ページトップ
  • 平成10年度|
  • 第6章 歳入歳出決算その他検査対象の概要|
  • 第2節 歳入歳出決算等検査対象別の概要

各省庁等における評価制度の導入状況について


(別掲)

   各省庁等における評価制度の導入状況について

調査対象 国の行政機関等 47省庁等
国が資本金の2分の1以上を出資している法人 85法人
都道府県 47都道府県
政令指定都市 12政令指定都市

1 調査の背景

(1) 各省庁等における評価制度の導入の動き

 我が国の社会経済を支えてきたシステムが、少子・高齢化の進展、経済のグローバル化などに見られる大きな変化に適切に対応できず、その見直しや再構築が求められている。
こうした状況の中で、各種の改革の一つとして、行政改革が図られており、行政改革会議の「最終報告」(平成9年12月)においては、「政策は実施段階で常にその効果が点検され、不断の見直しや改善が加えられていくことが重要であり、そのためには、政策の効果について、事前、事後に、厳正かつ客観的な評価を行い、それを政策立案部門の企画立案作業に反映させる仕組みを充実強化することが必要である」などとされている。
 そして、平成10年6月に政府において政策評価機能を強化しその評価結果が政策に反映されるようにすることなどが定められた中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)が成立した。さらに、これを踏まえて11年7月に中央省庁等改革関連の諸法律が成立し、このうち内閣府設置法(平成11年法律第89号)、国家行政組織法(昭和23年法律第120号)及び総務省設置法(平成11年法律第91号)において、政策評価に関する規定が定められた。
現在、関係各省庁において、政策評価の実施に向けた具体的な準備が進められている。
 これに伴って、各府省が自ら実施する政策評価、総務省が総合性及び厳格な客観性を担保するために実施する政策評価及びその他の行政評価・監視、個別法による評価(注1) 、独立行政法人評価委員会による評価など、政府部内において、各種の評価が行われることとなっている。そして、今後、これらの評価に関する具体的な実施要領、評価基準等が策定されるなどして、評価機能の充実・強化が図られることとなっている。

(注1)  個別法による評価 科学技術に関する大規模な研究開発その他の国家的に重要な研究開発について行う評価など(内閣府設置法第26条第1項第3号など)

 一方、中央省庁等改革関連の諸法律に規定されている各種の評価に先行する形で、土地改良事業のように、従前から、事業計画の策定段階で事前評価を行っているものの外、次のようなことを端緒とするなどして、公共事業や研究開発の分野において評価制度を導入しているものがある。

ア 公共事業については、効率的な執行及び透明性の確保も重要な課題である。このため、内閣総理大臣は、北海道開発庁、沖縄開発庁、国土庁、農林水産省、運輸省及び建設省の6省庁に対し、実施中の事業を評価の対象とする再評価システムを導入するよう指示を行った(平成9年12月5日「物流効率化による経済構造改革特別枠」に関する関係閣僚会合。以下「再評価システムの導入に関する内閣総理大臣の指示」という。)。
 この再評価システムは、事業採択後一定期間経過後で未着工の事業や長期にわたる事業等を対象に再評価を行い、その結果に基づき必要な見直しを行うほか、継続が適当と認められない場合は休止又は中止するというもので、公共事業全体に導入されることとなった。
 そして、10年3月に関係閣僚が内閣総理大臣に対して関係各省庁の再評価システム案を報告し、10年度から再評価を実施することとした。

イ 研究開発については、7年11月に科学技術基本法(平成7年法律第130号)が成立し、同法に基づき、8年7月に科学技術基本計画(平成8年総理府告示第22号)が閣議決定され、研究開発の効果的推進を図るため、厳正な評価を実施することとし、研究開発課題、研究開発機関、研究者の評価を実施するための仕組みの整備等に関し、早急に所要の措置を講ずるなどとした。
 そして、9年8月に内閣総理大臣が、評価を実施する上でのガイドラインとなり、科学技術基本計画の目的を達成するための重要な柱となる、「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」を決定した。
 また、特殊法人等においても、臨時行政調査会の「行政改革に関する第5次答申−最終答申−」(昭和58年3月)、臨時行政改革推進審議会の「今後における行財政改革の基本方向」(昭和61年6月)、総務庁の「特殊法人に関する調査結果に基づく勧告−業績評価−」(平成3年6月)及び「特殊法人等の活性化に関する調査結果に基づく勧告−公共事業関係法人−」(平成7年12月)を端緒とするなどして、評価制度を導入しているものがある。
 上記の勧告においては、特殊法人を所管する省庁は、特殊法人ごとに、事業の有効性、効率性及び健全性を評価する観点から、評価の項目、目標値等を内容とする業績評価基準を定め、業績評価を推進する必要があるなどとされている。
 さらに、地方公共団体においても、所定の評価を行うことを採択の要件としている補助事業については、従前から評価を行っていたが、近年は、長期間停滞している施策等を再評価するといういわゆる時のアセスメントを導入するなど、自ら評価制度を策定・導入しようとする動きを見せている。

(2) 会計検査院における事務・事業の評価に対する取組み

 会計検査院は、会計経理に関連する幅広い分野において、正確性、合規性、経済性、効率性及び有効性の観点その他会計検査上必要な観点から、不正不当な事態に対する検査を行うことはもとより、更に事務・事業の評価を指向した検査を行っていくことを、会計検査の基本方針(前掲「検査の方針」参照) の一つとしている。そして、特に有効性の観点から、事務・事業の遂行及び予算の執行に問題がある場合には、その原因の究明を徹底して行うことなどにより、事務・事業及び予算執行の効果について積極的に取り上げるよう努めている。
 事務・事業の評価を指向した検査を行うに当たっては、これまで、評価方法が必ずしも確定しているわけではないことなどから、種々の工夫を重ねてきている。
 すなわち、会計検査院が昭和30年代後半から始めてきた事務・事業の評価を指向した検査は、まず、事業を執行する各省庁等において評価方法、評価基準等を設けていないことなどから、事業の遂行状況や公共施設の利用状況、管理状況等を評価して、事業効果にコメントする手法を採っていた。また、50年代以降は、このようないわば間接的な評価方法に、事業効果の達成を阻害する要因を指摘、提示することにより事業効果にコメントする手法を加える一方で、会計検査院が、事業の目的等から、独自に評価基準を設けるなどして、直接的に事業効果を評価する工夫も試みてきた。
 さらに、最近は、事業を執行する各省庁等において設けるようになってきた評価方法、評価基準等を基に事業効果の評価を行ったり、会計経理の観点から評価方法、評価基準等の運用についての改善も求めたりするようになっている。
 会計経理という側面からみた場合には、各省庁等における評価と、会計検査院が検査の一環として行う事務・事業の評価とは、極めて密接な関連を有している。そして、前記のような各省庁等における評価制度導入の動きは、会計検査院にとって、各省庁等における評価方法等を参考にするなどして更に幅広く多角的に事務・事業の評価を指向した検査を行っていく環境が整備されることを意味している。
 すなわち、各省庁等における評価は、会計検査院が、会計経理に関連する幅広い分野を対象として多角的な観点から、会計経理を監督し、その適正を期し、かつ、是正を図るなどの目的をもって、検査の一環として行う事務・事業の評価とは、目的を異にしているものの、これらの評価の中には、経済性、効率性及び有効性の観点その他会計検査上必要とされる観点と共通する観点から事務・事業の評価を行うものもある。また、各省庁等における評価が適切に行われその結果が事務・事業等に反映されることは、ひいては会計経理の適正化、特に、経済性、効率性、有効性等の側面の適正化にもつながることとなる。
 なお、行政改革会議最終報告において「評価は、政府部内のそれとともに、政府の部外からもなされることが重要である」との記述がなされるなど、会計検査院による評価に対しても期待が寄せられている。
 会計検査院は、前記のように、従前から、事務・事業の評価を指向した検査が行えるよう評価方法を工夫するなど努力しており、以上のような状況の中で、各省庁等における評価制度の策定・導入、規程等の整備、実施・運用などの状況について、大きな関心をもっているところである。

2 調査の結果

(1) 調査の対象、着眼点、方法

 本年次は、重要な検査対象機関である、国家行政組織法第3条第2項に規定する国の行政機関等、国が資本金の2分の1以上を出資している法人を対象として、11年6月末日現在における評価制度の導入状況等を次の項目等について調査した。

ア 評価制度の策定状況

イ 評価の実施時期

ウ 評価の手法

エ 評価結果の反映方法

オ 評価結果の公開の有無

カ 評価制度としての整備状況

 調査は、各省庁等に係る検査の際に実施し、調査に当たっては、各省庁等とも同一の項目について調査票の提出を求め、これを分類整理するとともに、各省庁等が策定した評価に関する規程等についても分析を行った。
 なお、国庫補助事業等に係る検査の参考とするため、都道府県及び政令指定都市における評価制度も併せて調査した。

(2) 調査の結果

 提出された調査票等により把握できた各省庁等における評価制度の概要は、次のとおりである。

ア 国家行政組織法第3条第2項に規定する国の行政機関等

 次に掲げる省庁等においては、〔1〕 再評価システムの導入に関する内閣総理大臣の指示、〔2〕科学技術基本計画及び「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」を端緒とするなどして、何らかの形で評価制度を自ら策定しているとしている。そして、これに関する規程等(評価方法、評価基準等を定める規程、要網、要領等をいう。以下同じ。)の数は、276件となっている。

省庁等の名称 評価制度に関する規程等の名称
総理府 北海道開発庁 北海道開発事業再評価実施要領ほか1件
防衛庁 装備審査会議に関する訓令ほか1件
経済企画庁 経済研究所における研究評価ガイドライン
科学技術庁 防災科学技術研究所における研究開発等評価実施要領ほか14件
環境庁 自然公園等事業の再評価実施要領ほか5件
沖縄開発庁 沖縄振興開発事業再評価実施要領
国家公安委員会
(警察庁)
科学警察研究所研究評価実施要領ほか1件
外務省
有識者マニュアル、経済評価のためのレイティング・ガイドライン、外務省国別評価ガイドライン(ODA評価)ほか2件
大蔵省 本省 「通し」の所要時間調査実施要領(輸入手続の所要時間調査)ほか1件
国税庁 醸造研究所研究成果検討会における研究評価実施要領
文部省本省
科学研究費分科会運営規則ほか172件
厚生省本省
環境衛生施設整備事業の再評価実施要領ほか20件
農林水産省 本省 国営土地改良事業等再評価実施要領ほか9件
林野庁 森林整備事業等再評価実施要領ほか6件
水産庁 水産関係公共事業の再評価実施要領ほか3件
通商産業省 本省 通商産業省技術評価指針ほか1件
資源エネルギー庁 資源エネルギー庁技術評価マニュアル(通商産業省技術評価指針)
中小企業庁 創造技術研究開発費補助金評価マニュアル(通商産業省技術評価指針)
運輸省 本省 運輸関係公共事業の再評価実施要領及び運輸関係公共事業の新規事業採択時評価実施要領ほか2件
海上保安庁 運輸関係公共事業の再評価実施要領及び運輸関係公共事業の新規事業採択時評価実施要領ほか2件
気象庁 運輸省所管のいわゆる「その他施設費」に係る事業評価実施要領ほか1件
郵政省
郵政審議会答申「郵便局ビジョン2010」(9年6月)(郵便サービス水準(送達日数)の目標と実績の公表)ほか2件
労働省本省
産業安全研究所外部研究評価会議規程ほか1件
建設省
建設省所管公共事業の再評価実施要領及び建設省所管公共事業の新規事業採択時評価実施要領ほか4件
自治省消防庁
消防研究所における研究開発評価のための実施要領

 上記の規程等のうち、内容についても把握できたもの104件(25省庁)について分析すると、次のようになっている。
 なお、同一の規程等や省庁等(括弧書きの部分)が、場合によっては、他の分類の区分にも該当することがあるので、各分類の区分ごとに、省庁等の数を合計しても、上記省庁等の数の合計と一致しないことがある(以下、国が資本金の2分の1以上を出資している法人、都道府県及び政令指定都市についても同じ。)。

(ア) 評価を実施する時期をみると、〔1〕 事業等の着手以前において評価を行うものが60件(20省庁)、〔2〕事業等の実施途中において評価を行うものが72件(23省庁)、〔3〕事業等の完了後において評価を行うものが54件(22省庁)、〔4〕定期的に又は事業等の内容や性質により特に時期を定めないで随時、評価を行うものなどが34件(16省庁)となっている。

(イ) 評価の手法をみると、〔1〕 具体的な指標・数値による定量的手法による評価を行っているものが11件(6省庁)、〔2〕定性的手法による評価を行っているものが36件(13省庁)、〔3〕定量的手法と定性的手法とを併用した手法による評価を行っているものが31件(18省庁)などとなっている。

(ウ) 評価結果は、事業の採択、事業の見直しや事業計画の修正、予算の計上や配分などに反映されているほか、インターネット、記者発表、刊行物等によって公開されているものが多い。

(エ) 評価の実施方法等が制度として整備されているかという観点からみると、〔1〕評価制度に関する規程等が整備され評価も実施されているものが80件(22省庁)、〔2〕評価制度に関する規程等が必ずしも整備されていないが、調査票では評価の実施事例があるとされているものが16件(7省庁)、〔3〕評価制度に関する規程等は整備されているものの、策定年度が新しいため、実施事例がないものが5件(4省庁)、〔4〕評価制度に関する規程等が十分整備されておらず、実施事例がないものが3件(3省庁)となっている。
 なお、上記の各評価制度は、必ずしも当該省庁等が所管するすべての事務・事業等を対象としたものではなく、また、上記省庁等以外の省庁等でも、評価制度の策定等について現在検討中であるなどとしている。

イ 国が資本金の2分の1以上を出資している法人

 国民金融公庫ほか62法人(注2) においては、〔1〕総務庁の「特殊法人に関する調査結果に基づく勧告−業績評価−」及び「特殊法人等の活性化に関する調査結果に基づく勧告−公共事業関係法人−」、〔2〕科学技術基本計画及び「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」を端緒とするなどして、何らかの形で評価制度を自ら策定しているとしている。そして、これに関する規程等の数は、82件となっている。
 これらの規程等について分析すると、次のようになっている。

(ア) 評価を実施する時期をみると、〔1〕 事業等の着手以前において評価を行うものが25件(17法人)、〔2〕事業等の実施途中において評価を行うものが28件(22法人)、〔3〕事業等の完了後において評価を行うものが71件(60法人)、〔4〕定期的に又は事業等の内容や性質により特に時期を定めないで随時、評価を行うものなどが18件(14法人)となっている。

(イ) 評価の手法をみると、〔1〕 定量的手法による評価を行っているものが17件(17法人)、〔2〕定性的手法による評価を行っているものが19件(13法人)、〔3〕定量的手法と定性的手法とを併用した手法による評価を行っているものが35件(30法人)などとなっている。

(ウ) 評価結果は、事業計画の策定、機関の運営や改善、事業の見直しや事業計画の修正などに反映されている。しかし、公開されていないものが多い。

 なお、上記の各評価制度は、必ずしも当該法人が所管するすべての事務・事業等を対象としたものではなく、また、上記法人以外の法人でも、説明責任(アカウンタビリティー)の観点から有効な業績評価の在り方を検討するなどとしている。

(注2)  国民金融公庫ほか62法人 国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、北海道東北開発公庫、環境衛生金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、日本開発銀行、日本輸出入銀行、日本道路公団、首都高速道路公団、森林開発公団、水資源開発公団、阪神高速道路公団、新東京国際空港公団、石油公団、本州四国連絡橋公団、日本鉄道建設公団、地域振興整備公団、農用地整備公団、住宅・都市整備公団、労働福祉事業団、雇用促進事業団、簡易保険福祉事業団、金属鉱業事業団、環境事業団、宇宙開発事業団、日本下水道事業団、国際協力事業団、年金福祉事業団、中小企業事業団、社会福祉・医療事業団、科学技術振興事業団、農畜産業振興事業団、日本私立学校振興・共済事業団、日本銀行、海外経済協力基金、国民生活センター、国際交流基金、総合研究開発機構、通関情報処理センター、心身障害者福祉協会、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構、公害健康被害補償予防協会、日本労働研究機構、国際観光振興会、空港周辺整備機構、日本育英会、国立教育会館、日本芸術文化振興会、放送大学学園、日本体育・学校健康センター、日本学術振興会、生物系特定産業技術研究推進機構、日本中央競馬会、通信・放送機構、日本貿易振興会、基盤技術研究促進センター、新エネルギー・産業技術総合開発機構、日本原子力研究所、理化学研究所、海洋科学技術センター、奄美群島振興開発基金、核燃料サイクル開発機構

ウ 都道府県及び政令指定都市

 都道府県及び政令指定都市(以下、「地方公共団体」という。)においては、何らかの形で評価制度を策定しているとしている。そして、これに関する規程等の数は、108件となっている。
 これらの規程等について分析すると、次のようになっている。

(ア) 評価を実施する時期をみると、〔1〕 事業等の着手以前において評価を行うものが16件(14地方公共団体)、〔2〕事業等の実施途中において評価を行うものが94件(59地方公共団体)、〔3〕事業等の完了後において評価を行うものが14件(12地方公共団体)、〔4〕定期的に又は事業等の内容や性質により特に時期を定めないで随時、評価を行うものなどが7件(6地方公共団体)となっている。

(イ) 評価の手法をみると、〔1〕 定量的手法による評価を行っているものが4件(4地方公共団体)、〔2〕定性的手法による評価を行っているものが17件(15地方公共団体)、〔3〕定量的手法と定性的手法とを併用した手法による評価を行っているものが83件(53地方公共団体)などとなっている。

(ウ) 評価結果は、事業の見直しや事業計画の修正、予算の計上や配分などに反映されているほか、記者発表したり、供覧したりなどして公開されているものが多い。

(エ) 第三者の関与等による客観性の担保方法をみると、第三者による評価結果の審査を行っているものが57件(41地方公共団体)ある反面、特になしとしているものも20件(17地方公共団体)ある。また、このほか、客観的指標に依っているなどとしているものもある。

3 まとめ

 これまでも、会計検査院は、政府の部外から、評価手法に工夫を重ねるなどして、事務・事業の評価を指向した検査に努めてきた。
 政府の部内では、公共事業の分野を中心に事業等の着手以前や実施途中の段階で評価を行っているもの、研究開発の分野でその効果的推進を図るため研究開発課題等の評価を行っているものなどがある。また、中央省庁等改革に伴って、今後、各府省が自ら政策評価を実施する外、総務省が各府省における政策評価の総合性及び厳格な客観性を担保するための評価を行うこととなっている。
 一般的に各省庁等における事務・事業の運営には会計経理が伴うものであり、政府の部外からなされる評価としての会計検査の結果が、各省庁等における評価と相まって、各省庁等の事務・事業の運営に適切に反映されるなど、会計検査と政府部内における評価とが互いに補完し合うような体制を整備していくことが、会計経理の適正化や行財政の効率化に寄与することとなると認められる。
 このため、会計検査院は、今後も、大きな関心をもって各省庁等における評価制度の策定・導入、規程等の整備、実施・運用状況等を見守っていくとともに、各省庁等における評価方法等を参考にするなどして、事務・事業の評価を指向した検査を行っていく。