会計名及び科目 | 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)失業等給付費 |
部局等の名称 | 北海道ほか20都府県(平成11年度以前)及び茨城労働局ほか3労働局(12年度)(支給庁) |
札幌公共職業安定所ほか120公共職業安定所(支給決定庁) | |
支給の相手方 | 301人 |
失業等給付金の支給額の合計 | 求職者給付 | 222,386,056円 | (平成9年度〜12年度) |
就職促進給付 | 14,378,350円 | (平成9年度〜12年度) | |
計 | 236,764,406円 | ||
不適正支給額 | 求職者給付 | 46,221,519円 | (平成9年度〜12年度) |
就職促進給付 | 14,378,350円 | (平成9年度〜12年度) | |
計 | 60,599,869円 |
1 保険給付の概要
雇用保険は、常時雇用される労働者等を被保険者とし、被保険者が失業した場合及び被保険者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合にその生活及び雇用の安定を図るなどのため失業等給付金の支給を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行う保険である。
失業等給付金には求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付の4種の給付がある。そして、求職者給付には7種の手当等があり、このうち、支給額の大半を占めかつ失業者の生活の安定を図る上で基本的な役割を担っている基本手当は受給資格者(注)
が失業している日について所定給付日数を限度として支給され、特例一時金は被保険者であって季節的に雇用される者等が失業した場合に支給される。また、就職促進給付には4種の手当等があり、このうち、支給額の大半を占める再就職手当は受給資格者が基本手当を受給できる日数を所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上残して安定した職業に就いた場合に支給され、常用就職支度金は受給資格者等であって身体障害その他の理由により就職が困難な者が公共職業安定所の紹介により安定した職業に就いた場合に支給される。
これらの手当等は、公共職業安定所が次のように支給を決定し、これに基づいて都道府県(平成11年度以前)又は都道府県労働局(12年度以降)が支給することとなっている。
(ア) 基本手当及び特例一時金については、受給資格者等から提出された失業認定申告書等に記載されている就職、就労(臨時的に短期間仕事に就くこと)の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定する。
(イ) 再就職手当及び常用就職支度金については、受給資格者等から提出された再就職手当支給申請書等に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定する。
2 検査の結果
9年度から12年度において北海道ほか22都府県及び北海道労働局ほか11労働局(支給決定庁 札幌公共職業安定所ほか219公共職業安定所)から失業等給付金の支給を受けた者のうち12,253人について、公共職業安定所における失業等給付金の支給決定の適否を検査した。
検査したところ、次のとおり失業等給付金60,599,869円が適正に支給されていなかった。
ア 求職者給付
北海道ほか20都府県及び千葉、愛知両労働局から基本手当又は特例一時金の支給を受けた7,755人のうち295人に対する支給(支給額222,386,056円)について、46,221,519円(基本手当45,392,519円、特例一時金829,000円)が適正に支給されていなかった。
このような事態が生じていたのは、受給者が誠実でなく、再就職していながらその事実を失業認定申告書等に記載していないなどのため、同申告書等の内容が事実と相違していたのに、札幌公共職業安定所ほか119公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによるものである。
イ 就職促進給付
北海道ほか12都県及び茨城、佐賀両労働局から再就職手当又は常用就職支度金の支給を受けた234人のうち30人に対する支給(支給額14,378,350円)について、14,378,350円(再就職手当13,785,850円、常用就職支度金592,500円)が適正に支給されていなかった。
このような事態が生じていたのは、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書等に事実と相違した雇入れ年月日を記載するなどしていたのに、旭川公共職業安定所ほか24公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによるものである。
なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
これらの不適正支給額を都道府県等ごとに示すと次のとおりである。
都道府県等名 | 公共職業安定所 | 本院が調査した受給者数 | 不適正受給者数 | 左の受給者に支給した失業等給付金 | 左のうち不適正失業等給付金 | |
人 | 人 | 千円 | 千円 | |||
北海道 | 札幌ほか12 | 1,036 | 35 | 25,521 | 4,883 | |
旭川ほか3 | 27 | 6 | 2,507 | 2,507 | ||
小計 | 28,028 | 7,390 | ||||
宮城県 | 仙台ほか6 | 441 | 12 | 7,026 | 1,166 | |
石巻ほか1 | 17 | 2 | 1,412 | 1,412 | ||
小計 | 8,439 | 2,579 | ||||
山形県 | 米沢ほか2 | 251 | 4 | 1,009 | 480 | |
米沢ほか1 | 16 | 2 | 1,510 | 1,510 | ||
小計 | 2,519 | 1,990 | ||||
茨城県・ 茨城労働局 |
水戸ほか8 | 503 | 34 | 24,825 | 4,778 | |
土浦ほか2 | 24 | 3 | 655 | 655 | ||
小計 | 25,480 | 5,434 | ||||
栃木県 | 宇都宮ほか1 | 100 | 2 | 1,020 | 614 | |
− | − | − | − | |||
小計 | 1,020 | 614 | ||||
群馬県 | 高崎ほか1 | 101 | 5 | 4,457 | 569 | |
沼田 | 6 | 2 | 436 | 436 | ||
小計 | 4,893 | 1,005 | ||||
埼玉県 | 大宮ほか4 | 298 | 10 | 15,718 | 656 | |
− | − | − | − | |||
小計 | 15,718 | 656 | ||||
千葉県・ 千葉労働局 |
千葉ほか4 | 406 | 11 | 9,186 | 1,235 | |
千葉ほか2 | 21 | 5 | 3,633 | 3,633 | ||
小計 | 12,819 | 4,869 | ||||
東京都 | 飯田橋ほか13 | 1,038 | 30 | 18,989 | 5,121 | |
町田 | 9 | 1 | 152 | 152 | ||
小計 | 19,141 | 5,273 | ||||
石川県 | 金沢ほか2 | 167 | 6 | 5,402 | 806 | |
− | − | − | − | |||
小計 | 5,402 | 806 | ||||
岐阜県 | 岐阜ほか5 | 349 | 14 | 9,465 | 1,570 | |
恵那 | 1 | 1 | 960 | 960 | ||
小計 | 10,426 | 2,530 | ||||
愛知県・ 愛知労働局 |
名古屋東ほか9 | 575 | 20 | 22,595 | 3,046 | |
春日井 | 15 | 1 | 169 | 169 | ||
小計 | 22,764 | 3,216 | ||||
大阪府 | 大阪西ほか3 | 260 | 9 | 3,867 | 814 | |
− | − | − | − | |||
小計 | 3,867 | 814 | ||||
和歌山県 | 和歌山ほか4 | 235 | 9 | 4,534 | 1,033 | |
和歌山ほか1 | 30 | 2 | 1,096 | 1,096 | ||
小計 | 5,630 | 2,130 | ||||
香川県 | 高松ほか2 | 180 | 8 | 8,411 | 2,724 | |
− | − | − | − | |||
小計 | 8,411 | 2,724 | ||||
愛媛県 | 松山ほか4 | 282 | 16 | 13,292 | 3,660 | |
松山ほか1 | 37 | 2 | 1,087 | 1,087 | ||
小計 | 14,380 | 4,748 | ||||
福岡県 | 八幡ほか2 | 250 | 6 | 5,551 | 1,258 | |
− | − | − | − | |||
小計 | 5,551 | 1,258 | ||||
佐賀県・ 佐賀労働局 |
佐賀ほか4 | 320 | 24 | 16,764 | 5,096 | |
鹿島 | 7 | 1 | 240 | 240 | ||
小計 | 17,004 | 5,336 | ||||
大分県 | 大分ほか4 | 341 | 10 | 6,850 | 1,793 | |
− | − | − | − | |||
小計 | 6,850 | 1,793 | ||||
鹿児島県 | 川内ほか5 | 360 | 12 | 7,849 | 1,210 | |
− | − | − | − | |||
小計 | 7,849 | 1,210 | ||||
沖縄県 | 那覇ほか4 | 262 | 18 | 10,045 | 3,698 | |
沖縄ほか1 | 24 | 2 | 515 | 515 | ||
小計 | 10,561 | 4,214 | ||||
計 | 120箇所 | 7,755 | 295 | 222,386 | 46,221 | |
25箇所 | 234 | 30 | 14,378 | 14,378 | ||
合 計 |
21都道府県及び4労働局 | 236,764 | 60,599 |
注(1) | 上段は求職者給付に係る分、下段は就職促進給付に係る分である。 |
(2) | 公共職業安定所のうち、求職者給付と就職促進給付の双方について不適正な支給があったものが24、求職者給付のみのものが96、就職促進給付のみのものが1あり、したがって、公共職業安定所の実数は121である。 |
(3) | 不適正受給者のうち、求職者給付と就職促進給付の双方に係る者が24人、求職者給付のみの者が271人、就職促進給付のみの者が6人おり、したがって、失業等給付金に係る不適正受給の実人員は301人である。 |