科目 | (助成勘定) 補助金経理 (項)交付補助金 |
部局等の名称 | 日本私立学校振興・共済事業団 |
補助の対象 | 私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費 |
補助の根拠 | 私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号) |
事業主体 | 学校法人杉野学園ほか5学校法人 |
上記に対する事業団の補助金交付額の合計 | 1,712,522,000円 | (平成10、11両年度) |
不当と認める事業団の補助金交付額 | 72,687,000円 | (平成10、11両年度) |
1 補助金の概要
日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)に基づき、国の補助金を財源として、私立大学等(注1) を設置する学校法人に私立大学等経常費補助金を交付している。この補助金は、私立大学等の教育条件の維持及び向上並びに学生の修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立大学等の経営の健全性を高めることを目的として、私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費に充てるために交付されるものである。
事業団は、私立大学等経常費補助金交付要綱(昭和52年文部大臣裁定)等に基づき、補助金の額を算定する資料として、各学校法人に補助金交付申請書とともに次の資料を提出させている。
〔1〕 当該年度の10月末日現在の専任教員等(注2)
の数、専任職員数及び学生数に関する資料
〔2〕 学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号)に基づき作成した前年度決算の学生納付金収入、教育研究経費支出及び設備関係支出などに関する資料
事業団は、上記の資料に基づき、補助金の額を次のとおり算定している。
(ア) 経常的経費を専任教員等給与費、専任職員給与費、教育研究経常費等の経費に区分し、それぞれの経費ごとに専任教員等の数、専任職員数又は学生数等に所定の補助単価等を乗じるなどして補助金の基準額を算定する。
(イ)各私立大学等の教育研究条件の良否によって補助金の額に差異を設けるため、次の割合等に基づいて調整係数を算定する。
〔1〕 収容定員に対する在籍学生数の割合
〔2〕 専任教員等の数に対する在籍学生数の割合
〔3〕 学生納付金収入に対する教育研究経費支出と設備関係支出との合計額(以下「教育研究経費支出等の額」という。)の割合
そして、教育研究経費支出等の額の算定に当たっては、学部や専攻科等の新設に係る支出は学校法人部門に、非常勤講師の通勤手当は人件費支出に、学生募集のための経費等については管理経費支出に、図書館の書庫の架台等の設置工事費は施設関係支出にそれぞれ計上し、いずれも教育研究経費支出等の額には含めないこととなっている。
(ウ) (ア)で算定した経費ごとの基準額に(イ)で算定した調整係数を乗ずるなどの方法により得られた金額を合計して補助金の額を算定する。
補助金の額の算定の対象となる専任教員等及び専任職員については、次の要件のすべてに該当する者となっている。
(ア) 当該私立大学等の専任教員等又は専任職員として発令されていること
(イ) 当該学校法人から主たる給与の支給を受けていて、所定の額以上の給与を補助金申請年の4月から10月までの各月において支給されていること
(ウ) 当該私立大学等に常時勤務していて、専任教員等にあっては、1週間の割当授業時間数が所定の時間数(6時間)以上であること
上記のほか、教育研究経常費については、私立大学における学術の振興及び私立大学等における特定の分野、課程等に係る教育の振興のため、特別補助として補助金を増額して交付することができることとなっている。
この特別補助の対象となるものに「外国人留学生の受入れ」、「特色ある教育研究の推進」等の項目がある。このうち「外国人留学生の受入れ」は、外国人留学生を受け入れている大学等に対し、その受入人数等に応じて段階的に所定の額を増額するものである。また、「特色ある教育研究の推進」は、特色ある教育又は研究を実施している大学等に対し、教育研究課題ごとに、その所要経費に応じて段階的に所定の額を増額するものである。なお、大学等に所属する学部等のうち、設置後修業年限に相当する年数を経過していないものについては、原則として補助金が交付されないこととなっている。
そして、事業団では、特別補助の項目ごとに、算定対象となる学生等の数や所要経費に関する資料を各学校法人に提出させて、特別補助の額を算定し、これらの合計額を特別補助として増額している。
2 検査の結果
検査に当たっては、専任教職員等の数及び教育研究経費支出等の額の算定が適切に行われているか、また、特別補助の額の算定対象である学生等の数や所要経費の算定が適切に行われているかに着眼した。
事業団が補助金を交付している学校法人のうち69学校法人について検査したところ、6学校法人において、補助金の額の算定の基礎となる教育研究経費支出等の額には含めないこととされている支出額を前記の資料に記入するなどしているのに、事業団では、これに基づいて補助金の額を算定していた。このため、補助金が過大に交付された結果となっていて、補助金72,687,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、6学校法人において、制度の理解が十分でなかったり、資料の作成に当たりその内容の確認が十分でなかったりしていたこと、事業団において、これらの学校法人に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
これを学校法人別に示すと次のとおりである。
事業主体 (本部所在地) |
年度 | 補助金交付額 | 不当と認める補助金額 | |
千円 | 千円 | |||
(245) | 学校法人 杉野学園 (東京都品川区) |
11 | 293,117 | 3,289 |
上記の学校法人は、事業団に提出した資料に、杉野女子大学に所属する平成11年10月末日現在の補助金の額の算定の対象となる専任教員等の数を47人と記入しており、事業団では、この数値等に基づき、11年度のこの学校法人に対する補助金を293,117,000円と算定していた。 しかし、上記の専任教員等のうち1人は、所定の額以上の給与を支給されていない月があり、補助金算定の対象とはならない。 したがって、この教員を除外して算定すると、専任教員等給与費等に係る補助金の基準額が減少するので、適正な補助金は289,828,000円となり、3,289,000円が過大に交付されていた。 |
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(246) | 学校法人 金城学園 (石川県金沢市) |
10 | 116,734 | 20,519 |
上記の学校法人は、事業団に提出した資料に、金城短期大学に係る平成9年度の教育研究経費支出等の額を168,570千円と記入しており、事業団では、この数値等に基づき、10年度のこの学校法人に対する補助金を116,734,000円と算定していた。 しかし、上記の教育研究経費支出等の額には、これに含めないこととされている専攻科の新設に係る支出49,985千円が含まれていた。 したがって、これを除外して算定すると、学生納付金収入に対する教育研究経費支出等の額の割合等に基づいて算定した調整係数が下がることになるので、適正な補助金は96,215,000円となり、20,519,000円が過大に交付されていた。 |
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(247) | 学校法人 真宗大谷学園 (京都府京都市) |
11 | 439,911 | 2,229 |
上記の学校法人は、事業団に提出した資料に、大谷大学における平成11年度の外国人留学生の受入れに係る特別補助の額の算定の対象となる外国人留学生の数を20人と記入していた。そして、事業団では、この数値等に基づき、同特別補助の額を11,703,000円とするなどして、11年度のこの学校法人に対する補助金を439,911,000円と算定していた。 しかし、上記の外国人留学生のうち1人は、同大学において教育を受けていないため、同特別補助の額の算定の対象とはならない。 したがって、この者を除外して算定すると、同特別補助の額が9,474,000円に減少するので、適正な補助金は437,682,000円となり、2,229,000円が過大に交付されていた。 |
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(248) | 学校法人 大阪経済大学 (大阪府大阪市) |
10 | 408,944 | 32,629 |
上記の学校法人は、事業団に提出した資料に、大阪経済大学に係る平成9年度の教育研究経費支出等の額を1,794,868千円と記入しており、事業団では、この数値等に基づき、10年度のこの学校法人に対する補助金を408,944,000円と算定していた。 しかし、上記の教育研究経費支出等の額には、これに含めないこととされている図書館の書庫の架台等の設置工事費124,581千円が含まれていた。 したがって、これを除外して算定すると、学生納付金収入に対する教育研究経費支出等の額の割合等に基づいて算定した調整係数が下がることになるので、適正な補助金は376,315,000円となり、32,629,000円が過大に交付されていた。 |
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(249) | 学校法人 聖和大学 (兵庫県西宮市) |
10 | 174,467 | 5,192 |
11 | 173,955 | 1,740 | ||
小計 | 348,422 | 6,932 | ||
上記の学校法人は、事業団に提出した資料に、聖和大学に所属する平成10年及び11年の10月末日現在の補助金の額の算定の対象となる専任教員等の数をそれぞれ30人、40人と記入していた。また、10年度の同大学の特色ある教育研究の推進に係る特別補助の額の算定の対象となる教育研究課題のうち1件について、その所要経費を2,400千円と記入していた。そして、事業団では、これらの数値等に基づき、上記の教育研究課題に係る特別補助の額を1,000,000円とするなどして、10年度及び11年度のこの学校法人に対する補助金をそれぞれ174,467,000円、173,955,000円と算定していた。 しかし、上記の専任教員等の数及び特別補助の額については、次のとおりとなっていた。 (ア) 上記の専任教員等のうち1人は、10年度及び11年度の1週間の割当授業時間数が所定の時間数を下回っており、両年度とも補助金算定の対象とはならない。 したがって、この教員を除外して算定すると、両年度の専任教員等給与費等に係る補助金の基準額が減少し、また、10年度については、専任教員等の数に対する在籍学生数の割合等に基づいて算定した調整係数が下がることになる。 (イ) 前記の教育研究課題は、10年度においては設置後同大学の修業年限に相当する年数を経過していない学部が実施したものであるため、特別補助の額の算定の対象とはならない。 これらの結果、適正な補助金は10年度169,275,000円、11年度172,215,000円となり、10年度5,192,000円、11年度1,740,000円、計6,932,000円が過大に交付されていた。 |
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(250) | 学校法人 高知学園 (高知県高知市) |
10 | 105,394 | 7,089 |
上記の学校法人は、事業団に提出した資料に、高知学園短期大学に係る平成9年度の教育研究経費支出等の額を147,287千円と記入しており、事業団では、この数値等に基づき、10年度のこの学校法人に対する補助金を105,394,000円と算定していた。 しかし、上記の教育研究経費支出等の額には、これに含めないこととされている非常勤講師の通勤手当及び学生募集のための経費等3,097千円が含まれていた。 したがって、これを除外して算定すると、学生納付金収入に対する教育研究経費支出等の額の割合等に基づいて算定した調整係数が下がることになるので、適正な補助金は98,305,000円となり、7,089,000円が過大に交付されていた。 |
||||
(245)-(250)の計 | 1,712,522 | 72,687 |