科目 | 設備投資勘定 | |
部局等の名称 | 日本電信電話株式会社(平成11年7月1日以降は「東日本電信電話株式会社」及び「西日本電信電話株式会社」) | |
電話回線用のパッケージの概要 | アナログ電話回線を収容するため遠隔加入者収容モジュールに搭載する加入者回路パッケージ | |
購入物品 | 加入者回路パッケージ207,390枚 |
購入費 | 16億9634万余円 |
有効に使用することができたパッケージの購入費(枚数) | 5610万円 (6,860枚) |
1 購入物品の概要
日本電信電話株式会社(以下「NTT」という。)では、高度情報化社会の通信基盤を整備するため、加入者線交換機が設置された支店等の機械棟から配線点(注1)
又は集合住宅等(以下「配線点等」という。)までの通信ケーブルについて、電気信号を伝送するメタリックケーブルから光信号を伝送する光ファイバケーブルに逐次更新している。そして、加入者から配線点等までのケーブルがメタリックケーブルとなっているため、電気信号と光信号を相互に変換する遠隔加入者収容モジュール(Remote SuBscriber Module。以下「RSBM」という。)等をこれに合わせて配線点等に設置している(参考図参照)
。
このRSBMは、電気信号を使用するアナログ電話回線(以下「電話回線」という。)を収容する加入者回路パッケージ(以下「パッケージ」という。)を搭載しており、このパッケージは1枚につき1回線を収容している。
NTTでは、RSBMの設置及び運用を次の手順で行っている。
〔1〕 支店では、RSBMの運用を開始する半年から1年程度前の企画検討時に、本社が制定した「電気通信技術標準実施方法−屋外設置型光アクセス装置−設計編」等に基づき、その時点の既設の電話回線(以下「既設回線」という。)の数を把握し、これにより予測した運用開始時の電話回線数(以下「予測回線数」という。)とその後数箇月間の需要動向を基にパッケージの搭載枚数を決定する。
〔2〕 技術総合センタでは、RSBMの設置工事(以下「設置工事」という。)に係る設計等を行い、資材の調達を要求し設置工事を実施する。
〔3〕 支店及び技術総合センタでは、RSBMに収容する既設回線がある場合は、その既設回線すべてについて収容先を記載した表(以下「収容表」という。)を作成し、これに基づき、配線作業や加入者情報を管理するシステムヘのデータ入力作業など、既設回線の収容先を加入者線交換機からRSBMに切り替える作業(以下、この作業を「切替作業」という。)を行う。
〔4〕 支店は、設置工事完了後にRSBMの運用を開始する。
〔5〕 支店では、運用開始後に新規の加入申込みがあれば、上記のシステムにデータを入力するなどして電話回線を開通させる。
2 検査の結果
NTTの電話回線の加入数は、携帯電話の急速な普及、電話回線からISDN回線への移行などにより、平成8年度末の6122万加入をピークに減少している。そこで、RSBMに搭載されたパッケージの枚数等は、電話回線の需要動向を反映した適切かつ効率的なものとなっているかなどに着眼して検査した。
東京支店ほか40支店(注2) において10年度に設置されたRSBM1,199台に搭載されたパッケージ計207,390枚(購入金額16億9634万余円)を対象として検査した。
検査したところ、一般住宅、集合住宅等の既設回線を収容しているRSBM641台については、前記のとおり、支店等において切替作業時に収容表を作成していたので、切替作業を行った電話回線数(以下「切替数」という。)の把握が可能であった。そこで、企画検討時の予測回線数と収容表により把握できた切替数を比較すると、この641台のうちの多数のRSBMにおいて予測回線数に比べて切替数が下回っていた。
したがって、収容する既設回線があるRSBMについては、支店等において切替作業時に切替数が把握できることから、設置工事の際に、切替数とその後の需要動向を基にパッケージの搭載枚数の見直しを行う必要があると認められた。
上記により、パッケージの搭載枚数を見直すこととすれば、159台のRSBMに搭載されているパッケージ計6,860枚(購入費相当額約5610万円)については、他の設置工事に転用することなどにより有効に使用することができたと認められた。
このような事態が生じていたのは、次のことによると認められた。
(ア) 支店等において、設置工事の際に、収容表により把握できた切替数とその後の需要動向を基にパッケージの搭載枚数の見直しを行っていなかったこと
(イ) 本社において、支店等に対し、パッケージを有効に使用し経済的な調達を行うことについての指導が十分でなかったこと
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、11年7月にNTTの地域電気通信事業を引き継いだ東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社では、同年10月に、各支店等に指示文書を発し、RSBMに搭載するパッケージの枚数について、設置工事の際に、切替数とその後の需要動向を基に見直すこととし、使用される見込みのないパッケージについては転用を図ることにより経済的な調達を行うこととする処置を講じた。
(注1) 配線点 加入者線交換機を設置している機械棟から加入者までを結ぶケーブルは、機械棟を出た直後は地下の管路に布設される。そして、加入者まである程度の距離に達した地点で、地下管路から地上へと立ち上がり、以後は方面ごとに加入者まで配線される。配線点は、この地下管路から地上へと立ち上がる点をいう。
(注2) 東京支店ほか40支店 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨、長野、新潟、宮城、福島、岩手、青森、山形、秋田、北海道、大阪、京都、神戸、奈良、滋賀、和歌山、名古屋、静岡、三重、金沢、富山、福井、広島、島根、岡山、山口、愛媛、香川、高知、福岡、佐賀、熊本、鹿児島、沖縄各支店