会計名及び科目 | 一般会計 (組織)文部本省 (項)公立文教施設整備費 |
部局等の名称 | 福島県ほか4府県 |
補助の根拠 | 義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)、産業教育振興法(昭和26年法律第228号)、公立高等学校危険建物改築促進臨時措置法(昭和28年法律第248号)、予算補助 |
補助事業者 (事業主体) |
県2、市2、町2、計6事業主体 |
補助事業 | 浪江町立請戸小学校校舎増築等6事業 |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 738,908,000円 | (平成9年度〜11年度) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 44,218,000円 | (平成9年度〜11年度) |
1 補助金の概要
文部省は、地方公共団体に対して次の負担金又は補助金(以下「補助金」という。)を交付している。
(1)公立学校施設整備費負担金(公立小中学校施設整備事業)
この補助金は、小学校、中学校その他の公立の義務教育諸学校における教育の円滑な実施を確保することを目的として、教室の不足を解消するために校舎を新築又は増築する場合、当該事業に要する経費の一部を補助するために交付されるものである。
(2)公立学校施設整備費負担金(高等学校産業教育施設整備事業)
この補助金は、産業教育の振興を図ることを目的として、高等学校における産業教育のための実験実習の施設又は設備等を整備する場合、当該事業に要する経費の全部又は一部を補助するために交付されるものである。
(3)公立学校施設整備費補助金(公立諸学校危険建物等改築事業)
この補助金は、公立の諸学校における教育の円滑な実施を確保することを目的として、同学校の建物で構造上危険な状態にあるものを改築する場合、当該事業に要する経費の一部を補助するために交付されるものである。
(4)公立学校施設整備費補助金(学校給食施設整備事業)
この補助金は、学校給食の普及充実を図ることを目的として、公立の義務教育諸学校の単独校調理場又は共同調理場を新築、増築又は改築するなどの場合、当該事業に要する経費の一部を補助するために交付されるものである。
上記各事業の補助金の交付額は、次により算定することとなっている。
上記の補助対象面積は、実際の建築面積(以下「実施面積」という。)を限度とするなどして、各事業ごとに次のとおり算定することとなっている。
(1)公立小中学校施設整備事業
上記の必要面積は、当該事業を行う年度の5月1日(以下「基準日」という。)における当該学校の学級数に応じた校舎等の建物の面積、また、保有面積は、基準日における保有建物の面積である。
この補助対象面積は校舎、屋内運動場等の建物区分ごとに算定することとなっており、この場合、補助対象面積の限度となる校舎の実施面積には、建物区分が校舎にはならない屋内運動場専用の渡り廊下の面積や、学校給食施設に当たる食堂及び食堂に付随する配膳室等の面積を含めないこととなっている。
(2)高等学校産業教育施設整備事業
当該学校において開設される科目に応じて定められている施設の面積を合計した面積となっている。
(3)公立諸学校危険建物等改築事業
上記の必要面積は、高等学校の場合、生徒1人当たりの基準面積に基準日における当該学校の生徒の数を乗じて得た面積となっている。
そして、校舎、屋内運動場等の建物区分ごとに補助対象面積を算定することや、その場合の補助対象面積の限度となる実施面積の取扱いは、上記(1)の場合と同様となっている。
(4)学校給食施設整備事業
〔1〕新増築事業の場合
〔2〕改築事業の場合
上記の基準面積は、基準日における当該学校の児童生徒数に応じて定められた施設の面積となっている。
そして、保有面積には給食用器材の倉庫、車庫、ボイラー室等の面積を含むこととなっている。
補助単価は、文部大臣が大蔵大臣と協議して定める1m2
当たりの建築単価(以下「協議単価」という。)と補助対象経費を実施面積で除して得た1m2
当たりの単価(以下「実施単価」という。)のうちいずれか低い単価とすることとなっている。
そして、実施単価の算定に当たっては、補助金の交付申請年度より前の年度に支払われた経費は、原則として補助金の交付の対象としないこととなっていることから、2箇年にわたる施設整備について施設の完成年度に補助金の交付申請を行う場合には、事業全体の工事費から前年度に支払った経費及び補助対象外経費を控除した額を、当該年度の補助対象経費とすることとなっている。また、校舎の工事費には屋内運動場専用の渡り廊下の建築費等を含めないこととなっている。
補助率は各事業ごとに次の表のとおりとなっている。
事 業 名 |
(1)公立小中学校施設整備事業 | (2)高等学校産業教育施設整備事業 (3)公立諸学校危険建物等改築事業 |
(4)学校給食施設整備事業 |
補 助 率 |
原則として 2分の1 |
原則として 3分の1 |
原則として 新増築事業は2分の1 改築事業は3分の1 |
2 検査の結果
北海道ほか27都府県及び290市区町村等について検査したところ、6事業主体が実施した公立小中学校施設整備事業等の6事業に係る国庫補助金44,218,000円が不当と認められる。
これを不当の態様別に示すと次のとおりである。
〔1〕補助金を過大に交付しているもの | ||
2事業 | 不当と認める国庫補助金 | 34,176,000円 |
〔2〕補助種目の適用を誤っているもの | ||
3事業 | 不当と認める国庫補助金 | 7,347,000円 |
〔3〕補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めているもの | ||
1事業 | 不当と認める国庫補助金 | 2,695,000円 |
このような事態が生じていたのは、事業主体において補助対象経費や補助対象面積の算定に対する理解が十分でなかったり、これらの経費等について精査確認していなかったりしたこと、事業実績報告書の受理、審査等を行う府県において審査等が十分でなかったことなどによると認められる。
これを補助金(事業)別、府県別に示すと次のとおりである。
府県名 | 補助事業 | 事業主体 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(1) 公立学校施設整備費負担金(公立小中学校施設整備事業) | ||||||||
(29) | 福島県 | 請戸小学校校舎増築 | 双葉郡浪江町 | 16,168 | 8,084 | 5,390 | 2,695 | 補助の対象外 |
この事業は、平成9年度の増築事業として請戸小学校の校舎を増築したものである。 浪江町では、補助金の算定に当たり、必要面積が2,831m2 、保有面積が2,124m2 、実施面積が87m2 であったことから、補助対象面積を87m2 としていた。そして、これに1m2 当たりの補助単価184,000円を乗ずるなどして補助対象事業費を16,168,000円(国庫補助金8,084,000円)と算定していた。 しかし、同町は、校舎の実施面積に、同面積には含めないこととなっている食堂に付随する配膳室29m2 を含めていた。 したがって、これを差し引くと適正な実施面積は58m2 となり、これにより適正な補助対象事業費を算定すると10,778,000円(国庫補助金5,389,000円)となり、国庫補助金2,695,000円が過大に交付されていた。 |
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(2) 公立学校施設整備費負担金(高等学校産業教育施設整備事業) | ||||||||
(30) | 岐阜県 | 土岐紅陵高等学校総合学科校舎新築 | 岐阜県 | 366,728 | 122,242 | 91,653 | 30,551 | 補助金の過大交付 |
この事業は、平成10年度の一般施設整備事業として土岐紅陵高等学校の産業教育のための実験実習施設等を新築したものである。 岐阜県では、補助金の算定に当たり、補助対象経費を708,706,082円と算定し、これを実施面積2,949m2 で除して得た実施単価240,320円を補助単価として、これに補助対象面積1,526m2 を乗じて補助対象事業費を366,728,320円(国庫補助金122,242,000円)と算定していた。 しかし、同県は、10年度の補助金の交付申請に当たり、補助対象経費のうちの建築工事費に9年度に既に支払っていた工事費201,600,000円を含めるなどしていて、補助対象経費を177,121,019円過大に算出していた。 したがって、適正な補助対象経費は531,585,063円となり、これにより適正な補助対象事業費を算定すると275,075,234円(国庫補助金91,691,000円)となり、国庫補助金30,551,000円が過大に交付されていた。 |
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(3) 公立学校施設整備費補助金(公立諸学校危険建物等改築事業) | ||||||||
(31) | 石川県 | 金沢二水高等学校校舎改築 | 石川県 | 1,563,418 | 521,139 | 10,874 | 3,625 | 補助金の過大交付 |
この事業は、平成9年度の危険改築事業として金沢二水高等学校の校舎を改築したものである。 石川県では、補助金の算定に当たり、校舎の必要面積が9,746m2 、保有面積が9,328m2 であることから、保有面積から構造上危険でない部分の面積を控除した8,365m2 を補助対象面積としていた。また、補助対象経費2,472,751,972円を実施面積13,224m2 で除して得た実施単価が186,989円、協議単価が186,900円であることから、低い方の協議単価を補助単価としていた。そして、これに補助対象面積8,365m2 を乗じて補助対象事業費を1,563,418,000円(国庫補助金521,139,000円)と算定していた。 しかし、同県は、校舎の実施面積に、建物区分が校舎にはならない屋内運動場専用の渡り廊下2箇所のうち1箇所の面積10m2 を含め、また、補助対象経費に校舎の工事費に含めないこととなっている同渡り廊下2箇所の建築費等20,041,022円を含めていた。 上記のことから、適正な校舎の補助対象経費は2,452,710,950円、実施面積は13,214m2 となり、実施単価が185,600円と協議単価を下回ることになる。 したがって、上記の実施単価を補助単価として適正な補助対象事業費を算定すると1,552,544,000円(国庫補助金517,514,000円)となり、国庫補助金3,625,000円が過大に交付されていた。 |
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(4) 公立学校施設整備費補助金(学校給食施設整備事業) | ||||||||
(32) | 福島県 | 本宮方部学校給食センター増築等 | 安達郡本宮町 | 154,044 | 57,417 | 28,255 | 4,709 | 補助種目の適用誤り |
この事業は、平成9年度の学校給食施設整備事業として本宮町及び大玉村の共同調理場である本宮方部学校給食センターを増改築したものである。 本宮町では、補助金の算定に当たり、学校給食センターの基準面積が736m2 、保有面積が562m2 であることから、保有面積562m2 を改築事業の補助対象面積とし、また、基準面積から保有面積を控除した174m2 を増築事業の補助対象面積としていた。そして、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価209,300円を乗ずるなどして補助対象事業費を154,044,800円(国庫補助金57,417,000円)と算定していた。 しかし、同町は、上記の保有面積に給食用器材の倉庫等75m2 及び車庫60m2 、計135m2 を含めておらず、これを含めると保有面積は697m2 となる。 したがって、改築事業(補助率3分の1)の適正な補助対象面積は697m2 、増築事業(補助率2分の1)の適正な補助対象面積は39m2 となる。そして、これらにより補助対象事業費を算定すると154,044,800円となり、これに対する適正な国庫補助金は52,708,000円となり、4,709,000円が過大に交付されていた。 |
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(33) | 千葉県 | 西原小学校単独校調理場増築等 | 柏市 | 32,112 | 12,339 | 8,920 | 1,487 | 補助種目の適用誤り |
この事業は、平成10年度の学校給食施設整備事業として西原小学校の単独校調理場を増改築したものである。 柏市では、補助金の算定に当たり、この調理場の基準面積が180m2 、保有面積が125m2 であることから、保有面積125m2 を改築事業の補助対象面積とし、また、基準面積から保有面積を控除した55m2 を増築事業の補助対象面積としていた。そして、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価178,400円を乗ずるなどして補助対象事業費を32,112,000円(国庫補助金12,339,000円)と算定していた。 しかし、同市は、上記の保有面積に給食室等の増築した部分43m2 及びボイラー室7m2 、計50m2 を含めておらず、これを含めると保有面積は175m2 となる。 したがって、改築事業(補助率3分の1)の適正な補助対象面積は175m2 、増築事業(補助率2分の1)の適正な補助対象面積は5m2 となる。そして、これらにより補助対象事業費を算定すると32,112,000円となり、これに対する適正な国庫補助金は10,852,000円となり、1,487,000円が過大に交付されていた。 |
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(34) | 大阪府 | 国府小学校単独校調理場増築等 | 和泉市 | 44,002 | 17,687 | 6,902 | 1,151 | 補助種目の適用誤り |
この事業は、平成11年度の学校給食施設整備事業として国府小学校の単独校調理場を増改築したものである。 和泉市では、補助金の算定に当たり、この調理場の基準面積が204m2 、保有面積が120m2 であることから、保有面積120m2 を改築事業の補助対象面積とし、また、基準面積から保有面積を控除した84m2 を増築事業の補助対象面積としていた。そして、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価215,700円を乗ずるなどして補助対象事業費を44,002,800円(国庫補助金17,687,000円)と算定していた。 しかし、同市は、上記の保有面積に、教室を改造し調理場の一部としていた面積32m2 を含めておらず、これを含めると保有面積は152m2 となる。 したがって、改築事業(補助率3分の1)の適正な補助対象面積は152m2 、増築事業(補助率2分の1)の適正な補助対象面積は52m2 となる。そして、これらにより補助対象事業費を算定すると44,002,800円となり、これに対する適正な国庫補助金は16,536,000円となり、1,151,000円が過大に交付されていた。 |
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(29)-(34)の計 | 2,176,473 | 738,908 | 151,994 | 44,218 |