会計名及び科目 | 一般会計 (組織)防衛本庁 (項)防衛本庁 |
部局等の名称 | 防衛医科大学校 |
給食の概要 | 医学科学生に対し健康の維持及び増進を目的として、栄養等管理された基本食等を無料で支給するもの |
医学科学生に支給した基本食 | 26万5400余人分(平成11年度) |
上記に係る糧食費相当額 | 8829万余円 |
不経済となっていた基本食 | 9万3600余人分(平成11年度) |
上記に係る糧食費相当額 | 2980万円 |
1 給食の実施の概要
防衛医科大学校(以下「大学校」という。)は、防衛庁設置法(昭和29年法律第164号)に基づき、医師である幹部自衛官となるべき者を教育訓練する機関として設置されたもので、医学科学生(以下「学生」という。)に対し、学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく医学教育のほか、幹部自衛官としての資質及び技能を育成するための基礎的訓練を行っている。
そして、大学校では、防衛庁の職員の給与等に関する法律施行令(昭和27年政令第368号)に基づき、学生に対し食事を無料で支給している。
給食には、日常の生活に必要な食事として支給する基本食のほか、休暇、外出の際に支給する弁当食などがあり、このうち基本食は、大学校において糧食を調達し、調理して、学生食堂で支給するものである。給食の実施の手順は、「防衛医科大学校における食事の支給及び給食の実施に関する達」(昭和55年防衛医科大学校達第7号。以下「給食の実施に関する達」という。)に基づき次のとおりとなっている。
〔1〕 基本食等に関する給食の年度計画を作成する。
〔2〕 年度計画に基づき毎月の献立表を作成する。
〔3〕 毎月の見込みの給食人員と献立表に基づいて糧食の調達要求手続を行う。
〔4〕 糧食の単価契約を締結する。
〔5〕 毎週水曜日に、土曜日から翌週金曜日までの予定行事等を考慮した見込みの給食人員を記載した日毎の伝票を作成する。
〔6〕 伝票に基づき、糧食の必要数量を契約相手方に納入させる。
〔7〕 納入された糧食を調理して見込みの給食人員分の食事を食堂で支給する。
2 検査の結果
前記のように食事は学生に無料で支給していることなどから、給食制度が適切に運営されているか、また、糧食の調達は適切に行われているかに着眼して検査した。
平成11年度に、第1学年から第6学年に在校している学生(11年4月現在373人)に対して支給した基本食26万5400余人分、これに係る糧食費相当額8829万余円を対象として検査を実施した。
検査したところ、見込みの給食人員と実際の給食人員の間に著しい開差を生じている事態が次のとおり見受けられた。
すなわち、見込みの給食人員は、予定行事等で学校内にいない場合を除いたすべての学生に対し食事を支給するものとして26万5400余人分の食事を計上していた。これに対し、実際の給食人員の食事の合計は17万1800余人分でその差は9万3600余人分となり、見込みの給食人員の35%は食事をしていない状況であった。
この開差は、上記のように、給食人員を形式的に学生数を基に計上していたのに対し、実際には朝食を抜く生活習慣がある学生や、第5、第6両学年生において臨床実習が食事時間にかかり食事ができない学生がいることなどによると認められた。
このため、食事をしなかった学生に係る糧食費相当額が不経済となっていたと認められた。
したがって、学生が食事をしやすいように給食環境の改善を図るとともに、給食人員の実態を反映することにより、糧食の調達を適切なものにする要があると認められた。
上記のように、支給した基本食26万5400余人分のうち、食事をしなかった9万3600余人分に係る糧食費相当額約2980万円が不経済となっていたと認められた。
このような事態が生じていたのは、学生の食事の実態を十分把握しないまま見込みの給食人員を基に糧食を調達していたことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、大学校では、学生に対し食事に対する正しい認識をもたせるよう指導したり、食事時間を延長するなどして給食環境の改善を図ったりするとともに、食事の実態を反映した見込みの給食人員とするよう給食の実施に関する達の改正を12年10月に行い、食事の見込みのない糧食を調達しないこととする処置を講じた。