会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)外務本省 (項)外務本省 |
(組織)在外公館 (項)在外公館 |
部局等の名称 | 外務本省 |
契約の概要 | 在外公館等への電話連絡、ファックス等の送信に国際電話回線を利用するもの |
支払金額 | 1億0759万余円 | (平成11年5月〜10月) |
節減できた国際電話料金 | 3580万円 |
1 国際電話料金の概要
外務省では、外務本省等から在外公館等への電話連絡、ファックス等の送信(以下、これらを「国際電話」という。)を日常的に行っている。
これらの国際電話の利用料金(以下「国際電話料金」という。)は、原則として通話時間、通話先に応じて課金される通話料を支払うこととなっているが、国際電話サービスを提供している会社(以下「国際電話会社」という。)では、各種の通話料の割引制度を設けている。
各国際電話会社の割引制度のうち外務本省等の国際電話料金の支払額の大半を占める国際電話会社の割引制度についてみると、その主なものの内容は、次のとおりとなっている。
〔1〕 大口利用割引
平成8年6月から導入されたもので、月額50,000円の基本料を支払うことにより、通話料を段階的に約24%まで割り引くものである。この制度には、割引の適用を受ける請求書の発行件数を1利用者当たり200件以下にするという制限がある。
〔2〕 新大口利用割引
10年12月から導入されたもので、毎月一定額以上の通話料を支払う回線について通話料を最大25%割り引くものである。〔1〕の大口利用割引と比較すると、基本料が不要で割引率が高く、また、請求書発行件数の制限がないなど、利用者により有利なものとなっている。
〔3〕 専用回線利用割引
昭和62年8月から導入されたもので、一般公衆回線を経由せずにこの国際電話会社の専用回線を経由して国際電話を利用する場合に、通話料を15%割り引くものである。利用者は、回線ごとに一定額の専用回線使用料等を支払うことが必要である。
そして、これらの割引制度の適用を受けるためには、適用を受けようとする電話回線を特定して申請する必要があり、その際、〔1〕と〔2〕は併せて適用を受けることはできないが、〔3〕は〔1〕又は〔2〕と併せて適用を受けることができることとなっている。
2 検査の結果
各国際電話会社の割引制度は、近年、その内容が拡充されたり、利用しやすいものとなったりしてきている。そこで、外務省において、各国際電話会社の割引制度を適切に利用して、国際電話料金の節減を図っているかに着眼して検査した。
検査に当たっては、国内から在外公館等への国際電話に利用できる電話回線(平成11年9月末現在で632回線)のうち、在外公館へ大量の文書等を送信するなど、その国際電話料金の支払額が外務省全体の約7割を占めている55回線を抽出して検査の対象にした。
検査したところ、上記の55回線は前記の割引制度を有する国際電話会社の国際電話を利用しており、このうち8回線については、大口利用割引及び専用回線利用割引の適用を受けていた。しかし、割引の適用を受けていなかった残りの47回線(11年4月から9月までの利用に係る国際電話料金の支払額計1億0759万余円)についても、次のとおり割引の適用を受けることができたと認められた。
すなわち、外務省では、利用実績を回線ごとに把握するため、原則として回線ごとに請求書が発行されるようにしていた。そして、大口利用割引については、外務省全体で請求書発行件数が200件を超えないようにするため、上記の55回線のうち特に利用実績が多い8回線だけをその対象にしていた。
しかし、10年12月から導入された新大口利用割引については、上記の制限がなくなり割引率も高く基本料も不要となっており、利用者にとって有利になっていることから、この新割引制度を利用すべきであった。そして、制度の把握や手続きに要する期間を考慮したとしても、11年4月から、この割引制度の適用を受けることができたものである。
また、専用回線利用割引については、1回線当たりの通話料が一定額を超える場合には、専用回線使用料を負担してもなお経済的となるので、上記の47回線のうちこのような条件を満たす15回線については、この割引制度の適用を受けることができたものである。
したがって、外務省において、国際電話料金に係る割引制度の内容を十分把握した上で、適時適切にその適用を受け、国際電話料金の節減に努める要があると認められた。
上記の47回線について、11年4月から新大口利用割引の適用を受け、また、このうち15回線について、併せて専用回線利用割引の適用も受けることとしたとすれば、専用回線使用料等が92万余円増加するものの、通話料が計3674万余円減少し、差し引き約3580万円の国際電話料金が節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、外務省において、国際電話料金の割引制度の内容の把握及び利用についての検討が十分でなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、外務省では、11年9月に次のような処置を講じた。
(ア) 割引の適用を受け国際電話料金の節減を図ることが可能となる電話回線について、国際電話会社に対して申込みを行い、同年10月から割引制度の適用を受けることとした。
(イ) 各国際電話会社の割引制度の適用について定期的に見直しを行うなど、より経済的な割引制度の適用を受けるようにすることとした。