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  • 平成10年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第11 日本電信電話株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(3)連接して設置している公衆電話機に係る電話帳の配備を効率的なものとすることにより、電話帳の配備等に要する経費を節減するよう改善させたもの


(3) 連接して設置している公衆電話機に係る電話帳の配備を効率的なものとすることにより、電話帳の配備等に要する経費を節減するよう改善させたもの

科目 営業費用
部局等の名称 日本電信電話株式会社(平成11年7月1日以降は「東日本電信電話株式会社」及び「西日本電信電話株式会社」)
公衆電話機に配備する電話帳の概要 公衆電話機利用者へのサービスの一環として公衆電話機の設置箇所に配備する職業別電話帳、50音別電話帳等
公衆電話機への電話帳の配備等に要した経費 21億4038万余円
節減できた配備等に要する経費 7770万円

1 電話帳の配備の概要

(電話帳の概要)

 日本電信電話株式会社(以下「NTT」という。)では、電話利用者へのサービスとして、平成10年度に職業別電話帳(タウンページ)約5906万部、50音別電話帳(ハローページ)約5773万部、両者を合冊したタウン&ハローページ約293万部、計約1億1973万部を発行している。これらの電話帳は、生活圏、地理的条件等を考慮するなどして掲載地域別に12箇月又は18箇月の周期で発行され、加入電話契約者等に配布されたり公衆電話機に配備されたりしている。
 NTTでは加入電話契約者等への電話帳の配布については、電話サービス契約約款に基づいて1契約ごとに1部配布することとし、原則として、タウンページ及びハローページを各1部(一部地域においては合冊のタウン&ハローページ1部。以下「1組の電話帳」という。)をその発行時に一斉に配布することとしている。また、加入電話契約者から要望があった場合はこれに応えて随時配布するなどしている。

(公衆電話機への電話帳の配備)

 NTTでは、公衆電話機利用者へのサービスの一環として、上記の加入電話契約者等への配布に準じて公衆電話機にも電話帳の配備を行うこととしており、2年12月に電話番号案内が有料化されたことに伴いこの配備の徹底を図っている。
 そして、配備に当たっては、〔1〕 発行時に公衆電話機1台に1組の電話帳を配備し、〔2〕 電話帳の破損などにより公衆電話機利用者へのサービスが低下しないようその後定期的に一部に再配備をするなどしている。
 10年度末の公衆電話機の台数は、公衆電話ボックスに設置しているものが約13万台、駅等の置台等に設置しているものが約61万台となっている。そして、これらの公衆電話機に係る10年度の電話帳の配備等に要する経費は、印刷製本費が9億0009万余円、用紙費が5億5470万余円、電話帳の配備費が6億8559万余円、計21億4038万余円となっている。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 近年、携帯電話等の普及が著しく、公衆電話機の利用者が減少してきており、その結果電話帳を利用する頻度は低くなってきていると思料される。そこで、駅等の置台等に連接して設置している公衆電話機について、その設置状況、電話帳の利用状況等を調査し、電話帳の配備が効率的なものとなっているかに着眼して検査した。

(検査の結果)

 NTTの全国47支店管内の駅等の置台等に設置した公衆電話機約61万台のうち、連接設置している公衆電話機計96,176台を対象として検査した。
 その結果、公衆電話機の連接設置の状況は、2台を連接設置しているもの30,875箇所(61,750台)、3台を連接設置しているもの5,579箇所(16,737台)、4台以上を連接設置しているもの3,505箇所(17,689台)となっており、これらの公衆電話機への電話帳の配備状況及び利用状況は次のとおりとなっていた。

(ア) 電話帳の配備状況

 発行時における配備については、一部の箇所を除き全国47支店管内で公衆電話機1台に1組の電話帳を配備していた。
 また、再配備については33支店管内で実施しており、その状況は次のとおりとなっていた。

〔1〕  公衆電話機1台に1組の電話帳を再配備していたもの 26支店管内

〔2〕  公衆電話機2台ごとに1組の電話帳を再配備していたもの 4支店管内

〔3〕  公衆電話機1台に1組又は2台ごとに1組の電話帳を再配備していたもの 3支店管内

(イ) 電話帳の利用状況

 電話帳の利用回数が多いと推定される都道府県庁所在地の駅等に連接設置している27支店管内の61箇所304台の公衆電話機に配備した電話帳の利用状況は、公衆電話機の利用回数延べ1,311回に対して、電話帳が利用された回数は延べ64回であり、その比率は5%程度となっており、大多数の45箇所では10%以下となっていた。そして、隣り合わせた2名以上がそれぞれ電話帳を利用しているケースは見受けられなかった。
 前記のように、公衆電話機を連接設置している箇所においても公衆電話機1台に1組の電話帳を配備することは、多額の費用を要し大量の紙資源を使用することとなる。しかし、電話帳の利用の状況は上記のとおりとなっており、また、現に公衆電話機2台ごとに1組の電話帳を再配備している箇所においても利用者の利便に支障は生じていないことから、少なくとも2台ごとに1組の電話帳を配備するよう改善を要すると認められた。

(節減できた経費)

 上記により、電話帳の配備を公衆電話機2台ごとに1組とすれば、10年度で、電話帳が161,657部不要となることとなり、配備等に要する経費を約7770万円節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、連接設置している公衆電話機への電話帳の配備方針を定めておらず、連接設置している公衆電話機に配備した電話帳の利用状況等を考慮することなく、加入電話契約者等への配布に準じて公衆電話機への配備を行ってきたことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、11年7月にNTTの地域電気通信事業を引き継いだ東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社では、同年10月に、連接設置している公衆電話機への電話帳の配備方針を定め、12年4月から公衆電話機2台ごとに1組の電話帳を配備することにより、電話帳の配備を効率的なものにする処置を講じた。