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  • 平成11年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 厚生省|
  • 不当事項|
  • 補助金

医療施設運営費等補助金(へき地中核病院運営事業分)が過大に交付されているもの


(43)医療施設運営費等補助金(へき地中核病院運営事業分)が過大に交付されているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生本省 (項)保健衛生諸費
部局等の名称 厚生本省
補助の根拠 予算補助
補助事業者 香川県
間接補助事業者
(事業主体)
坂出市
補助事業 へき地中核病院運営事業
補助事業の概要 へき地の住民の医療を確保するため、へき地診療所への医師派遣等を行うへき地中核病院を運営するもの
上記に対する国庫補助金交付額 36,681,000円 (平成9、10両年度)
不当と認める国庫補助金交付額 4,920,000円 (平成9、10両年度)

1 補助金の概要

 厚生省では、離島、山村等の医療に恵まれない地域住民の医療を確保することなどを目的として、へき地中核病院(注1) の開設者が行うへき地中核病院の運営事業に対して都道府県が補助する場合に、その補助に要する費用の一部として医療施設運営費等補助金(へき地中核病院運営事業分)を交付している。
 この補助金は、へき地中核病院が、巡回診療、へき地診療所(注2) への医師派遣等を行うための経費を補助の対象としている。そして、その交付額は次のように算定することとなっている。
(ア) 医療活動費、研究費、研修費等の経費の種目ごとに、基準額と補助対象となる経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。
(イ) (ア)により経費の種目ごとに選定した額の合計額(以下「選定額」という。)と、総事業費から巡回診療に係る診療収入額及び寄付金その他の収入額(以下「総収入額」という。)を控除した額と、都道府県が補助した額とを比較して最も少ない額を補助対象事業費とし、これに国庫補助率2分の1を乗じて得た額を交付額とする。
 そして、へき地中核病院がへき地診療所に医師を派遣して診療行為を行った場合には、その診療収入は当該へき地診療所の収入とする一方、へき地診療所への医師派遣に必要な経費(日当、旅費等)は、へき地中核病院が当該へき地診療所から徴収して、その額を寄付金その他の収入額に計上し総収入額に含めることとなっている。

(注1)  へき地中核病院 無医地区等における住民の医療を確保することを目的として、無医地区等を有する地域に所在し、巡回診療、へき地診療所への医師派遣等を行う病院として、都道府県知事の指定を受けた病院
(注2)  へき地診療所 都道府県、市町村等が無医地区等に整備し、地域住民に対し診療を行う診療所

2 検査の結果

 検査したところ、坂出市では、平成9、10両年度に、香川県からへき地中核病院に指定されている坂出市立病院が、同市ほかに所在する4へき地診療所に医師を派遣するなどの事業を実施したとして、9年度においては、選定額35,537,600円と、総事業費48,530,620円から総収入額10,304,550円を控除した額38,226,070円と、県の補助金35,537,000円とを比較して、最も少ない額35,537,000円を補助対象事業費とし、これを基に国庫補助金17,768,000円の交付を受けていた。
 また、10年度においても、同様に算定して、最も少ない額37,826,000円を補助対象事業費とし、これを基に国庫補助金18,913,000円の交付を受けていた。
 しかし、同市では、9、10両年度の補助金の算定に当たり、医師派遣に必要な経費9年度7,925,000円、10年度9,880,000円を4へき地診療所から徴収していたにもかかわらず、これを総収入額に含めていなかったため、補助対象事業費が9年度5,236,000円、10年度4,603,000円、それぞれ過大となっていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づき国庫補助金を算定すると、9年度15,150,000円、10年度16,611,000円となり、前記の国庫補助金との差額9年度2,618,000円、10年度2,302,000円、計4,920,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同市において交付要綱の理解が十分でなかったこと、同県において同市から提出された実績報告書等の内容についての調査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。