部局等の名称 | (1) | 在パラオ日本国大使館 |
(2) | 在ケニア日本国大使館 | |
(3) | 在デンヴァー日本国総領事館 |
適正を欠いていた金額 | (1) | 1,689,552円(平成10年度〜12年度) (14,329.60米ドル) |
(2) | 4,517,275円(平成9年度〜12年度) (2,388,263.55ケニアシリング米ドル) |
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(3) | 3,609,055円(平成11、12両年度) (31,551.74米ドル) |
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計 | 9,815,882円 |
1 会計経理の概要
外務省では、外国において相手国政府との交渉、邦人の保護、情報収集等の事務を行うため、大使館、総領事館等の在外公館を計197公館設置しており、これらを運営するために必要な経費として、在外公館に対して、職員諸手当、在外公館等借料、諸謝金、渡切費等の予算を配賦している。
在外公館における会計機関は、在外公館会計規程(昭和27年決定)等に基づいて、在外公館の長(以下「館長」という。)が歳入徴収官及び契約担当官となり、館長代理(総領事館等では館長)が収入官吏、資金前渡官吏及び契約担当官となっている。また、渡切費等については、館長が取扱責任者の職務を行うとともに、会計担当者に現金の出納保管の事務を行わせている。
そして、館長等は、その在外公館における会計経理を指導監督する責務を負っている。
2 検査の結果
検査したところ、在パラオ日本国大使館ほか2在外公館において次のような事態が見受けられた。
(1)在パラオ日本国大使館
在パラオ日本国大使館において、平成12年12月末時点で、渡切費の帳簿上の残高に対して、保管中の現金及び預金の残高に14,329.60米ドルの不足が生じていた。
この不足額のうち、10,002.00米ドルについては、会計担当者が金庫に保管されていた渡切費の一部を私的な航空券の購入等に流用したものである。また、4,327.60米ドルについては、会計担当者の説明によれば、数回にわたり公用の消耗品を購入したとしているが、証拠書類がないなどのため、消耗品を購入した事実は確認されていない。
このような事態が生じていたのは、会計担当者の公金に対する認識が乏しかったこと、館長の指導監督が十分でなかったことによると認められる。
上記のように、渡切費14,329.60米ドル(邦貨換算額1,689,552円)が私的に流用されるなどしていて、会計経理が適正を欠くと認められる。
(2)在ケニア日本国大使館
在ケニア日本国大使館では、職員3名から住居手当の申請を受け、9年5月から12年8月までの間に、住居手当を計8,730,009.04ケニアシリング支給していた。しかし、申請に当たって提出された賃貸借契約書は家主でない者が作成したものであるなど、各人の申請内容は事実と異なっていた。このため、適正な住居手当を算定すると計6,816,248.69ケニアシリングとなり、計1,913,760.55ケニアシリングが過大に支給されていた。
また、同大使館では、職員1名から住居防犯対策費の申請を受け、9年5月から11年1月までの間に、同対策費を渡切費から計474,503.00ケニアシリング支給していた。同対策費は、在外公館の職員が自宅において警備員を雇用した場合に、支給されるものである。しかし、申請した職員は実際には警備員を雇用していなかったことから、同対策費を支給する必要はなかった。
このような事態が生じていたのは、職員から事実と相違した申請が提出されていたのに、これに対する審査確認が十分でなかったことなどによると認められる。
上記のように、住居手当等が計2,388,263.55ケニアシリング(邦貨換算額4,517,275円)過大に支給されていて、会計経理が適正を欠くと認められる。
(3)在デンヴァー日本国総領事館
ア 総領事公邸の借料について
在デンヴァー日本国総領事館では、11年度以降10年間にわたる総領事公邸の賃貸借契約を11年10月に締結し、その年間借料を、家主が公邸を購入した費用に、入居前に家主が行う修繕工事の費用204,515.35米ドルを加算した額を算定根拠にして、年間330,000.00米ドルとしていた。しかし、実際には、館長である総領事は、この修繕工事を総領事館側で実施するとして、その費用を家主から受領して上記の額よりも低額で実施し、その差額72,734.73米ドルを絵画の購入等の費用に充てていた。この結果、上記の賃貸借契約においては修繕工事以外の費用に流用された額も借料に反映されているため、12年度までの2箇年度分で在外公館等借料が計21,820.40米ドル過大に支払われていた。
イ 謝金等について
同総領事館において、11年11月から12年11月までの間に、臨時職員謝金、事務所の移転費用等の支払に際して、館長が会計担当者に次のような事実と相違した会計処理を行うよう指示していたことなどのため、謝金等計9,731.34米ドルが過大に支払われていた。
〔1〕 実際には臨時職員を雇用していないのに、臨時職員を雇用し謝金を支払ったこととするなどしていて、謝金を計4,977.00米ドル過大に支払っていた。
〔2〕 総領事館の事務所移転に際し、その移転費用に館長の私物の運送費用等を含めることにより、移転費用を2,261.75米ドル過大に支払っていた。
〔3〕 総領事公邸における公的な設宴のための食材を購入していたが、実際にはこれらの食材を公的な設宴には使用していなかったため、食材購入費用が計1,592.59米ドル過大に支払われていた。
〔4〕 講演会の開催に際し、会場借料等として900.00米ドル支払ったこととしていたが、実際には総領事館は会場借料等を負担していなかったため、支払う必要がなかっ た。
このような事態が生じていたのは、館長の公金に対する認識が欠如していたこと、館長自らが本件事態に関与していて内部統制が機能しなかったことなどによると認められる。
上記のア、イにより、在外公館等借料、謝金等計 31,551.74 米ドル(邦貨換算額3,609,055円)が過大に支払われていて、会計経理が適正を欠くと認められる。