率) |
貸付対象事業費 | 左に対する貸付金額 | 貸付金額のうち不当と認める額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | ||||
(219) | 社会福祉法人 (静岡県島田市) |
9.2 (年2.90%) |
1,149,058 | 330,000 | 11,117 | 過大貸付 |
この貸付けは、特別養護老人ホーム等の設置等に必要な資金1,149,058,000円の一部として330,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を本件貸付金、国庫補助金等のほか、市からこの事業に対して交付された補助金236,954,000円を財源として貸付対象事業費どおりの額で事業を実施したとしていた。
しかし、上記の市からの補助金236,954,000円は過小に報告していたもので、実際は、260,087,000円の交付を受けていた。このため、貸付対象事業に充当される適正な収入額は計1,171,659,000円となり、報告漏れとなっていた費用を含めた支出額1,160,542,000円に対し11,117,000円の資金剰余が生じていると認められた。
したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると318,883,000円となるので、本件貸付金額との差額11,117,000円が過大な貸付けとなっている。
なお、本件の不当貸付金残高10,005,300円については、平成11年4月に繰上償還された。
(220) | 社会福祉法人 (愛媛県今治市) |
9.12 (年2.20%) |
1,264,739 | 350,000 | 14,111 | 過大貸付 |
この貸付けは、特別養護老人ホーム等の設置等に必要な資金1,264,739,000円の一部として350,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を本件貸付金、国庫補助金等のほか、関係団体からの贈与金82,889,000円を財源に充てて貸付対象事業費どおりの額で事業を実施したとしていた。
しかし、上記の贈与金82,889,000円は、実際は、関係団体から共同募金会を通じてこの事業に充てるために交付された指定寄付金97,000,000円の一部であり、借入者は、この指定寄付金の全額を財源に算入すべきであったのに贈与金として過小に報告していたものである。このため、貸付対象事業に充当される適正な収入額は計1,278,850,000円となり、支出額1,264,739,000円に対し14,111,000円の資金剰余が生じていると認められた。
したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると335,889,000円となるので、本件貸付金額との差額14,111,000円が過大な貸付けとなっている。
なお、本件の不当貸付金残高13,405,450円については、平成11年2月に繰上償還された。
(219)(220) の計 | 2,413,797 | 680,000 | 25,228 |