この事業団は、次の業務等を行うことにより中小企業の振興、小規模企業者の福祉の増進及び中小企業の経営の安定に寄与することなどを目的として設置されているものである。
(ア) 中小企業構造の高度化及び中小企業の新事業の開拓を促進するために必要な指導、資金の貸付け、出資及び助成等の事業を総合的に実施し、併せて中小企業の経営管理の合理化及び技術の向上を図るために必要な研修、指導等の事業を行う業務
(イ) 中小企業に対する事業資金の融通を円滑にするために債務の保証等についての保険及び信用保証協会に対する資金の貸付けを行うなどの業務
(ウ) 小規模企業共済法(昭和40年法律第102号)及び中小企業倒産防止共済法(昭和52年法律第84号)による共済制度の運営等を行う業務
(エ) 新事業創出促進法(平成10年法律第152号)による創業促進に関する業務
このうち、同事業団信用保険部門
で実施している上記(イ)を除く業務に関する収入支出決算等についてみると、次のとおりである。
その資本金は11事業年度(注1)
末現在で1兆2576億9611万余円(全額国の出資)となっている。
同事業団の会計は、高度化、新事業開拓促進及び指導研修勘定、小規模企業共済勘定並びに中小企業倒産防止共済勘定の3勘定に区分して経理されている。
なお、同事業団は、11年7月1日、中小企業総合事業団法(平成11年法律第19号)附則第5条、第6条及び第7条の規定により解散した中小企業信用保険公庫、繊維産業構造改善事業協会及び中小企業事業団の一切の権利及び義務を承継(注2)
して設立されたものである。
(注1) | 中小企業総合事業団の11事業年度は、11年7月1日から12年3月31日までである。 |
(注2) | この承継に係る中小企業信用保険公庫、繊維産業構造改善事業協会及び中小企業事業団の貸借対照表上の資産、負債及び資本は次のとおりである。 |
(1) 中小企業信用保険公庫
現金預け金等の資産1兆6930億6508万余円、支払備金等の負債1425億0224万余円及び政府出資金等の資本1兆5505億6283万余円
(2) 繊維産業構造改善事業協会
(ア) 信用基金勘定の資産78億4577万余円、負債39億3387万余円及び資本39億1190万余円
(イ) 振興基金勘定の資産128億7877万余円、資本128億7877万余円
(ウ) 人材育成基金勘定の資産3億0818万余円、負債121万円及び資本3億0697万余円
(エ) 業務勘定の資産3億6825万余円、負債3億8445万余円及び資本△1620万余円
(3) 中小企業事業団
(ア) 小規模企業共済勘定の資産6兆9877億8855万余円、負債7兆0264億4402万余円及び資本△386億5546万余円
(イ) 中小企業倒産防止共済勘定の資産7571億9794万余円、負債7101億9890万余円及び資本469億9903万余円
(ウ) 高度化、創業促進及び指導研修勘定の資産1兆5965億4802万余円、負債2034億4523万余円及び資本1兆3931億0278万余円
同事業団の勘定別の11事業年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。
(高度化、新事業開拓促進及び指導研修勘定)
1 収入支出決算
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
(収入) | ||
収入決定済額 | 128,877,126 | |
(支出) | ||
支出予算現額 | 291,650,126 | |
支出決定済額 | 110,039,381 | |
翌事業年度繰越額 | 44,166,240 | |
不用額 | 137,444,504 |
翌事業年度繰越額の主なものは、貸付金(支出予算現額1904億9457万余円)の231億8806万円、出資金(同303億円)の180億5000万円及び創業・ベンチャー・経営革新支援拠点体制整備事業費(同38億6538万余円)の16億1254万余円である。また、不用額の主なものは、貸付金の1135億8423万余円、出資金の98億7800万円及び助成金(同40億円)の30億9140万円である。
2 損益
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
経常収益 | 93,308,898 | |
(うち貸付事業収入) | (10,963,828) | |
経常費用 | 91,772,898 | |
(うち貸付事業費) | (7,016,218) | |
特別損失 | 256,769 | |
当期利益金 | 1,279,230 | |
(利益金の処理) | ||
翌事業年度に新事業開拓促進資金に繰入 | 1,200,000 | |
翌事業年度に積立金として整理 | 79,230 |
3 借入金等
区分 | 11事業年度末 | |
千円 | ||
借入金残高 | 15,796,674 | |
(都道府県等) | ||
中小企業総合事業団債券発行残高 | 166,560,000 | |
積立金残高 | 32,507,158 |
4 主な業務実績
(1) 貸付業務 | |||
区分 | 11事業年度 | ||
貸付け | 件数 | 209件 | |
金額 | 53,722,280千円 | ||
貸付金回収等 | 金額 | 76,389,942千円 | |
(うち貸付金償却) | (746,226千円) | ||
事業年度末貸付金残高 | 件数 | 6,580件 | |
金額 | 1,142,118,114千円 | ||
上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に事業団において開示している債権 | |||
破綻先債権 | 16,405,153千円 | ||
延滞債権 | 25,626,155千円 | ||
3カ月以上延滞債権 | 8,224,776千円 | ||
貸出条件緩和債権 | 82,379,034千円 | ||
計 | 132,635,119千円 | ||
貸倒引当金 | 57,105,905千円 | ||
(貸倒引当金計上率)(注) | (50/1000) | ||
(注) 貸倒引当金に計上する金額は、当該事業年度末における貸付金残高に50/1000を乗じて得た金額とされている。 | |||
(2) 出資業務 | |||
区分 | 11事業年度 | ||
出資 | 会社数 | 4社 | |
件数 | 4件 | ||
金額 | 2,372,000千円 | ||
事業年度末出資金残高 | 会社数 | 44社 | |
件数 | 46件 | ||
金額 | 12,737,417千円 |
(小規模企業共済勘定)
1 収入支出決算
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
(収入) | ||
収入決定済額 | 1,177,945,545 | |
(支出) | ||
支出予算現額 | 1,197,919,576 | |
支出決定済額 | 946,650,251 | |
不用額 | 251,269,324 |
不用額の主なものは、貸付金(支出予算現額6066億3087万余円)の2124億1045万余円、借入金償還(同2146億2048万余円)の274億1546万余円及び共済金(同2965億7048万余円)の29億8590万余円である。
2 損益
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
経常収益 | 7,602,248,863 | |
(うち共済事業収入) | (595,421,048) | |
経常費用 | 7,865,401,261 | |
(うち共済事業費) | (353,129,077) | |
当期損失金 | 263,153,119 | |
(損失金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金として整理 | 263,153,119 | |
(繰越欠損金 | 54,173,468) |
3 責任準備金
区分 | 11事業年度末 | |
千円 | ||
責任準備金残高 | 7,505,555,040 |
4 主な業務実績
区分 | 11事業年度 | ||
共済契約 | 契約件数 | 66,660件 | |
事業年度末契約件数 | 2,057,361件 | ||
共済金の支払 | 件数 | 40,165件 | |
金額 | 293,584,578千円 | ||
貸付け | 件数 | 88,592件 | |
金額 | 193,603,310千円 | ||
貸付金回収 | 金額 | 176,539,246千円 | |
事業年度末貸付金残高 | 件数 | 95,654件 | |
金額 | 194,163,726千円 |
(中小企業倒産防止共済勘定)
1 収入支出決算
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
(収入) | ||
収入決定済額 | 150,013,691 | |
(支出) | ||
支出予算現額 | 243,139,698 | |
支出決定済額 | 126,523,493 | |
不用額 | 116,616,204 |
不用額の主なものは、貸付金(支出予算現額1758億7040万円)の1058億4550万円及び解約手当金(同452億5575万余円)の98億2935万余円である。
2 損益
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
経常収益 | 734,226,192 | |
(うち共済事業収入) | (49,478,597) | |
経常費用 | 734,243,345 | |
(うち共済事業費) | (36,678,228) | |
当期損失金 | 17,351 | |
(損失金の処理) | ||
翌事業年度に積立金を減額整理 | 17,351 |
3 倒産防止共済基金等
区分 | 11事業年度末 | |
千円 | ||
倒産防止共済基金残高 | 671,032,559 | |
積立金残高 | 490,037 |
4 主な業務実績
区分 | 11事業年度 | ||
共済契約 | 契約件数 | 14,594件 | |
事業年度末契約件数 | 430,020件 | ||
貸付け | 件数 | 16,257件 | |
金額 | 70,024,900千円 | ||
貸付金回収等 | 金額 | 86,113,985千円 | |
(うち貸付金償却) | (6,959,205千円) | ||
事業年度末貸付金残高 | 件数 | 86,141件 | |
金額 | 368,549,308千円 | ||
上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に事業団において開示している債権 | |||
破綻先債権 | 47,087,215千円 | ||
延滞債権 | 37,978,377千円 | ||
3カ月以上延滞債権 | 7,345,777千円 | ||
貸出条件緩和債権 | 27,124,085千円 | ||
計 | 119,535,455千円 | ||
貸倒引当金 | 17,506,888千円 | ||
(貸倒引当金計上率)(注) | (5/100) | ||
(注) 中小企業倒産防止共済勘定の貸付金には共済貸付金、一時貸付金がある。共済貸付金の貸倒引当金に計上する金額は、当該事業年度末における貸付金残高に5/100を乗じて得た金額とされている。なお、一時貸付金の貸倒引当金は設定されていない。 |