科目 | (都市基盤整備勘定) (項)市街地整備改善管理費 |
平成11年9月30日以前は、 | |
(住宅・都市整備勘定) (項)宅地管理費 |
部局等の名称 | 都市基盤整備公団(平成11年9月30日以前は「住宅・都市整備公団」)東京支社ほか7支社 |
事業名 | 土地区画整理事業 |
事業の概要 | 大都市等の都市地域において、市街地の整備を行うための宅地等の造成及び造成した宅地の譲渡を行う事業 |
譲渡した住宅用地について公団が負担した固定資産税及び都市計画税 | 1億6125万余円 | (平成10、11両年度) |
節減できた固定資産税及び都市計画税の負担額 | 6866万円 | (平成10、11両年度) |
1 住宅用地に係る固定資産税等の概要
都市基盤整備公団(平成11年9月30日以前においては「住宅・都市整備公団」。以下「公団」という。)では、大都市等の都市地域において、市街地の整備改善を行うことなどを目的として土地区画整理事業を多数実施している。この事業は土地利用の増進等を図るため、土地の区画形質の変更等を行い宅地等を造成するもので、造成した宅地のうち、譲受人が自ら居住するための住宅の用に供する造成宅地(以下「住宅用地」という。)については公募等により譲渡している。
上記の住宅用地には、〔1〕土地区画整理事業の換地処分(注1)
が既に行われているもの、〔2〕換地処分を行う前で仮換地(注1)
の指定がされているもの、〔3〕保留地として事業の費用に充てるため処分するものとがあり、公団では、造成工事が完了した土地から順次、これらの住宅用地について、譲受人の募集を行った上で譲渡契約を締結している。そして、これらの譲渡した土地の所有権移転の登記は、換地処分の前に譲渡したものについては一括して換地処分に合わせて行い、換地処分後に譲渡したものについてはその都度行っている。
市町村(特別区を含む。)から課税される固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の納税義務者は、課税対象年度の初日の属する年の1月1日に土地登記簿に所有者として登記されている者等となっている。また、固定資産税等の課税対象となる土地の地目、課税標準額等も同様に1月1日現在を基準にして決定されることとなっている。
したがって、年の途中で、譲渡による所有権の移転等の変更があった場合には、翌年の1月1日を基準に納税義務者や課税標準額等の決定が行われ、4月1日から始まる年度分の固定資産税等から、その変更に基づいて課税されることとなる。
2 検査の結果
公団では、毎年度、土地区画整理事業により多くの住宅用地の造成及び譲渡を行っているが、それらの譲渡した住宅用地に係る固定資産税等の負担が適切に行われているかに着眼して検査した。
東京支社ほか7支社(注2) が実施した土地区画整理事業40地区において、10、11両年度に土地譲渡契約を締結した1,789画地、計399,248m2 について契約締結日の属する年度(以下「契約年度」という。)以降に公団が負担した固定資産税等10年度分8623万余円、11年度分7501万余円、計1億6125万余円を対象として検査した。
検査したところ、次のような状況となっていた。
すなわち、公団では、住宅・都市整備公団造成宅地管理事務取扱細則(昭和57年達第22号)を定め、これにより、土地譲渡契約を締結した住宅用地について公団を納税義務者として課税される固定資産税等は、土地区画整理事業の場合、次のように、年度分を単位として負担することとしている。
〔1〕 換地処分前に土地譲渡契約を締結した場合にあっては、換地処分が行われるまで所有権移転の登記が行われずに長期間公団に課税されることとなるので、これを全額負担することを避けるため、契約年度の分
〔2〕 換地処分後に土地譲渡契約を締結した場合にあっては、4月から12月の間に契約を締結したものは契約年度の分、1月から3月の間に契約を締結したものは、契約年度及びその翌年度の分
上記のように、公団では〔1〕、〔2〕いずれの場合も、年度分の固定資産税等はすべてこれを公団が負担することとしている。そして、その主な理由として、〔1〕のように換地処分の前に土地譲渡契約を締結した場合、その年度の固定資産税等は、譲渡される住宅用地(仮換地)には課税されずに、面積、所在地、地目等が異なる従前地に課税されることがあることなどから、そのうち契約締結日以降の分を譲受人に負担させることについては慎重に取り扱う必要があることを挙げている。
しかし、換地処分の前に譲渡する場合には上記の理由があるとしても、換地処分の翌年度(換地処分が1月から3月の場合は翌々年度)以降に譲渡する場合は、固定資産税等は、既に従前地に課税されず、譲渡する住宅用地にその現況に基づき課税されていることから、契約締結日以降の分を譲受人に負担させることについて、特段の問題は生じないこととなる。
したがって、上記の場合については、公団に課税される固定資産税等を月割りし、契約締結日の属する月までのものは公団が、その翌月以降のものは譲受人がそれぞれ負担することとするなどして、負担額の節減を図る要があると認められた。
上記により、前記の住宅用地399,248m2 のうち、換地処分の翌年度又は翌々年度以降に土地譲渡契約を締結した157,032m2 について、公団が負担していた固定資産税等を月割りし、公団と譲受人とでそれぞれ負担することとすれば、公団の負担額を10年度分2836万余円、11年度分4030万余円、計6866万余円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、公団において土地区画整理事業で譲渡する住宅用地について、公団に課税される固定資産税等の負担方法について十分検討を行っていなかったことによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、公団では、12年10月に、各支社等に対して通知を発し、換地処分の翌年度又は翌々年度以降に土地譲渡契約を締結する住宅用地について、公団に課税される固定資産税等を、契約締結日の属する月までの分は公団が、その翌月以降の分は譲受人がそれぞれ負担することとする処置を講じた。