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中小企業雇用創出人材確保助成金の支給が適正でなかったもの


(252)中小企業雇用創出人材確保助成金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 一般会計(雇用保険勘定) (項)雇用安定業務費
部局等の名称 雇用・能力開発機構北海道センターほか11センター
支給の相手方 29事業主
中小企業雇用創出人材確保助成金の支給額の合計 116,888,733円 (平成11年度)
不適正支給額 74,205,666円 (平成11年度)

1 中小企業雇用創出人材確保助成金の概要

(中小企業雇用創出人材確保助成金)

 雇用・能力開発機構(平成11年9月30日以前は「雇用促進事業団」。以下「機構」という。)では、11年から、新たな事業の分野への進出又は事業の開始(以下「新分野進出等」という。)に係る改善計画について都道府県知事から認定を受け、新分野進出等に必要となる労働者(以下「対象労働者」という。)を雇い入れた中小企業者(以下「事業主」という。)に対して中小企業雇用創出人材確保助成金を支給している。この助成金は、厳しい雇用情勢が続く中、中小企業における良好な雇用の機会の創出の促進を図るため、雇用保険で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、対象労働者に支払った賃金の一部を助成するものである。

(中小企業雇用創出人材確保助成金の支給)

 支給申請の手続は、助成金の支給を受けようとする事業主が、機構の各都道府県センター(11年9月30日以前は「雇用促進事業団都道府県雇用促進センター」。以下「都道府県センター」という。)に対し、改善計画の認定を受けた後に、施設又は設備等の計画、対象労働者の雇入れ見込み数等を記載した実施計画を提出する。そして、対象労働者の雇入れ日(注1) から最初の6箇月を第1期、次の6箇月を第2期とする各期(以下「支給対象期」という。)の末日の翌日から1箇月以内に、施設又は設備等の確定した内容及び費用の額、対象労働者の氏名、雇入れ年月日等を記載した支給申請書を提出する。
 都道府県センターは、支給申請書等が支給要件に適合しているかどうかを審査して支給を決定し、これに基づいて助成金を支給することとなっている。
 支給要件及び支給額は次のとおりとなっている。
(ア) 支給要件は、〔1〕新分野進出等に伴う事業の用に供するための施設又は設備等の費用を300万円以上負担すること、〔2〕改善計画の認定日の翌日から起算して1年を限度として実施計画において定められた期間(以下「実施計画期間」という。)内に対象労働者を新たに雇い入れること、〔3〕資本的、経済的及び組織的関連性等からみて、独立性を認めることが適当でないと判断される企業からの雇入れでないことなど
(イ) 支給額は、支給対象期ごとに、支払った賃金の額に所定の支給率(注2) を乗じて得た額

(注1) 対象労働者の雇入れ日 賃金締切日が定められている場合は、雇入れ日の直後の賃金締切日の翌日
(注2) 所定の支給率 3分の1。暫定措置として対象労働者を雇い入れた日が、平成11年1月1日から13年9月30日までの間は2分の1

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道センターほか14センターから中小企業雇用創出人材確保助成金の支給を受けた事業主のうち、205事業主(支給額760,472,012円)を対象として検査を実施した。

(不適正支給の事態)

 検査したところ、北海道センターほか11センターで、29事業主に対する支給(支給額116,888,733円)のうち74,205,666円が適正に支給されていなかった。
 上記の助成金の不適正支給となっていたものの主な態様は、次のとおりである。
(ア) 施設又は設備等の費用について、実際には支払っていないのに支払ったこととするなどして申請した事業主に対して支給していたもの
(イ) 実施計画期間前に既に雇用している者を新たに雇い入れたこととして申請した事業主に対して支給していたもの
(ウ) 組織的関連性等からみて、独立しているとは認められない企業から雇い入れた者を対象労働者として申請した事業主に対して支給していたもの
 このような事態が生じていたのは、事業主が誠実でなかったなどのため支給申請書等の記載内容が事実と相違していたのに、北海道センターほか11センターにおいて、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによるものである。
 なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
 これらの不適正支給額を都道府県センター別に示すと次のとおりである。

都道府県センター名 本院が調査した事業主数 不適正受給事業主数 左の事業主に支給した中小企業雇用創出人材確保助成金 左のうち不適正中小企業雇用創出人材確保助成金
千円 千円
北海道センター 24 3 15,039 1,992
栃木センター 4 1 3,920 1,385
埼玉センター 6 1 4,142 1,364
東京センター 24 5 31,967 25,435
愛知センター 24 6 14,910 12,900
三重センター 7 1 6,001 6,001
大阪センター 24 3 16,591 8,395
兵庫センター 24 1 3,592 2,663
愛媛センター 7 1 4,212 4,212
高知センター 22 3 7,574 4,721
福岡センター 23 3 7,221 4,522
沖縄センター 4 1 1,713 611
193 29 116,888 74,205