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  • 平成11年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第13 帝都高速度交通営団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

駅構内清掃業務委託契約における厚生年金保険料等の事業主負担額の積算を適切に行うよう改善させたもの


駅構内清掃業務委託契約における厚生年金保険料等の事業主負担額の積算を適切に行うよう改善させたもの

科目 (款)鉄道事業営業費 (項)運輸費
部局等の名称 帝都高速度交通営団本社
契約名 駅構内清掃契約
契約の概要 鉄道施設の維持管理業務の一環として、駅構内における清掃業務を実施するもの
契約の相手方 メトロ興業株式会社
契約 平成11年4月〜12年3月 随意契約
支払額 23億7395万余円 (平成11年度)
厚生年金保険料等の事業主負担分の積算額 1億4262万余円 (平成11年度)
低減できた積算額 6860万円 (平成11年度)

1 契約の概要

(委託契約の概要)

 帝都高速度交通営団(以下「営団」という。)では、鉄道施設の維持管理業務の一環として、営団が管理する132駅(平成11年度末現在)のうち、他の鉄道会社に委託している6駅を除く126駅の構内における床、階段等の清掃業務を委託して行っており、11年度では、23億7395万余円を支払っている。

(業務委託費の積算の基準)

 上記の駅構内清掃業務の委託費の積算に当たっては、営団本社制定の「清掃業務委託費積算要領」及び「清掃業務委託費積算基準」(以下、これらを「積算要領等」という。)に基づき算定している。
 積算要領等では、上記の業務を行うために必要な経費を直接人件費、直接経費、物件費及び一般管理費等に区分している。このうち直接人件費は、本給、賞与、諸手当、法定福利費等から構成されており、さらに、法定福利費については、厚生年金保険料、雇用保険料、労働者災害補償保険料等の事業主負担額を算定することとなっている。

(法定福利費の積算)

 上記の法定福利費については、関係法令(注) 及び積算要領等に基づき積算していた。このうち厚生年金保険料及び雇用保険料(以下「厚生年金保険料等」という。)の事業主負担額については、駅構内清掃作業に従事する者(以下「作業従事者」という。)全員を保険料の徴収対象者として、次のとおり、計1億4262万余円と積算していた。

〔1〕 厚生年金保険料

 厚生年金保険料の事業主負担額については、本給及び諸手当の合計額に、保険料率1000分の86.75を乗じて積算していた。

〔2〕 雇用保険料

 雇用保険料の事業主負担額については、本給、賞与及び諸手当の合計額に、保険料率1000分の7.5を乗じて積算していた。

 関係法令 厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号)、雇用保険法(昭和49年法律第116号)等

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 作業従事者には多数の高年齢者が見受けられている。そして、高年齢者については、関係法令により、次のとおり、その保険料が徴収の対象外となったり、その納付が免除されたりする場合がある。
〔1〕 厚生年金保険料については、65歳以上の者は被保険者の資格を喪失し、保険料徴収の対象外となる。
〔2〕 雇用保険料については、保険年度の初日(4月1日)において64歳以上の者については保険料の納付が免除される。
 そこで、法定福利費の積算が雇用の実態を反映したものとなっているかという点に着眼して検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような状況となっていた。
 作業従事者には保険料の徴収対象者に該当しない高年齢者が多数見受けられるのに、営団では、この作業従事者の年齢構成について把握していなかった。
 そこで、駅構内清掃作業に実際に従事した者の11年4月1日現在の年齢構成について調査したところ、64歳以上の者の割合は57.9%、また、65歳以上の者の割合は47.2%となっていた。
 したがって、厚生年金保険料等の事業主負担額の積算に当たっては、雇用の実態を反映させ、保険料の徴収対象者に係る分を計上すれば足りると認められた。

(低減できた積算額)

 上記により、厚生年金保険料等の事業主負担額について、保険料の徴収対象者の割合を乗じることとして修正計算すると、7401万余円となり、前記の積算額を約6860万円低減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、厚生年金保険料等の事業主負担額の積算に当たり、雇用の実態を積算要領等に反映させる配慮に欠けていたことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、営団では、12年10月に、厚生年金保険料等の事業主負担額の積算に当たり、毎年度、定期的に作業従事者の年齢構成について調査を行い、これを翌年度の積算に反映させるよう積算要領等を改める処置を講じた。