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  • 平成11年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第18 東日本電信電話株式会社、第19 西日本電信電話株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

中継線路のメタリックケーブルの保守業務を委託するに当たり、既に光ファイバケーブル等への切替えが終了し保守の必要がないものを委託の対象から除外することにより、委託費の節減を図るよう改善させたもの


(3)(4)中継線路のメタリックケーブルの保守業務を委託するに当たり、既に光ファイバケーブル等への切替えが終了し保守の必要がないものを委託の対象から除外することにより、委託費の節減を図るよう改善させたもの

会社名 (1) 東日本電信電話株式会社
(2) 西日本電信電話株式会社
((1)及び(2)ともに平成11年6月30日以前は「日本電信電話株式会社」)
科目 (1) 営業費用
(2) 営業費用
部局等の名称 (1) 東日本電信電話株式会社本社
(2) 西日本電信電話株式会社本社
契約名 メンテナンスサービス総合業務契約
契約の概要 ケーブルや電話交換機などの電気通信設備の保守業務を行わせるもの
契約の相手方 (1) 株式会社エヌ・ティ・ティ エムイーほか2株式会社
(2) 株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー関西ほか6株式会社
契約 平成10年7月〜11年6月
平成11年7月〜12年6月
上記のうち検査対象とした契約期間 平成11年4月〜12年3月
支払額 (1) 1564億6461万余円 (平成11年度)
(2) 1512億3713万余円 (平成11年度)
上記のうち検査対象とした中継線路のメタリックケーブルの保守業務に係る支払額 (1) 4億1112万余円
(2) 2億3406万余円
節減できた委託費 (1) 2840万円 (平成11年度)
(2) 2610万円 (平成11年度)

1 ケーブルの保守業務及び切替工事の概要

(保守業務の委託)

 東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)では、安定的な電気通信役務の提供を確保することを目的として、ケーブルや電話交換機などの電気通信設備の故障修理、維持・補修等の保守業務などを委託して実施するため、毎年7月からの1年間を契約期間として委託契約を締結している。そして、平成11年度に委託費として、NTT東日本では総額1564億6461万余円、NTT西日本では総額1512億3713万余円を支払っている。

(委託費の算定方法)

 両会社では、上記の委託費を、各支店の固定資産簿に登載された電気通信設備の数に設備の種類に応じて定めた単価を乗じるなどして算定している。
 この設備数の把握には相当の事務量及び期間を必要とするため、設備数は毎年3月末及び9月末現在の年2回確認を行うことにより把握し、これにより把握した3月末現在の設備数はその年の7月から12月までの、また9月末現在の設備数は翌年の1月から6月までの委託費を算定する際に、それぞれ用いることとしている。このことから、11年度(11年4月〜12年3月)の設備数は、11年4月から6月まで、7月から12月まで、12年1月から3月までの3期間ごとに異なる結果となっている。

(ケーブルの切替工事)

 両会社では、電気通信設備が設置されている機械棟相互間を接続している中継線路のメタリックケーブル(以下「中継メタルケーブル」という。)について、これに収容されているアナログ回線などを光ファイバケーブル等に順次収容替えするための切替工事を実施している。そして、中継メタルケーブルに収容されているすべての回線について切替工事が終了し再利用の予定がない場合には、その後撤去工事を実施し、固定資産簿から除却することとなっている。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 両会社では、通信基盤の整備に伴い切替工事を多数実施している。そして、切替工事を実施している中継メタルケーブルも前記の委託契約の対象としていることから、委託費の算定が適切に行われているかに着眼して検査した。

(検査の対象)

 NTT東日本の東京支店ほか16支店(注1) 及びNTT西日本の京都支店ほか18支店(注2) において、11年度の委託契約の対象となった中継メタルケーブル(ケーブル延長は、NTT東日本で11年4月から6月までは29,237km、7月から12月までは23,288㎞、12年1月から3月までは22,921㎞。NTT西日本でそれぞれ24,243㎞、19,196㎞、18,098㎞)を対象として、これに係る委託費それぞれ4億1112万余円、2億3406万余円について検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、上記の委託契約の対象には、既に切替工事が終了したメタルケーブルが、上記の期間ごとにNTT東日本で4,119㎞、809㎞、1,798㎞、NTT西日本で2,866㎞、1,350㎞、2,833㎞含まれていた。これらはいずれも再利用の予定がないものであり、撤去工事が終了していないために固定資産簿から除却されていないものの、切替工事が終了した時点で保守の必要がなくなっている状況であった。
 したがって、このようなメタルケーブルについては、固定資産簿からの除却を待つことなく、委託契約の対象から除外して委託費を算定する必要があると認められた。

(節減できた委託費)

 上記の委託費について、3月末及び9月末現在で固定資産簿に登載された中継メタルケーブルの延長から切替工事が終了して再利用の予定がないメタルケーブルの延長を除外して計算すると、委託費はNTT東日本で3億8264万余円、NTT西日本で2億0790万余円となり、それぞれ約2840万円、約2610万円節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、委託契約の対象に保守業務を実施する必要がなくなっているものが含まれているにもかかわらず、このことに対する認識が十分でなかったため、固定資産簿登載の中継メタルケーブルの延長をそのまま用いて委託費を算定していたことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、NTT東日本では12年10月に、NTT西日本では同年9月に各支店に対して指示文書を発し、すべての回線について切替工事が終了し再利用の予定がない中継メタルケーブルについては、委託契約の対象となる設備数から除外することとし、保守業務に係る委託費の節減を図る処置を講じた。

(注1)
 東京支店ほか16支店  東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨、長野、新潟、宮城、福島、岩手、青森、山形、秋田、北海道各支店
(注2)
 京都支店ほか18支店  京都、滋賀、名古屋、静岡、三重、富山、福井、鳥取、岡山、愛媛、香川、徳島、高知、福岡、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄各支店