会計名及び科目 | 登記特別会計 (項)事務取扱費 |
部局等の名称 | 東京法務局ほか9法務局 |
契約名 | 無停電電源装置の賃貸借に関する契約 |
契約の概要 | 登記所に配備したホストコンピュータに、安定した電気を供給するための無停電電源装置を賃借しているもの |
契約の相手方 | 富士通システムコンストラクション株式会社 |
契約期間 | 平成11年4月〜12年3月 |
賃借料の支払額 | 1億6891万余円 |
節減できた賃借料 | 3700万円 |
1 契約の概要
法務省では、不動産登記法(明治32年法律第24号)等に基づき全国の登記所(法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所をいう。以下同じ。)において、登記事務を処理している。
そして、同省では、昭和63年度から順次、従来簿冊の登記簿に記載されていた事項をコンピュータの磁気ディスクに記録し、新たに登記すべき事項の登記簿への記録等をコンピュータによって処理する登記情報システム(以下「システム」という。)への転換を進めている。システムは、平成11年度末現在、全国の855登記所のうち311登記所において導入されている。
このシステムを運用するため、同省では、原則として、システムを導入した登記所にそれぞれの業務の規模に応じたホストコンピュータを配備している。
ホストコンピュータを運用するに当たって、法務省では、これに併せて登記情報システム用無停電定電圧定周波電源装置(以下「無停電電源装置」という。)を設置している。この無停電電源装置は、商用電源が停電、瞬断(瞬間的な電圧の低下)した際に、磁気ディスクの記録の消失等の障害を生じさせずに、ホストコンピュータ及び周辺機器を正常に動作終了などさせることができるよう安定した電気を供給するためのものであり、ホストコンピュータの稼働開始、終了に合わせて起動、終了する機能などを付加した特殊な仕様となっている。
登記所に設置されている無停電電源装置には、購入契約により設置しているものと、賃貸借契約により設置しているものとがある。
システムを導入した東京法務局ほか9法務局(注)
管内の133登記所においては、11年度に無停電電源装置を107台設置していた。そして、購入により設置していた37台を除いた70台は、いずれも各法務局において、随意契約により、同一の会社と賃貸借契約を締結し、11年度に計1億6891万余円の賃借料を支払っていた。
2 検査の結果
法務省が賃貸借契約を締結して設置した無停電電源装置について、賃貸借契約が同装置の設置期間、使用状況等の実態に適合したものとなっているかに着眼して検査した。
検査したところ、無停電電源装置に係る賃貸借契約は、年度ごとに同一の会社と継続して随意契約を締結しており、その賃借期間は、11年度末において、下表のとおり長期に及んでいるものが数多く見受けられた。また、各法務局では賃借期間の長短に関わりなく一律に同額の賃借料を支払っていた。
設置後の賃借期間 | 装置数 |
4年未満 | 17台 |
4年(48箇月)以上5年未満 | 11台 |
5年(60箇月)以上6年未満 | 18台 |
6年(72箇月)以上 | 24台 |
計 | 70台 |
上記の70台以外にも9、10両年度までに賃借を終了していた装置26台についてみても、その賃借期間は1台を除き5年を超えており、平均6年4箇月(76箇月)となっていた。
そして、これらの無停電電源装置の使用状況についてみると、賃借期間中において、部品の交換をしたものも一部にあったものの装置全体を更新しているものはなく、長期の使用に十分耐え得るものであった。
そこで、賃借している70台の無停電電源装置を対象として、本院において、会社が賃貸するのに要する費用(以下「賃貸費用」という。)を装置の価格、動産総合保険料、固定資産税等を基に一般に公表されている積算参考資料を用いて試算し、その賃貸費用の合計額が賃借開始からの賃借料の合計額に見合う時点(以下、この時点を「償還期限」という。)を求めると、60箇月から69箇月となっていた。
そして、この70台を対象として、上記の方法により算定した賃借開始から11年度末までの間の賃貸費用の合計額と、同期間中の賃借料の合計額とを比較すると、28台については、賃借料の合計額が賃貸費用の合計額を上回っていることから、償還期限を超えているものと思料された。
したがって、賃借期間が長期に及び償還期限を超えている無停電電源装置については、同装置の設置期間等の実態に適合した適切な賃貸借契約を締結し、賃貸費用を十分考慮するなどした支払額に改め、賃借料の節減を図る要があると認められた。
上記により、11年度末までに償還期限を超えている無停電電源装置28台について、11年度の賃借料を修正計算すると、各法務局が支払った前記70台の賃借料1億6891万余円は1億3189万余円となり、約3700万円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、法務省において、賃貸借契約により設置している無停電電源装置について、同一装置を長期間使用しているという実態を考慮し、これを反映した賃借料となるよう、その見直しを行っていなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、法務省では、12年10月に、賃借期間が長期に及ぶ無停電電源装置の賃借料について、設置期間等の実態を反映させた適切な予定価格を算定するため積算基準を定めて各法務局に周知徹底するとともに、賃借料の見直しを行わせ、同年12月から賃貸借契約を変更することとする処置を講じた。