会計名及び科目 | 一般会計 (組織)文部本省 (項)体育振興費 |
部局等の名称 | 文部本省 |
補助の根拠 | スポーツ振興法(昭和36年法律第141号) |
補助事業者 (事業主体) |
財団法人日本オリンピック委員会 |
補助事業 | 選手強化事業ほか3事業 |
補助事業の概要 | スポーツ選手の競技力の向上を図るため実施する強化指導等の事業 |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 2,679,349,000円 | (平成10、11両年度) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 46,253,236円 | (平成10、11両年度) |
1 補助金の概要
民間スポーツ振興費等補助金(以下「補助金」という。)は、スポーツ振興法(昭和36年法律第141号)に基づき、我が国のスポーツの振興に寄与することを目的として、財団法人日本オリンピック委員会(以下「JOC」という。)等に対し交付されるものである。
JOCが実施する補助対象事業には、選手強化事業ほか3事業があり、その交付額は平成10、11両年度で計2,679,349,000円となっている。
これらの補助対象事業のうち選手強化事業は、我が国を代表するスポーツ選手の競技力の向上や次代を担うジュニア層の育成等を図るため、国内外での合宿を行ったり選手等を海外に派遣したりするもので、JOCに加盟する団体(以下「加盟団体」という。)に委託するなどして実施している。
JOCでは、委託に当たり、加盟団体と海外合宿・国内合宿等ごとに委託契約を締結している。そして、その対象となる事業費(以下「委託対象事業費」という。)は、所定の1日当たりの単価に宿泊日数等を乗じるなどして算出した滞在費、旅費及び謝金の額と、予定される渡航費等の額を合計したものとされており、原則としてこの合計額の3分の2を上限とする額を委託金として交付することとしている。そして、事業終了後に加盟団体から支出に係る領収書等証拠書類を添付した事業実施報告書を提出させ、これを精査して、委託金の額と事業実施報告書に記載された支払額の合計額に3分の2を乗じた額とのいずれか低い額を委託金の額として確定することとしている。
この委託について、JOCは委託金相当額の補助金の交付を受けている。
2 検査の結果
10、11両年度に8加盟団体が実施した選手強化事業に対する委託金の交付について検査した結果、委託金235,560,800円(10年度212,414,800円、11年度23,146,000円)において、滞在費、旅費、謝金、渡航費等が全く支払われていなかったり、一部しか支払われていなかったりしていて委託金が過大となっている事態が見受けられた。
このため、委託対象事業費10年度65,450,884円、11年度3,276,497円、計68,727,381円(これに係る委託金10年度44,108,909円、11年度2,144,327円、計46,253,236円)が過大となっており、国庫補助金10年度44,108,909円、11年度2,144,327円、計46,253,236円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、上記の8加盟団体において委託事業の適切な執行に対する認識が不足していたこと、JOCにおける補助事業の実施体制及び委託金の審査体制が十分整備されていなかったことなどによると認められる。
委託金が過大となっている事態の主なものを示すと次のとおりである。
(1)滞在費、旅費、謝金に係るもの
加盟団体では、強化合宿、チーム派遣等のための滞在費、旅費、謝金について、所定の額に宿泊日数等を乗じるなどした額を選手等に支払ったこととしてJOCに報告していた。
しかし、実際には加盟団体では、選手等に滞在費、旅費、謝金を全く支払っていなかったり、一部しか支払っていなかったりしていて委託金が過大となっていた。
(2)渡航費に係るもの
加盟団体では、国際大会へのチーム派遣等のための渡航費を支払ったこととしてJOCに報告していた。
しかし、実際には大会開催国側が航空運賃の全部又は一部を負担するなどしていて、加盟団体では渡航費を全く支払っていなかったり、一部しか支払っていなかったりしていて委託金が過大となっていた。