ア 国会決議
この項目に関する参議院行政監視委員会の決議は次のとおりである。
イ 検査の内容
本院では、国会決議を踏まえ、インドネシアリベート問題について本院の立場から検査を実施するとともに、同問題を含めた過去のODA不正事案を踏まえ、外務省等の援助実施機関が再発防止のため、法令及び体制の整備、民間業者・被援助国に対する趣旨の徹底・情報開示等に関してどのような取組みを行っているかについて検査した。
また、12年5月以降にODA事業の現地調査を実施した5箇国において、在外公館が不正防止に関し被援助国に対してどのような働きかけを行ったか検査するとともに、被援助国としてはどのような取組みを行っているかについても調査した。
ア 過去のODA不正事案
過去、ODA事業を巡って数々の不正・腐敗の疑惑が取り上げられてきた。それらのうちには疑惑に終始したものもあったが、外務省等の援助実施機関による調査あるいは公正取引委員会による審査が実施され、その結果不正又は不適正な事態が判明したものもある。それら過去のODAに関する不正事案のうち、本院が決算検査報告で取り上げた事案を挙げると次のとおりである。
(ア)ODA資機材供給業者による独占禁止法違反事件
公正取引委員会は、7年3月、ODA資機材供給業者による下記の行為について、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)に違反するとして排除措置を命じた。
〔1〕 事業団が指名競争入札により発注する技術協力の実施等のために供与される機材について、指名業者37社が、あらかじめ受注予定者を決定し、当該受注予定者が受注できるようにしていた行為
〔2〕 水産無償援助案件において、漁網製造業者5社が、被援助国に供与される漁網等を、同国に代わってコンサルタント会社が行う一般競争入札に参加する企業に納入する際、見積価格を相互に調整するとともに、納入予定者を事前に決定し、当該納入予定者が納入できるようにしていた行為
このような事態を踏まえ、本院では、事業団の機材調達に係る予定価格の算定及び契約事務の執行について重点的に検査を行った(平成6年度決算検査報告・特定検査対象に関する検査状況)。
(イ)ブータン問題
外務省は、10年11月、ブータン王国の国内通信網整備事業に対する無償資金協力において、24項目にわたる計画の無断変更が行われていたとする調査結果を公表した。外務省では、このうち5項目に係る金額については無償資金協力の対象としないこととする措置を執る一方、同種事態の再発を防止するため、実施段階での計画変更に係る外務省への事前協議の徹底、抜き打ち的な現場調査の実施等の改善策を講じることとした。
このような事態は無償資金協力事業のあり方にも関わる問題であることから、本院としてその検査を行い、平成10年度決算検査報告において、外務省が講じた再発防止策は関係者がルールに従わずに行動した場合にはこれに十分対応できるとは言い難く、外務省においては事業実施体制の改善に更に取り組むことが必要である旨を記述し、報告した。
イ インドネシアリベート問題
インドネシアにおけるリベート問題については、国会決議においても言及されているが、その概要及び本院の検査結果は次のとおりである。
(ア)リベート問題の概要
この問題は、ジャカルタ及びその近郊における鉄道輸送力の増強を目的として車両調達、車両工場改修、高架建設等を行う円借款事業「ジャボタベック圏鉄道近代化事業」において、我が国の建設業者が現地の仲介業者を介して、受注工作としてリベートを相手国大統領周辺や所管官庁幹部に支払っていたと報道されたものである。また、バンドン工科大学の教育研究棟及び教育資材の整備を行う円借款事業「バンドン工科大学整備事業」においても、同様の事態があったと報道された。
外務省及び旧海外経済協力基金(以下「基金」という。)において、リベートを支払ったとされる企業2社に対して事情聴取を行ったが、いずれも報道されたリベート支払の事実を否定している。
(イ)本院の検査結果
(検査の着眼点)
本件に関し、外務省では、上記のとおり2社からリベート支払の有無について聴取するとともに、11年4月、在インドネシア大使館を通じて、事実関係の調査を相手国政府に申し入れている。
一方、本院は、我が国援助実施機関である銀行に対して検査権限を有するが、円借款事業における契約の当事者である相手国及び契約企業に対しては検査権限が及ばないことから、リベート支払の事実の有無について直接検査することは困難である。
そこで、本院では当該円借款事業について、入札、契約等の各段階で行うこととされている基金の確認手続が適切に行われたかを検査した。
その結果は次のとおりである。
(調達手続の各段階における確認)
基金では、円借款事業における調達手続が、開発事業を実施するための物資及びサービスの調達に当たって従うべき一般原則を定めた調達ガイドラインに沿ったものであるかどうかについて確認することとされていた。
この確認は、相手国側との借款契約等に規定されているところにより、原則として、事前資格審査の方法、事前資格審査の結果、入札図書の内容、入札結果の評価、契約書類の内容等について、相手国側から提出された書類に基づき行うことになっていた。
今回、問題とされた事業のすべての契約について、基金の確認が十分に行われたかを資料に基づいて確認することは時間的に困難であったことから、「ジャボタベック圏鉄道近代化事業」のうち第5期B-3工区を対象として、銀行に保存されている関係書類の提示を受け、これを検査した。
(第5期B-3工区に係る確認状況)
問題とされた契約は国際競争入札によっており、その調達手続について、基金の確認状況を時系列に沿って示すと次のとおりである。
〔1〕 昭和61年9月、入札参加を希望している企業が技術的、財務的に事業遂行が可能かを確認するための事前資格審査に当たり参加企業に交付される工事内容等を示した書類について、調達ガイドラインに沿うものと確認し、相手国側に通知した。
〔2〕 62年2月、申請のあった33社のうち15社が資格要件を備えているとする事前資格審査の結果について、調達ガイドラインに沿うものと確認し、相手国側に通知した。
〔3〕 同年同月、入札図書が調達ガイドラインに沿うものと確認し、相手国側に通知した。
〔4〕 同年12月、相手国側の行った入札評価について、調達ガイドラインに沿うものと確認し、相手国側に通知した。
〔5〕 63年3月、相手国側と落札者とされた建設業者との契約書について、調達ガイドラインに沿うものと確認し、相手国側に通知した。
(基金の確認手続の適否)
基金の確認は、円借款事業に係る調達手続が調達ガイドラインに沿ったものであるかについて行われるものであり、リベートの支払等の事実を発見できるような内容になってはいない。しかし、本院の検査した限りでは、上記のとおり、基金の確認は借款契約等に定められているところにより行われており、この確認について適切でない事態は見受けられなかった。
なお、〔4〕の入札評価に関しては、落札者とされた建設業者の入札額が応札者の中で最低の価格ではなかったが、基金の確認の経緯は次のとおりである。
すなわち、相手国側から基金に提出された入札評価報告書においては、入札価格が第1順位かち第3順位までの者について、施工方法等複数の要素をそれぞれ点数化して比較したうえ、第1順位及び第2順位の者の応札内容は、入札図書で要求している技術仕様に合致しておらず技術的に問題があるとして不適格とし、入札価格では第3順位であった建設業者を落札者としている。
基金では、この入札評価について、その方法が調達ガイドラインに沿うものであるかどうかを本件円借款事業の担当部局において、また、工法等技術面における評価内容が合理的なものであるかどうかを技術者が配置されている部局において、それぞれ確認することとした。その結果、基金では、第1順位及び第2順位の者の応札内容に技術的に問題があるとする相手国の入札評価は、本工事における工法の重要性からみて合理的なものであり、第3順位の建設業者を落札者とすることは調達ガイドラインに沿うものであると判断した。
この入札のほかにも、ジャボタベック圏鉄道近代化事業の第5期から第7期までの11工区に係る入札のうち、最低価格入札者以外の者が落札者となっている例が3つの工区の入札で見受けられるが、基金では、いずれも同様の手続を経て、調達ガイドラインに沿うものと判断している。
(相手国政府による調査の進ちょく状況)
本院では、平成12年6月に行ったインドネシアにおけるODA事業の現地調査の際、在インドネシア大使館の協力を得て、同国のODAの受入機関であるインドネシア国家開発企画庁を訪問し、本件リベート問題に関する調査の進ちょく状況等を聴取したが、調査継続中であり正式回答できる段階にはないとのことであった。
ア 法令及び体制の整備
不正防止に関しては、ODA大綱において、ODAの効果的実施のための方策として、我が国のODAを巡って不正や腐敗を惹起しないよう十分配慮することとされており、これまでにも不正事案が発生する都度何らかの再発防止措置が執られ、法令及び体制の整備が進められてきている。最近の状況は次のとおりである。
(ア)援助関連文書への汚職防止条項の導入
経済協力開発機構(OECD)のDAC上級会合は、8年5月、援助に関する調達について、援助関連文書への汚職防止条項の導入に関する勧告を採択した。我が国では、10年度の案件から、交換公文の附属文書に反汚職条項を規定することにより、交換公文に従来から規定されている適正使用条項が汚職防止の趣旨を含むことを明示した。
(イ)不正競争防止法の改正
国際的な商取引に際して外国公務員への不正利益供与を防止すべきとの国際的な議論の高まりを受け、OECDにおいて外国公務員への贈賄防止に向けた条約交渉が開始され、9年12月、我が国を含む33箇国が「国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約」に署名した。
我が国においては、条約の署名以来、条約の承認及び国内実施法の制定に関する検討が進められ、10年4月、条約と併せ「不正競争防止法の一部を改正する法律案」が国会に提出された。上記の条約は同年5月に国会の承認を受け、また、法律は同年9月に成立した。そして、11年2月の条約発効と同時に法律も施行されている。
改正された不正競争防止法では、営業上の不正の利益を得るために行う、外国公務員等の職務に関する作為、不作為又は他の外国公務員等の作為、不作為のあっせんをさせることを目的とした、外国公務員等に対する利益の供与、その申込み又はその約束を禁止している。そして、これに違反した者に対しては3年以下の懲役又は300万円以下の罰金を、また、法人の代表者、代理人、使用人、従業員等が当該法人の業務に関して違反行為をしたときは、その行為者自身を罰するだけでなく、当該法人に対して3億円以下の罰金を科すこととなっている。
この法律の施行により、これまで処罰されることがなかった外国公務員等への贈賄行為が犯罪とされることとなった。
(ウ)ブータン問題を踏まえた改善措置
(外務省が執るとしていた措置)
外務省では、ブータンにおける無償資金協力事業で調達機材の無断変更等の問題が発生したことを踏まえ、同種事態の再発を防止し、無償資金協力事業の一層の適正かつ効率的な実施を確保するため、10年11月、次のような改善措置を執ることとした。
〔1〕 変更報告に係るルールの明確化
事業実施段階における内容の変更についてのルールを明確にし、被援助国政府及びコンサルタントに徹底するため、「交換公文署名後の当初計画からの変更に関し、被援助国政府はコンサルタントを代理人として、国際協力事業団を通じ日本国政府に必ず事前協議を行い、その承認を得る」こととし、その旨を交換公文の附属文書及び事業団制定の無償資金協力に係る調達ガイドラインに明記する。
〔2〕 コンサルタントによる事業団への報告の精緻化
調達ガイドラインを改正し、コンサルタントは、事業実施の各段階において、事業実施に変更がないことについて被援助国政府の確認を得た上で、事業団に報告するものとする。
〔3〕 コンサルタントに対するチェック体制の強化
a コンサルタントが行っている契約書と調達機材の照合・確認に加え、監査法人等の第三者機関もこれを行う仕組みを導入する。
b 事業実施段階における調査・モニターを強化するため、事業団による抜き打ち的な調査、完了時の調査を一層充実する。
〔4〕 事前の調査の精緻化
広域案件等について、長期の調査期間を確保し、関係サイト調査及び詳細情報収集を一層充実する。
〔5〕 被援助国政府の義務の確認・明確化
a 上記〔1〕と同様
b 上記〔2〕と同様
c 交換公文の附属文書に、交換公文の適正使用条項が汚職防止の趣旨を含むことを明記する。
d 被援助国政府が請負業者等から現金等を受領して調達を行うことは交換公文の規定に違反するものである旨を、交換公文の附属文書、調達ガイドライン及び被援助国政府と調達業者間の契約書に明記する。
〔6〕 透明性、情報公開
入札過程等に関する情報公開については、ODA全体の透明性の見直しの中で引き続き検討を進める。
(改善措置の状況)
外務省が執るとしていた上記の改善措置のうち、〔1〕、〔2〕、〔5〕a、b、dについては、交換公文の附属文書及び調達ガイドラインに関わる事項である。これらについては、12年10月に、交換公文の附属文書の雛形及び調達ガイドラインが改訂された。
(エ)銀行の調達ガイドライン等の改訂等
(ガイドラインの改訂)
前記のとおり、基金では、円借款事業における調達手続が、開発事業を実施するための物資及びサービスの調達に当たって従うべき一般原則を定めた調達ガイドラインに沿ったものであるかどうかについて確認することとし、そのガイドラインの遵守を借入人に求め事業の適正な執行を図ることとしていた。そして、OECDの贈賄禁止条約の承認及び不正競争防止法の改正並びにインドネシアリベート問題等を契機として、調達ガイドラインをより不正の防止効果の高いものにするため、11年9月、不適正調達条項を新たに盛り込み、同年10月、銀行において同ガイドラインを継承した。
新たな調達ガイドラインには、調達過程における経済性、効率性及び透明性の確保並びに入札手続における非差別など、従来から調達手続において求められていた事項のほか、円借款事業における調達契約の相手方及び入札参加者に「最高の倫理規範」に従うことを求めるとの不適正調達条項が規定され、銀行は次のような措置を執ることができることとなった。
〔1〕 借款契約に係る調達手続における入札において、契約相手方とされた者が汚職、不正に関わったと判断された場合には、相手国側とその者との契約締結に同意しない。
〔2〕 我が国のODA事業において汚職、不正に関わったと判断された企業は、一定期間、相手国側が行う調達契約の相手方となる資格を停止する。
そして、上記措置の具体的運用については、ガイドライン改訂に併せて定められた「円借款事業の競争契約参加資格制限措置要領」によることとしている。同要領では、円借款事業における競争・契約参加者が、借入国関係者等に贈賄行為をしたとき、独占禁止法違反行為をしたとき、談合行為をしたときなどのほか、我が国のODA事業において不適当な行為を行い、政府から競争・契約参加資格に制限を加えるよう指示があったときには、銀行がその者について一定期間競争・契約参加資格を制限することとされている。
また、コンサルタントの雇用に関する基本的考え方及び適正な選定手続を定めたコンサルタント雇用ガイドラインについても、調達ガイドラインと同様の不適正調達条項が規定された。
(不適正調達条項の国際比較)
上記のような不適正調達条項は、銀行の調達ガイドラインばかりでなく、銀行と同じく開発途上国に対する借款を実施している世界銀行及びアジア開発銀行の調達ガイドラインにも見られるものであり、銀行、世界銀行及びアジア開発銀行の調達ガイドラインにおける不適正調達条項は別紙
のとおりとなっている。
これをみると、銀行の調達ガイドラインに定められている前記〔2〕に関する条項(Section1.05(b))は、銀行以外の機関が実施するODA事業において不正に関わった者も円借款事業から排除しようとする規定であり、銀行に特有のものである。これは、我が国のODAが多数の異なる機関により実施されており、我が国におけるすべてのODAから不正行為を排除するという政策によるものである。世界銀行及びアジア開発銀行でも本条項と類似した規定はあるが、他の組織による援助事業まで適用するものではない。
一方、世界銀行及びアジア開発銀行の調達ガイドラインでは、銀行の調達ガイドラインには見当たらない規定が設けられており、その内容はおおむね次のとおりである。
〔1〕 不正行為の定義に関する規定
(世界銀行 1.15(a)(i)(ii)、アジア開発銀行 1.06ai、ii)
この規定は、「汚職行為」及び「不正行為」の概念を定義するものである。
〔2〕 契約相手方の会計帳簿及び証拠書類の検査に関する規定
(世界銀行 1.15(e)、アジア開発銀行 1.06e)
この規定は、世界銀行等は借入人に対して、借款対象事業の実施のための調達契約に、世界銀行等が直接又は監査人を指名して調達契約の相手方の会計帳簿や証拠書類に関する検査を実施することができ、調達契約の相手方はこれを受忍しなければならないとの規定を盛り込むよう要求することができるとするものである。
〔3〕 入札図書における誓約条項に関する規定
(世界銀行 1.16、アジア開発銀行 1.07、1.08)
この規定は、世界銀行等との個別的な合意に基づき、借入人が、その作成する入札図書に、入札者は入札及び契約の履行に当たりその国の不正行為及び汚職(贈収賄を含む)の防止に関する法令を遵守するとの誓約をすべきことを義務付ける条項を盛り込むことができるとするものである。
上記の世界銀行等の不適正調達条項に関し、銀行では、二国間援助である円借款事業においては、銀行が調達契約の相手方の会計帳簿等を検査したり、外部からの情報提供に基づいて汚職等の調査を実施することは困難であるとしており、上記のような規定を設けなかったとしても、銀行が執ることとなっている措置は裁判所等の第三者による不正行為についての判断を前提とするものであることなどから特に支障はないとしている。
(新ガイドラインの適用)
銀行では、不適正調達条項が盛り込まれた新ガイドラインを、11年10月以降に締結するすべての借款契約に適用することとしている。また、11年9月以前に締結された借款契約についても、今後行われる調達手続において措置を執ることができるようにするため、不適正調達条項の適用について借款契約の相手方の同意を得ることとしている。そして、12年9月現在、同意を求めた108の借款契約の相手方のうち、72については同意が得られたが、36については相手方の手続が遅れているなどの理由により同意が得られていない状況となっている。
(オ)資金協力事業の調達に係る措置要領等
(措置要領の導入)
外務省は、12年4月、ODA資金協力事業の調達に係る不正防止のための措置要領の導入を発表した。
これは、我が国のODA事業の実施に際して不正行為等を行った企業に対して、無償資金協力事業及び円借款事業から一定期間排除する措置を執るとの方針を示したものである。
措置の対象となるのは、コンサルタント、施工業者又は調達業者が、我が国のODA事業において談合、贈賄、独占禁止法に違反する行為、入札関係書類への虚偽記載、粗雑業務等を行った場合であり、我が国の法令だけでなくこれに相当する他国の法令に違反した場合も措置の対象となる。
措置の内容は、国内公共事業の場合に準じて2週間から24箇月までの一定期間、無償資金協力事業及び円借款事業において、相手国側と排除することとされた企業との契約を、外務省(無償資金協力事業の場合)又は銀行(円借款事業の場合)が認証しないことなどにより、当該企業を排除するものである。
そして、外務省では、在外公館を通じて措置要領導入の趣旨について相手国に説明しており、それについては相手国も同意している。そして、外務省では12年9月、「日本国の無償資金協力事業において不正行為を行った企業に対する措置要領」を定めて措置の基準を明確にするとともに、措置要領では我が国におけるすべてのODA事業のいずれかで不正行為を行った企業について、無償資金協力事業及び円借款事業から排除するとしている。そこで、外務省では外務省以外の省庁が実施するODA事業で不正行為があった場合に、そのことを無償資金協力事業及び円借款事業に反映させるため、不正行為に関する情報の提供について、他のODA実施省庁に協力を求めている。
(外務省等の措置内容の比較)
不正行為等を行った企業に対し、無償資金協力事業に関しては外務省が、また、円借款事業に関しては銀行が、それぞれ定めた措置要領により制裁措置を執ることとなっている。また、事業団が行う技術協力事業に関しても、事業団が5年9月に定めた「契約に係る指名停止等の措置要領について」により措置を執ることとなっている。
これら措置要領は、いずれも国内公共事業における措置基準(工事請負契約に係る指名停止等の措置要領・中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル)を参考に作成したものであり、主な措置の内容を対比して示すと次表のとおりとなっている。
実施機関
\ 不正行為等区分
|
外務省 | 国際協力銀行 | 国際協力事業団 |
(指名停止等の措置期間) | |||
虚偽記載 | ※2週間以上12箇月以内 | 1箇月以上6箇月以内 | 同左 |
粗雑行為 | ※2週間以上12箇月以内 | - | 1箇月以上6箇月以内 |
契約違反 | ※2週間以上12箇月以内 | - | 2週間以上4箇月以内 |
安全管理不適切による損害事故 | 2週間以上6箇月以内 | - | 1箇月以上6箇月以内 |
贈賄(代表役員) | 2箇月以上12箇月以内 | 4箇月以上12箇月以内 | 同左 |
同(一般役員) | 3箇月以上9箇月以内 | 同左 | |
同(使用人) | 2箇月以上6箇月以内 | 同左 | |
独占禁止法違反行為 | 2箇月以上9箇月以内 | 同左 | 同左 |
談合 | 2箇月以上12箇月以内 | 同左 | 同左 |
不正又は不誠実な行為 | ※2週間以上12箇月以内 | 1箇月以上9箇月以内 | 同左 |
代表役員等の犯罪行為 | - | - | 1箇月以上9箇月以内 |
他機関のODA事業における不適正行為 | ※2週間以上12箇月以内 | 政府からの指示期間 | 2週間以上12箇月以内 |
外国の法令に違反する行為 | 2箇月以上12箇月以内 | - | - |
(措置に関する規定の有無) | |||
下請人、共同企業体に関する措置 | △(共同企業体のみ措置) | ○ | ○ |
措置期間の特例 | ○ | ○ | ○ |
下請等の禁止 | × | × | ○ |
指名停止に至らない事由に関する措置 | × | × | ○ |
<注1> | 外務省では、ODA事業全般での虚偽記載、粗雑業務、瑕疵、契約違反等の不誠実又は不正な行為を行った場合として、※の行為をまとめて規定している。 |
<注2> | 不正競争防止法に違反する行為を行った場合を含む。 |
<注3> | 事業団では、不正行為等の態様ごとに2週間以上12箇月以内の期間の範囲内の措置期間を定めている。また、ODA以外の事業における行為も措置の対象としている。 |
これらを比較すると、事業団は、外務省及び銀行と異なり事業に係る契約の当事者となることから、その措置内容は前記の国内公共事業における措置基準とほぼ同様のものとなっている。そして、他のODA事業における不適正行為ばかりでなく、国内公共事業全般における行為についても措置できることとしていて、外務省及び銀行の措置内容と異なっている。
また、銀行の措置要領では、粗雑行為、契約違反等に関する規定が見られないが、これらの行為は不正又は不誠実な行為として措置の対象とされている。そして、このように若干の相違はあるが、銀行の措置内容は事業団とほぼ同様のものとなっている。
一方、外務省の措置要領では、虚偽記載、粗雑行為、契約違反及び不正又は不誠実な行為がまとめて規定され、その措置期間も2週間以上12箇月以内と幅の広いものとされていたり、贈賄者の立場別に措置期間が区分されていなかったりなど、銀行及び事業団と違いがある。
イ 援助実施機関及び民間業者並びに被援助国に対する趣旨の徹底
ODAの不正防止は、法令及び外務省等における体制の整備のみでなし得るものではなく、ODAに携わる者、すなわち外務省等を含むすべての援助実施機関及び関係する民間業者、さらには被援助国がその趣旨を踏まえて自覚的に行動することが必要である。
外務省では、この観点から、援助実施機関(ODA実施省庁)、民間業者及び被援助国に対して、次のような働きかけを行っている。
(ア)援助実施機関(ODA実施省庁)に対するもの
外務省では、12年3月30日、同省を含めODA実施17省庁の担当者が出席して行われた政府開発援助関係省庁連絡協議会において、資金協力事業の調達に係る措置要領の実施について協力を求めるとともに、不正が行われた場合の情報提供についての協力を求めた。
(イ)民間業者に対するもの
外務省では、経済企画庁及び通商産業省と合同で、インドネシアリベート問題発生後の11年5月12日、ODA関連業者を対象にODA事業における不正防止に関する説明会を実施した。この説明会では、銀行の調達ガイドラインの改正、入札情報の公開等について説明が行われ、78事業者から105人の出席があった。
また、外務省では、おおむね2箇月に1回程度、経済協力局長とODA関連業者との懇談会を実施しているが、その場においても不正防止について協力を求めている。
この他、事業団では、無償資金協力事業に関係する業者に対する説明会を年数回開催しているが、この場においても不正防止について協力を求めている。
(ウ)被援助国に対するもの
外務省では、ODAにおける不正防止のため、在外公館を通じるなどして被援助国に対しても各種申入れを行っているが、本院が12年に実地検査を行った在外公館における取組状況の主なものは次のとおりである。
〔1〕 在ニカラグァ大使館
我が国を含む主要援助国は、支援国会合において、不正防止と深く関係する「グッド・ガバナンス(良い統治)」の強化などについてニカラグァ政府側と協議することとしており、おおむね2箇月に1回程度開催される協議の場で不正防止に関する各種申入れを行っている。
〔2〕 在カンボディア大使館
我が国を含む主要援助国は、年数回開催される支援国会合において、カンボディア政府側に不正防止への一層の取組みを求めている。また、我が国としても、経済協力政策協議(11年11月)、無償資金協力事業に係る交換公文署名式(12年3月)の場などにおいて、ODAを効率的、効果的に実施するとともに透明性を確保することを要請したり、特命全権大使からカンボディア首相に対して、同国における不正防止を徹底するよう重ねて申し入れたりなどしている。
〔3〕 在エジプト大使館
在エジプト大使館では、必要に応じエジプトの外務省及び援助受入機関である国際協力省との間で、不正防止に関して協議を行っており、最近の協議では、援助関連文書への汚職防止条項の導入、資金協力事業の調達に係る措置要領が議題とされている。
〔4〕 在ガーナ大使館
我が国を含む主要援助国は、11年11月、ガーナの首都アクラにおいて支援国会合を行い、ガーナ政府による汚職防止に向けての取組みを評価しつつも更なる具体的措置を求めるなど、引き続き汚職防止への関心の強さを示している。我が国としては、12年5月、経済協力政策協議の場において、ガーナに対する援助の実施に当たっては、「グッド・ガバナンス」が確保されることが重要であることを申し入れるなどしている。
〔5〕 在インドネシア大使館
我が国を含む主要援助国は、10年7月以降6回にわたり開催された公式、非公式の支援国会合の場において、「グッド・ガバナンス」の一層の促進、プロジェクトのモニタリング強化、汚職防止対策への一層の取組みなどを要請している。また、我が国としても、11年11月の経済協力政策協議の場において、事業の実施に当たって透明性が確保されるべきことを申し入れており、これ以外にも、リベート問題に関する調査の依頼を含め我が国が不正防止に強い関心を持っていることをインドネシア政府側に伝えている。
ア 概況
外務省等では、(3)に記述したODAにおける不正防止を直接の目的とした取組みのほか、政府開発援助に関する中期政策等に基づき、ODA事業に関する積極的な情報開示、特に資金協力事業の調達過程における透明性を確保することにより不正防止を図ることとしている。
そして、外務省等の無償資金協力事業、円借款事業及び技術協力事業における情報開示の概況を、入札に関する情報(応札企業名、応札額、落札企業名、落札額)及び受注に関する情報(受注企業名、契約額)に区分して示すと次表のとおりである。
事業
\ 情報区分
|
無償資金協力事業 | 円借款事業 | 技術協力事業 | |
入札に関する情報 | 応札企業名 | 閲覧 | ※閲覧 | 閲覧 ホームページ |
応札額 | ※閲覧 | ※閲覧 | 閲覧 ホームページ |
|
落札企業名 | 閲覧 | ※閲覧 | 閲覧 ホームページ |
|
落札額 | 閲覧 | - | 閲覧 ホームページ |
|
受注に関する情報 | 受注企業名 | 閲覧 年次報告 |
閲覧 年次報告 ホームページ |
閲覧 年次報告 ホームページ |
契約額 | ※閲覧 | 閲覧 年次報告 ホームページ |
閲覧 年次報告 ホームページ |
イ 情報開示の経緯とその詳細
(ア)無償資金協力事業
外務省では、無償資金協力事業における調達に関し、6年度から、応札企業名、落札企業名、落札額及び受注企業名を、無償資金協力事業の実施促進を担当している事業団の公示室に掲示して開示している。そして、11年4月以降に交換公文を締結した案件については、各応札企業の応札額及び契約額も開示している。
これらの情報開示は、外務省の行う契約認証後に行われることとされており、入札実施後おおむね1箇月程度で開示されている。
無償資金協力事業においては、調達相手方との契約の主体は、外務省ではなく被援助国政府であることから、これらの情報開示は被援助国政府の同意を得て行うこととされている。12年8月現在、無償資金協力事業の対象である91箇国のうち80箇国の同意が得られているが、11箇国については相手国の手続が遅れているなどの理由により同意が得られていない状況にある。
(イ)円借款事業
基金では、円借款事業における調達に関し、昭和62年度から受注企業名を開示することとし、事業の本体部分については10億円以上、コンサルタント部分については1億円以上の契約を受注した企業について、基金年次報告書に掲載する方法で開示していた。その後、平成10年4月には、上記の契約における契約金額についても併せて年次報告書に掲載することとしたほか、上記の金額に満たないものも含めすべての契約について受注企業名及び契約金額を年度ごとに取りまとめのうえ閲覧形式で開示することとした。
銀行では、基金の実施していた情報開示を継続するとともに、11年4月以降に交換公文が締結された案件のうちプロジェクト借款について、事業の本体部分については10億円以上、コンサルタント部分については1億円以上の契約に係る応札企業名、応札額(事業の本体部分の契約に限る)及び落札企業名も併せて開示することとし、前年度契約分を取りまとめのうえ閲覧形式で開示している。
現在の銀行における情報開示の方法を、情報の種類及び金額等による区分ごとに示すと次表のとおりである。
情報の種類 | 区分 | 開示の方法 |
受注関連情報 | プロジェクト借款のうち 事業の本体部分10億円以上 コンサルタント部分1億円以上 |
年次報告書、ホームページに掲載 総務部広報課において閲覧 |
プロジェクト借款のうち 事業の本体部分10億円未満 コンサルタント部分1億円未満 ノンプロジェクト借款 |
総務部広報課において閲覧 | |
入札情報 | プロジェクト借款のうち 事業の本体部分10億円以上 コンサルタント部分1億円以上 |
総務部広報課において閲覧 |
プロジェクト借款のうち 事業の本体部分10億円未満 コンサルタント部分1億円未満 ノンプロジェクト借款 |
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(ウ)技術協力事業
事業団では、技術協力事業のうち機材調達に係る契約については、7年1月から応札企業名、落札企業名、落札額、受注企業名、契約額を、また、コンサルタント契約については、同年4月からプロポーザル提出企業名、契約企業名、契約額を、事業団の公示室に掲示して開示している。その後、11年4月には機材調達に係る契約について応札額も開示するとともに、これらの情報を事業団のホームページにも掲載することとした。さらに、12年4月からは入札辞退者、欠席者があった場合にはその情報も開示することとした。
現在の事業団における情報開示状況の詳細は、次表のとおりである。
事業団の公示室に掲示するもの | 機材調達に係るもの | 応札企業名、応札額 落札企業名、落札額 受注企業名、契約額 入札辞退者、欠席者 |
入札日(毎週木曜日実施)の翌週の月曜日に掲示 |
コンサルタント契約に係るもの | プロポーザル提出企業名 | 契約交渉順位決裁終了後直近の水曜日又は金曜日に掲示 | |
契約企業名 契約額 |
契約締結後直近の水曜日又は金曜日に掲示 | ||
ホームページに掲載するもの | 機材調達に係るもの | 応札企業名、応札額 落札企業名、落札額 受注企業名、契約額 入札辞退者、欠席者 |
1箇月分をまとめて翌月の第1水曜日に掲載 |
コンサルタント契約に係るもの | プロポーザル提出企業名 契約企業名 契約額 |
2週間分をまとめて次の水曜日に掲載 |
資金協力事業の調達に係る措置要領によれば、コンサルタント、施工業者又は調達業者が我が国の法令に違反した場合ばかりでなく、これに相当する被援助国の法令に違反した場合も措置の対象となる。また、ODAにおける不正防止を十全ならしめるためには、被援助国において不正防止の仕組みが十分に機能することも重要である。
そこで、本院では、これらの観点を踏まえ、被援助国における法令や監視体制の整備等の不正防止の取組みについて、ODA事業の現地調査の際、在外公館の協力を得て調査した。限られた時間の中で本院が調査した範囲においては、被援助国における不正防止の制度面での取組みに関し、特に問題がある点は認められなかった。
その結果の概略を述べると以下のとおりである。
ア 法令の整備状況
資金協力事業の調達に係る措置要領において措置の対象とした法令違反行為に関し、我が国の独占禁止法に相当する法令の制定について検討中としている国が一部にあったものの、贈収賄行為については調査を行ったいずれの国においてもこれを犯罪として取締り対象としていた。
イ 監視体制の整備状況
公務員の汚職に関しては、特別の権限を有する機関を設置している例が見受けられた。例えば、エジプトにおいては、贈収賄に関する捜査・調査の権限は、大統領直属で他の行政機関から独立している行政監察庁及び内務省公金捜査局に与えられている。また、ガーナにおいては、人権・行政公正委員会及び汚職防止事務所という2つの機関により、汚職事件の調査が行われることとなっていた。
ODAの不正防止に関しては、本院においても従来から関心をもって検査に取り組み、決算検査報告にその結果を掲記してきたところである。
今回の検査及び調査の結果、外務省等においては、援助実施機関・ODA関連業者及び被援助国に対する働きかけ、不正防止に資する情報開示の面で一定の取組みが行われていると認められる。
また、調達機材の無断変更等があったブータン問題を踏まえて執るとしていた改善措置については、10年11月の公表後2年近くが経過し、順次実施に移されており、12年10月には交換公文の附属文書の雛形及び調達ガイドラインが改訂された。今後は同種事態の再発防止のため、これらの措置を確実に実施していくことが重要である。
不正行為については、その発生を完全に防止することは困難であることにかんがみ、被援助国等に対する働きかけや情報開示等につき、外務省等において今後とも不断の取組みを続けていくことが必要である。
また、不正防止のためには、単に外務省等のみならず、他のODA実施省庁においても外務省等と同様の不正防止策を導入するなど、政府全体をあげての取組みが重要である。
国際協力銀行 | 世界銀行 | アジア開発銀行 |
1.05 The BANK does not finance expenditures for goods and services which, in the BANK's opinion, have not been procured in accordance with the agreed procedures in the Loan Agreement, and the BANK will cancel that portion of the Loan allocated to goods and services that have been misprocured. The BANK may, in addition, exercise other remedies under the Loan Agreement. |
1.13 The Bank does not finance expenditures for goods and works which have not been procured in accordance with the agreed procedures in the Loan Agreement, and it is the policy of the Bank to cancel that portion of the loan allocated to the goods and works that have been misprocured. The Bank may, in addition, exercise other remedies under the Loan Agreement. |
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It is the BANK's policy to require that bidders and Contractors, as well as Borrowers, under contracts funded with ODA Loans of the BANK and other Japanese ODA observe the highest standard of ethics during the procurement and execution of such contracts. In pursuance of this policy, the BANK; |
1.15 It is the Bank's policy to require that Borrowers (including beneficiaries of Bank loans), as well as bidders/Suppliers/Contractors under Bank-financed contracts, observe the highest standard of ethics during the procurement and execution of such contracts. In pursuance of this policy, the Bank: (a) defines, for the purposes of this provision, the terms set forth below as follows: (i) "corrupt practice" means the offering, giving, receiving, or soliciting of any thing of value to influence the action of a public official in the procurement process or in contract execution; and |
1.06 It is the Bank's policy to require that borrowers (including beneficiaries of Bank loans), as well as bidders/suppliers/contractors under Bank-financed contracts, observe the highest standard of ethics during the procurement and execution of such contracts. In pursuance of this policy, the Bank: a. defines, for the purposes of this provision, the terms set forth below as follows: i. "corrupt practice" means behavior on the part of officials in the public or private sectors by which they improperly and unlawfully enrich themselves and/or those close to them, or induce others to do so, by misusing the position in which they are placed, and it includes the offering, giving, receiving, or soliciting of anything of value to influence the action of any such official in the procurement process or in contract execution; and |
(ii) "fraudulent practice" means a misrepresentation of facts in order to influence a procurement process or the execution of a contract to the detriment of the Borrower, and includes collusive practices among bidders (prior to or after bid submission) designed to establish bid prices at artificial, non-competitive levels and to deprive the Borrower of the benefits of free and open competition; |
ii. "fraudulent practice" means a misrepresentation of facts in order to influence a procurement process or the execution of a contract to the detriment of the borrower, and includes collusive practices among bidders (prior to or after bid submission) designed to establish bid prices at artificial, non-competitive levels and to deprive the borrower of the benefits of free and open competition; |
|
(a) will reject a proposal for award if it determines that the bidder recommended for award has engaged in corrupt or fraudulent practices in competing for the contract in question; |
(b) will reject a proposal for award if it determines that the bidder recommended for award has engaged in corrupt or fraudulent practices in competing for the contract in question; |
b. will reject a proposal for award if it determines that the bidder recommended for award has engaged in corrupt or fraudulent practices in competing for the contract in question; |
(c) will cancel the portion of the loan allocated to a contract for goods or works if it at any time determines that corrupt or fraudulent practices were engaged in by representatives of the Borrower or of a beneficiary of the loan during the procurement or the execution of that contract, without the Borrower having taken timely and appropriate action satisfactory to the Bank to remedy the situation; |
c. will cancel the portion of the loan allocated to a contract for goods or works if it at any time determines that corrupt or fraudulent practices were engaged in by representatives of the borrower or of a beneficiary of the loan during the procurement or the execution of that contract, without the borrower having taken timely and appropriate action satisfactory to the Bank to remedy the situation; |
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(b) will recognize a Contractor as ineligible, for a period determined by the BANK, to be awarded a contract funded with ODA Loans of the BANK if it at any time determines that the Contractor has engaged in corrupt or fraudulent practices in competing for, or in executing, another contract funded with ODA Loans of the BANK or other Japanese ODA. |
(d) will declare a firm ineligible, either indefinitely or for a stated period of time, to be awarded a Bank-financed contract if it at any time determines that the firm has engaged in corrupt or fraudulent practices in competing for, or in executing, a Bank-financed contract; and |
d. will declare a firm ineligible, either indefinitely or for a stated period of time, to be awarded a Bank-financed contract if it at any time determines that the firm has engaged in corrupt or fraudulent practices in competing for, or in executing, a Bank-financed contract; and |
(e) will have the right to require that, in contracts financed by a Bank loan, a provision be included requiring Suppliers and Contractors to permit the Bank to inspect their accounts and records relating to the performance of the contract and to have them audited by auditors appointed by the Bank. |
e. will have the right to require that, in contracts financed by a Bank loan, a provision be included requiring suppliers and contractors to permit the Bank to inspect their accounts and records relating to the performance of the contract and to have them audited by auditors appointed by the Bank. |
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1.16 With the specific agreement of the Bank, a Borrower may introduce, into bid forms for large contracts financed by the Bank, an undertaking of the bidder to observe, in competing for and executing a contract, the country's laws against fraud and corruption (including bribery), as listed in the bidding documents. The Bank will accept the introduction of such undertaking, at the request of the Borrower's country, provided it is satisfied: (a) that the requirement of such an undertaking is part of an anti-corruption program initiated by the Borrower's country; and (b) that such requirement will apply, within a timetable agreed between the Bank and the Borrower's country, to all similar pubic procurement. |
1.07 With the specific agreement of the Bank, a borrower may introduce, into bid forms for large contracts financed by the Bank, an undertaking of the bidder to observe, in competing for and executing a contract, the country's laws against fraud and corruption (including bribery), as listed in the bidding documents. A footnote shall also be inserted into documents where such a pledge has been inserted noting that it has been placed there at the request of the borrower. |
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1.08 When the contract is to be financed wholly or partly by the Bank, the contract documents shall include an undertaking by the contractor that no fees, gratuities, rebates, gifts, commissions or other payments, other than those shown in the bid, have been given or received in connection with the procurement process or in the contract execution. |