会社名 | (1) | 東日本電信電話株式会社 |
(2) | 西日本電信電話株式会社 |
科目 | (1) | 営業費用 |
(2) | 営業費用 | |
部局等の名称 | (1) | 東日本電信電話株式会社本社 |
(2) | 西日本電信電話株式会社本社 |
請求書等各種郵便物の郵便料金 | (1) | 161億5115万余円 | (平成11年度) |
(2) | 161億5825万余円 | (平成11年度) | |
節減できた郵便料金 | (1) | 3240万円 | (平成11年度) |
(2) | 4110万円 | (平成11年度) |
1 請求書等各種郵便物の概要
東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)では、加入電話契約者等(以下「契約者等」という。)に対し、電話料金等の請求・催促、各種商品・サービスの広告等に係る各種の郵便物を多数郵送している。
(1) 電話料金等の請求・催促に係る郵便物について
ア 請求書等について
両会社では、契約者等に対し電話料金等を毎月請求するために、請求書又は口座振替事前案内書兼領収書(以下、両者を合わせて「請求書等」という。)をそれぞれ封書により郵送している。
両会社では、上記請求書等の印刷から郵便局への運搬、差出しまでの業務を委託して実施しており、顧客情報等を管理している顧客サービス統合システム(Customer Service Total System。以下「CUSTOM」という。)の料金情報等に基づき委託先の請求書発行センタにおいて作成した請求書等を、次の方法で郵送している。
(ア) 同一の郵便区(郵便局の配達区域の単位)内に100通以上を郵送する場合は、同センタから当該郵便区を担当する郵便局へ運搬し市内特別郵便物(注1) として差し出す。
(イ) 同一の郵便区に100通未満を郵送する場合は、同センタ最寄りの郵便局に差し出す。
請求書等に係る郵便物の差出通数は、平成11年度においてNTT東日本では3億0898万余通(うち市内特別郵便物2億9183万余通)、NTT西日本では3億1779万余通(同2億9417万余通)となっており、その郵便料金については、各郵便局からの請求に基づき、NTT東日本の東京支店料金業務センタほか5センタ(注2) 及びNTT西日本の大阪支店料金サポートセンタほか6センタ(注3) (以下、これらを「料金業務センタ」という。)で支払っている。
イ 支払依頼書等について
各支店では、未納者に対し、文書による催促業務を実施しており、次の方法で郵送している。
(ア) 各支店等の窓口で支払うこととしていた者に対しては、支払を催促する旨を記載した支払依頼書をはがきにより郵送する。この支払依頼書は、各支店においてCUSTOMの料金情報等に基づき作成している。そして、各支店では支払依頼書が市内特別郵便物の対象とならないはがきであるため、支店最寄りの郵便局に差し出している。
(イ) 金融機関の口座振替により支払うこととしていた者に対しては、振替不能請求書に支払を催促する旨を記載した文書を同封し、封書により郵送する。この振替不能請求書は、請求書発行センタにおいてCUSTOMの料金情報等に基づき作成し、各支店へ運搬している。そして、各支店では管内の各郵便局へ運搬する作業・経費等を考慮して、そのほとんどを市内特別郵便物の取扱いをしないで最寄りの郵便局に差し出している。
支払依頼書及び振替不能請求書(以下、両者を合わせて「支払依頼書等」という。)に係る郵便物の差出通数は、11年度においてNTT東日本の東京支店ほか16支店(注4)
では、支払依頼書1269万余通、振替不能請求書302万余通、計1571万余通、NTT西日本の大阪支店ほか29支店(注5)
では、それぞれ988万余通、311万余通、計1300万余通となっており、その郵便料金については、各郵便局からの請求に基づいて各支店で支払っている。
(2) 各種商品・サービスの広告等に係る郵便物(ダイレクトメール)について
各支店では、契約者等に対し、各種商品・サービスの販売を促進するため、各種のダイレクトメールを作成し、郵送している。各支店が最寄りの郵便局に差し出しているダイレクトメールに係る郵便物の差出通数は、11年度においてNTT東日本の東京支店ほか16支店では570万余通、NTT西日本の大阪支店ほか27支店(注6) では402万余通となっており、その郵便料金については、各郵便局からの請求に基づいて各支店で支払っている。
郵便料金には、一定の条件に該当するときに通常の郵便料金を割り引くことなどとする各種の割引制度が定められている。そして、これらの割引制度の中には次のようなものがある。
(1) バーコード割引
バーコード割引は、受取人の住所等に係るバーコード(以下「住所バーコード」という。)を、差出人が郵政省の定めた方法により定形の封書又ははがきに印字し、市内特別郵便物として取り扱う郵便物(請求書等)は100通以上を、市内特別郵便物として取り扱わない郵便物(支払依頼書等)は1,000通以上を同時に差し出すなどの条件を満たす場合に適用される割引制度である。この割引は、市内特別郵便物については、郵政省により官報に告示された郵便局(以下「告示局」という。)での取扱いに限定されており、通常の市内特別郵便物の料金より更に低額の料金が適用され、また、市内特別郵便物以外の郵便物については、郵便料金の合計額に5%を乗じて得た金額が割り引かれることとなっている。
(2) 広告郵便割引
広告郵便割引は、商品の広告、営業活動に関する広告を目的として作成した同一内容のダイレクトメールについて、封書又ははがきにより、同時に2,000通以上を郵便区ごとに区分して差し出すなどの条件を満たす場合に適用される割引制度である。この割引は、事前に広告郵便物として取扱郵便局の承認を受けることとなっており、その割引率は1回又は1箇月間の差出通数に応じて15%から40%(往復はがきの場合にはその2分の1の率)となっている。
2 検査の結果
両会社では、前記のように契約者等に多数の郵便物を郵送している。一方、郵政省では近年、郵便需要の変化に対応したサービスの一環として、各種郵便料金の割引制度の適用範囲について拡大を図ってきている。このことから、両会社において、前記の郵便料金の割引制度を活用することにより経費の節減が図られているかなどに着眼して検査した。
NTT東日本については、〔1〕東京支店料金業務センタほか5センタが郵便料金を支払った請求書等のうち大部分を占める市内特別郵便物として郵送したもの2億9183万余通、〔2〕東京支店ほか16支店が郵送した支払依頼書等のうち1回の差出通数が1,000通以上のもの1325万余通、〔3〕東京支店ほか15支店(注7)
が郵送したダイレクトメールのうち1回の差出通数が2,000通以上のもの431万余通、計3億0940万余通、これらに係る郵便料金計161億5115万余円を対象として検査した。
また、NTT西日本については、同様に、〔1〕大阪支店料金サポートセンタほか6センタが郵便料金を支払った請求書等2億9417万余通、〔2〕大阪支店ほか29支店が郵送した支払依頼書等1150万余通、〔3〕大阪支店ほか23支店(注8)
が郵送したダイレクトメール308万余通、計3億0876万余通、これらに係る郵便料金計161億5825万余円を対象として検査した。
検査したところ、上記の各郵便物について、次のような事態が見受けられた。
(1) 請求書等及び支払依頼書等について
両会社では、郵政省が新郵便番号制の導入に伴い10年2月に創設したバーコード割引制度に対応するため、11年1月以降差し出す請求書等及び支払依頼書等について、住所欄に住所バーコードを印字できるようCUSTOMの改良を行った。これにより、告示局に市内特別郵便物として差し出す請求書等は、告示局をCUSTOMに登録すれば、住所バーコードが印字されることになっている。また、市内特別郵便物として取り扱わない支払依頼書等は、各支店の最寄りの郵便局でバーコード割引が利用できることから、住所バーコードが印字されることになっている。
ア 請求書等について
両会社における告示局のCUSTOMへの登録状況を検査したところ、両会社では、9年12月から10年8月までの間に告示された東京中央郵便局ほか238郵便局は登録していたが、その後の11年1月から12年3月までの間に順次告示された田無郵便局ほか211郵便局については、告示局の拡大状況を把握していなかったため登録を行っていなかった。
このため、これら郵便局に市内特別郵便物として差し出した請求書等のうち、NTT東日本が田無郵便局ほか60郵便局に差し出した139万9448通及びNTT西日本が淀川郵便局ほか105郵便局に差し出した284万5845通については、11年度において、バーコード割引を利用することができるのに、これを利用していなかった。
イ 支払依頼書等について
バーコード割引の利用状況について検査したところ、NTT東日本の東京支店ほか10支店(注9) が差し出した支払依頼書等292万3756通及びNTT西日本の大阪支店ほか28支店(注10) が差し出した629万2265通に住所バーコードが印字されているのに、バーコード割引の制度を利用していなかった。
(2) ダイレクトメールについて
ダイレクトメールの広告郵便割引の利用状況について検査したところ、NTT東日本の東京支店ほか15支店が差し出した138万6420通及びNTT西日本の大阪支店ほか18支店(注11) が差し出した112万1728通については、広告を目的として作成した同一内容のものであるから、広告郵便割引を利用することができるのに、事前に郵便局に対し広告郵便物としての承認申請を行っていないことから、これを利用していなかった。
前記の郵便物について、それぞれ郵便料金の割引制度を利用していたとすれば、NTT東日本では、請求書等については約410万円、支払依頼書等については約860万円、ダイレクトメールについては約1960万円、計約3240万円、NTT西日本では、それぞれ約850万円、約1700万円、約1560万円、計約4110万円の郵便料金が節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められた。
(1) 請求書等及び支払依頼書等について
ア 請求書等について
本社において、市内特別郵便物に係るバーコード割引を取り扱う郵便局について、郵政省の告示を把握し、CUSTOMへの登録を行う体制を整備していなかったこと
イ 支払依頼書等について
本社において、各支店に対し、バーコード割引の活用について十分に周知していなかったこと、また、支店において、バーコード割引の制度についての認識が十分でなかったこと
(2) ダイレクトメールについて
本社において、各支店に対し、広告郵便割引の活用について十分に周知していなかったこと、また、支店において、広告郵便割引の制度についての認識が十分でなかったこと
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、両会社では、12年10月に、各支店に対して指示文書を発し、次のとおり、請求書等各種郵便物の郵送について郵便料金の割引制度を活用することにより経費の節減を図る処置を講じた。
(1) 請求書等及び支払依頼書等について
ア 請求書等について、料金業務センタにおいて郵政省に対し定期的に告示状況を確認するなどして、速やかに告示局を把握し、CUSTOMに登録する体制を整備して、バーコード割引の利用を図ることとした。
イ 支払依頼書等について、支店においてバーコード割引の適用条件を確認して、バーコード割引の利用の徹底を図ることとした。
(2) ダイレクトメールについて、支店において広告郵便割引の適用条件を検討のうえ、事前に郵便局の承認を受けて広告郵便割引の利用の徹底を図ることとした。
(注2) | 東京支店料金業務センタほか5センタ 東京支店料金業務センタ、神奈川支店料金業務センタ、埼玉支店料金センタ、長野支店料金業務センタ、宮城支店料金業務センタ、北海道支店札幌料金センタ |
(注3) | 大阪支店料金サポートセンタほか6センタ 大阪支店料金サポートセンタ、名古屋支店料金サービスセンタ、静岡支店料金部門、金沢支店コレクティングセンタ、愛媛支店料金サービスセンタ、広島支店料金エリアサポートセンタ、福岡支店料金エリアサポートセンタ |
(注4) | 東京支店ほか16支店 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨、長野、新潟、宮城、福島、岩手、青森、山形、秋田、北海道各支店 |
(注5) | 大阪支店ほか29支店 大阪、京都、神戸、奈良、滋賀、和歌山、名古屋、静岡、岐阜、三重、金沢、富山、福井、広島、鳥取、島根、岡山、山口、愛媛、香川、徳島、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄各支店 |
(注6) | 大阪支店ほか27支店 (注5)のうち、高知、宮崎各支店を除く |
(注7) | 東京支店ほか15支店 (注4)のうち、秋田支店を除く |
(注8) | 大阪支店ほか23支店 (注5)のうち、滋賀、三重、島根、山口、高知、宮崎各支店を除く |
(注9) | 東京支店ほか10支店 (注4)のうち、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨各支店を除く |
(注10) | 大阪支店ほか28支店 (注5)のうち、岐阜支店を除く |
(注11) | 大阪支店ほか18支店 (注5)のうち、京都、滋賀、和歌山、金沢、鳥取、島根、山口、高知、佐賀、大分、宮崎各支店を除く |