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雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの


(226)雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)失業等給付費
部局等の名称 北海道ほか20都府県(平成11年度以前)及び茨城労働局ほか3労働局(12年度)(支給庁)
札幌公共職業安定所ほか120公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 301人
失業等給付金の支給額の合計 求職者給付  222,386,056円 (平成9年度〜12年度)
就職促進給付  14,378,350円 (平成9年度〜12年度)
 236,764,406円
不適正支給額 求職者給付  46,221,519円 (平成9年度〜12年度)
就職促進給付  14,378,350円 (平成9年度〜12年度)
 60,599,869円

1 保険給付の概要

(雇用保険)

 雇用保険は、常時雇用される労働者等を被保険者とし、被保険者が失業した場合及び被保険者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合にその生活及び雇用の安定を図るなどのため失業等給付金の支給を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行う保険である。

(失業等給付金の支給)

 失業等給付金には求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付の4種の給付がある。そして、求職者給付には7種の手当等があり、このうち、支給額の大半を占めかつ失業者の生活の安定を図る上で基本的な役割を担っている基本手当は受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給され、特例一時金は被保険者であって季節的に雇用される者等が失業した場合に支給される。また、就職促進給付には4種の手当等があり、このうち、支給額の大半を占める再就職手当は受給資格者が基本手当を受給できる日数を所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上残して安定した職業に就いた場合に支給され、常用就職支度金は受給資格者等であって身体障害その他の理由により就職が困難な者が公共職業安定所の紹介により安定した職業に就いた場合に支給される。
 これらの手当等は、公共職業安定所が次のように支給を決定し、これに基づいて都道府県(平成11年度以前)又は都道府県労働局(12年度以降)が支給することとなっている。
(ア) 基本手当及び特例一時金については、受給資格者等から提出された失業認定申告書等に記載されている就職、就労(臨時的に短期間仕事に就くこと)の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定する。
(イ) 再就職手当及び常用就職支度金については、受給資格者等から提出された再就職手当支給申請書等に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定する。

受給資格者 離職した被保険者で、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることの要件を満たしていて、公共職業安定所において、基本手当を受給する資格があると決定された者

2 検査の結果

(検査の対象)

 9年度から12年度において北海道ほか22都府県及び北海道労働局ほか11労働局(支給決定庁 札幌公共職業安定所ほか219公共職業安定所)から失業等給付金の支給を受けた者のうち12,253人について、公共職業安定所における失業等給付金の支給決定の適否を検査した。

(不適正支給の事態)

検査したところ、次のとおり失業等給付金60,599,869円が適正に支給されていなかった。

ア 求職者給付

 北海道ほか20都府県及び千葉、愛知両労働局から基本手当又は特例一時金の支給を受けた7,755人のうち295人に対する支給(支給額222,386,056円)について、46,221,519円(基本手当45,392,519円、特例一時金829,000円)が適正に支給されていなかった。
 このような事態が生じていたのは、受給者が誠実でなく、再就職していながらその事実を失業認定申告書等に記載していないなどのため、同申告書等の内容が事実と相違していたのに、札幌公共職業安定所ほか119公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによるものである。

イ 就職促進給付

 北海道ほか12都県及び茨城、佐賀両労働局から再就職手当又は常用就職支度金の支給を受けた234人のうち30人に対する支給(支給額14,378,350円)について、14,378,350円(再就職手当13,785,850円、常用就職支度金592,500円)が適正に支給されていなかった。
 このような事態が生じていたのは、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書等に事実と相違した雇入れ年月日を記載するなどしていたのに、旭川公共職業安定所ほか24公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによるものである。
 なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
 これらの不適正支給額を都道府県等ごとに示すと次のとおりである。

都道府県等名 公共職業安定所 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した失業等給付金 左のうち不適正失業等給付金
    千円 千円
北海道 札幌ほか12 1,036 35 25,521 4,883
旭川ほか3 27 6 2,507 2,507
小計     28,028 7,390
宮城県 仙台ほか6 441 12 7,026 1,166
石巻ほか1 17 2 1,412 1,412
小計     8,439 2,579
山形県 米沢ほか2 251 4 1,009 480
米沢ほか1 16 2 1,510 1,510
小計     2,519 1,990
茨城県・
茨城労働局
水戸ほか8 503 34 24,825 4,778
土浦ほか2 24 3 655 655
小計     25,480 5,434
栃木県 宇都宮ほか1 100 2 1,020 614
 
小計     1,020 614
群馬県 高崎ほか1 101 5 4,457 569
沼田 6 2 436 436
小計     4,893 1,005
埼玉県 大宮ほか4 298 10 15,718 656
 
小計     15,718 656
千葉県・
千葉労働局
千葉ほか4 406 11 9,186 1,235
千葉ほか2 21 5 3,633 3,633
小計     12,819 4,869
東京都 飯田橋ほか13 1,038 30 18,989 5,121
町田 9 1 152 152
小計     19,141 5,273
石川県 金沢ほか2 167 6 5,402 806
 
小計     5,402 806
岐阜県 岐阜ほか5 349 14 9,465 1,570
恵那 1 1 960 960
小計     10,426 2,530
愛知県・
愛知労働局
名古屋東ほか9 575 20 22,595 3,046
春日井 15 1 169 169
小計     22,764 3,216
大阪府 大阪西ほか3 260 9 3,867 814
 
小計     3,867 814
和歌山県 和歌山ほか4 235 9 4,534 1,033
和歌山ほか1 30 2 1,096 1,096
小計     5,630 2,130
香川県 高松ほか2 180 8 8,411 2,724
 
小計     8,411 2,724
愛媛県 松山ほか4 282 16 13,292 3,660
松山ほか1 37 2 1,087 1,087
小計     14,380 4,748
福岡県 八幡ほか2 250 6 5,551 1,258
 
小計     5,551 1,258
佐賀県・
佐賀労働局
佐賀ほか4 320 24 16,764 5,096
鹿島 7 1 240 240
小計     17,004 5,336
大分県 大分ほか4 341 10 6,850 1,793
 
小計     6,850 1,793
鹿児島県 川内ほか5 360 12 7,849 1,210
 
小計     7,849 1,210
沖縄県 那覇ほか4 262 18 10,045 3,698
沖縄ほか1 24 2 515 515
小計     10,561 4,214
120箇所 7,755 295 222,386 46,221
25箇所 234 30 14,378 14,378

21都道府県及び4労働局       236,764 60,599
注(1) 上段は求職者給付に係る分、下段は就職促進給付に係る分である。
 (2) 公共職業安定所のうち、求職者給付と就職促進給付の双方について不適正な支給があったものが24、求職者給付のみのものが96、就職促進給付のみのものが1あり、したがって、公共職業安定所の実数は121である。
 (3) 不適正受給者のうち、求職者給付と就職促進給付の双方に係る者が24人、求職者給付のみの者が271人、就職促進給付のみの者が6人おり、したがって、失業等給付金に係る不適正受給の実人員は301人である。